日本の月探査機「SLIM」は2024年1月20日午前0時20分ごろ,月面への軟着陸に成功した。目標地点から100m以内の範囲内に降り立つ「ピンポイント着陸」を達成し,キャッチコピーに掲げていた「ムーンスナイパー」の名に恥じない高い精度を実現した。10kmあまりの範囲内に狙いを定めていたこれまでの探査機に比べると,桁違いに小さい的を射抜くような離れ業をやってのけたことになる。着陸する直前に放出した小型ロボット「LEV-2」(愛称はSORA-Q)はSLIMを撮影し,もう1台の小型ロボット「LEV-1」を中継して地球に画像を送り届けた。どちらも完全に自律して動作した初めての月面探査ロボットとなった。
「自分たちが作ったものが本当に月面に行って,そのスナップショットをSORA-Qが撮ってくれた。あの画像を見た瞬間,腰が抜けそうになるほどのインパクトを受けた」。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のSLIMプロジェクトマネージャを務める坂井真一郎は,1月25日の記者会見でこう振り返った。着陸時のデータからおおよその姿勢などはわかっていたが,画像には月面に着陸したSLIMがはっきりと映し出されていた。
月への旅は順調そのものだったが,着陸する直前に大きなトラブルに見舞われていたことがわかった。高度50mで2基のメインエンジンのうち1基を失い,バランスをうまく保てずに「逆立ち」状態で接地した。坂井は「飛行機に例えるなら,小型の双発機がエンジン1基を失った状態で何とか着陸した状態に近い」と語る。SLIMや小型ロボットが撮影した画像は,波乱に満ちた数十秒のドラマを物語っている。
続きは日経サイエンス2024年4月号で
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