海外に行く際にはパスポートのほかにビザが必要となる場合があります。、ビザの発給を受ける方法は行き先により異なります。
本稿では、ビザについての概要説明を始め、日本人が海外へ行く場合、外国の方が日本へ来る場合に必要なビザの手続きについて解説します。
ビザとはどんなもの?
国外へ行く場合にパスポートのほかにビザが必要になることがあります。ビザとは どんなものなのか、パスポートとは何が違うのかについてみていきましょう。
ビザの目的って?
ビザは「査証」とも呼ばれ、入国審査で必要となる書類です。国外の人から自国へ訪れたいという希望を受けた場合、「その人を入国させて構わないか」を審査する必要があります。
ビザは入国が許可された人にのみ発給されるものであり、審査が通らないと判断された場合は、ビザが発給されません。
ビザとパスポートの違いは「発給する国」
ビザとパスポートは、どちらも海外へ行く際に必要となるものですが、パスポートが自国で発給されるのに対し、ビザは入国を希望する国から発給されるという違いがあります。
パスポートは、国外に出るために必要な身分証明書です。自国の政府、外務省が発給する身分証明書で、国籍や名前、性別など基本的な情報が記載されています。有効期限は5年または10年が選択可能(未成年を除く)です。
なお、国によってはパスポートの有効期限が一定期間以上ないと出入国できない場合があります。残存有効期間の定義は国や滞在期間、入国目的などで一定ではありませんが、一般的には3~6カ月以上が目安です。
一方のビザは、渡航を希望する国が発給する書類で、外国籍の人物の入国を許可するために発給され、入国許可証の役割があります。
出国前にもビザがあるのかどうかの確認を行いますが、ビザがないと渡航先の空港へ行っても入国ができません。ビザの取得は準備に時間がかかるため、有効期限に留意しつつ、早めに用意をしておくことが大切です。
なお、ビザの使用回数や有効期間は国によりさまざまです。日本のビザの場合は、原則としてある国に1回入国するためだけに用い、有効期間は発給された次の日から3カ月です。
ビザの種類
ビザは短期滞在、就労・長期滞在など目的に応じて種類が異なります。日本では以下の8つの種類があり、滞在できる期間は目的に応じて異なります。
- 外交査証 : 外交活動目的の入国申請時に発給
- 公用査証 : 公用目的の入国申請時に発給
- 就業査証 : 17種類の職業ごとに滞在期間が決められている
- 一般査証 : 技能実習、文化活動、留学、研修、家族滞在
- 短期滞在査証 : いわゆる観光ビザ。90日、30日、15日以内の日が単位
- 通過査証 : 90日、30日、15日以内の日が単位
- 特定査証 : 日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者など
- 医療滞在査証 : 特定活動(入院・治療・通院で一定期間滞在が必要)時に発給
ビザが必要な国、不要な国の見分け方
次に、ビザが必要な国、不要な国の見分け方について説明します。
外務省のサイトなどで確認可能
人の往来が活発な場合など、国同士で取り決めを行っている場合には、出入国にビザが不要な場合があります。
日本国籍を持つ方が海外へ出国する場合、韓国、台湾、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツなどの世界68の国や地域へ渡航する場合にはビザが不要です。詳細は外務省のホームページで確認できます。
総務省:ビザ免除国・地域(短期滞在) ※クリックで外部サイトに飛びます
たとえば、中国に行く場合、観光・商用移動・親族知人への訪問、通過で15日以内の滞在にはビザが不要です。ただし、昨今の「新型コロナウィルス」の感染予防期間のように人の移動が問題となる場合には、渡航制限があったり、ビザが必要になったりします。
また、海外から日本に来る場合にも、「滞在期間が90日以内」「報酬を得る活動を行わない」という条件を満たせば、来日にビザが不要な国(地域)があります。
アメリカ : ESTA
ESTAは「事前渡航認証システム : Electronic System for Travel Authorization」の略で、アメリカで導入されている仕組みです。日本からアメリカへ観光や就労を含まない短期のビジネスで渡航する場合、ESTAで手続きをするとビザの発給が認証日から2年間免除されます。
90日以上の滞在にはESTAの認証がおりないため、滞在目的ごとに発給される「非住民ビザ」を取得します。
オーストラリア : ETA
「ETA」は「電子渡航許可 : Electronic Travel Authority」の略です。日本のパスポートを持っている人が休暇、短期商用目的などの目的でオーストラリアを訪れる場合には、ETAで認可を受ければビザが不要になります。
日本人が外国へ行く場合に必要な手続き
日本から国外へ渡航する場合で、ビザを取得する方法は以下のとおりです。
ビザの申請に必要なもの
ビザの申請には申請書など以下のものが必要です。
- 査証申請書(ビザフォーム)
- パスポート
- 写真
- 査証料(ビザフィー)
ビザの要否の確認
渡航を希望する国の駐日外国公館の情報を参照し、ビザの要否を確認します。ビザが必要となるかどうかは出かけたい国はもちろん、目的や滞在期間などで異なります。また、運用が突然変更になる場合もあるため最新情報を調べる必要があります。
申請
渡航先国の大使館、総領事館にて申請手続きを行います。また、e-VISA(電子ビザ)でオンライン申請できる場合もあります。
一般的には5日ほどでビザが発給されますが、申請から発給までのあいだには、追加書類が必要だったり長期滞在目的のビザで審査に時間がかかったりする場合があります。その際、ビザ発給までに数週間から数カ月かかる場合があるため、早めの申請が重要です。
発給
ビザは場合によって発給されない場合があります。しかしその理由を公開してしまうと、審査をかいくぐり不正に入国させようとする人に悪用されかねないため公開されていません。
また、ビザの発給が拒否された場合、半年など一定期間は同じ目的でのビザの再申請は受理されません。
外国人を日本へ迎える場合に必要な手続き
国外から日本に来てもらう場合で、ビザを取得する方法は以下のとおりです。
滞在の目的により手続きが異なる
親族・友人を日本に呼ぶ場合、その人の国籍や渡航目的(商用の場合など)で必要書類が追加されます。
外国人を日本に呼ぶ場合に必要な書類
日本国内の人が、外国籍の方を日本に招く場合には以下の書類が必要です。
日本国内の人が用意すべきもの
- 招へい理由書 : 招へいする人、ビザ申請人の連絡先、招へい目的、経緯、申請人との関係について記載します。
- 滞在予定表 : 滞在期間中、全日程について、行動予定や連絡先、宿泊予定先を記載します。
- 身元保証書 : 身元保証人は、「ビザを申請している外国籍の人が、日本でテロや人身取引など犯罪に加担せず、適法の範囲で滞在する」ことを在外公館長(日本国大使・総領事等)に対して保証します。
日本へ渡航予定の人が用意すべきもの
居住地の最寄りの日本大使館または総領事館などでビザ発給の申請を行うと、審査が行われます。
ビザ取得は代行依頼することも可能
ビザの発給にかかわる手続きは慣れていないと複雑に感じることもあります。自分で資料を用意するのが負担だと感じる場合には、旅行代理店や行政書士などに相談をしてみるのも一案です。
外国人を雇うための就労ビザのように長期滞在が想定される申請は、慎重に複数の資料を準備する必要があります。専門家に委託することで、煩雑な作業なしに必要な人材を国内に呼ぶことが可能です。
まとめ
以上、ビザについて説明しました。ビザとパスポートとの違いは、パスポートは自国が発給するのに対して、ビザは相手国が発給するという点にあります。
幸いにも、日本から外国へ行く際にはビザがなくても渡航できる場所もありますが、ビザ申請が必要な国も数多くありますので、早めに準備しておくことが重要です。
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