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Tuesday, May 2, 2023

スマホのレンズはなぜ2つ以上あるの?上下を逆さにして撮ると臨場感アップ!説明書のないスマホ写真、プロに習って撮影してみたら(2023年5月3日)|BIGLOBEニュース - BIGLOBEニュース

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(右下写真)撮影◎藤澤靖子 (その他)写真提供◎筆者

取材に赴き、自分のスマホで写真を撮っては記事を書くライターは 正直、同世代の誰より使いこなせていると自負していた。 ところがスマホ写真講座を体験してみると、自分の無知を思い知る結果に——(撮影◎藤澤靖子 写真提供◎筆者 取材・文◎野原広子)

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スマホを熟知していると自慢満々だった

スマホがないと夜も日も明けぬ、というのは私だけではないらしい。電車では中高年が老眼鏡をずり下げてスマホをポチポチしているし、70代、80代の人が観光地で記念写真を撮り合う姿もよく見かける。

先日、割烹料理店でお勘定をすませた年配の女性が、店の名刺をスマホで撮っていた。「紙だとすぐなくしちゃうから、何でもこうして記録しておくの」と、連れの友だちに話している。しばらくすると、その場でスマホ講座が始まった。

写真つきのネット記事を毎週書いている私はそれを横目に、「一般の中高年よりも使い方を熟知しているな」と、自慢満々。2年前にスマホをiPhone12に買い替えてからは画質もアップし、「これで文句ある?」と思っていた。ときどき「もっといい写真はありませんか?」と編集者からクレームが入っても、「スマホじゃこれが限界よ」と開き直る。頭のいいスマホにもできることとできないことがある、とそう思っていたのだ。

そんな私の前に、「スマホのカメラに備わっている機能を使いこなせていない人が多くて、すごくもったいないです」と訴える女性が現れた。カメラ雑誌の元編集長で、写真教室の講師をしている矢島直美さんだ。

あることすら知らなかった機能

スマホには取扱説明書がついていないことが多く、そもそも機能や使い方を学ぶ機会が少ない、と矢島さんは指摘する。突然、「野原さんのスマホには、いくつレンズがついていますか?」と質問された。背面を確認して「2つです」と答えると、「それぞれ画角が異なる広角レンズと超広角レンズだと知っていましたか?」。正直、一度も気にしたことがなかった。カメラを立ち上げると画面の下に1と0.5という数字が小さく表示されている。「そこでレンズを切り替えます。たとえば超広角レンズの0.5倍をタップすると、ほら」。あらやだ、自分が動いたわけでもないのに、画面に映る範囲が一段階広くなったではないの!ちなみにレンズがつ3つ搭載されたスマホには、望遠レンズがついているそう。知らなかった!

「被写体を大きく撮りたいとき、画面を指で広げてズームしますが、これは画像の一部を切り取って拡大しているだけ。ズームしすぎると画質が劣化してしまいますので、気をつけてください」と矢島さん。

続いて、グリッド線の出し方と使い方を教わる。グリッド線とは、撮影時に写真の水平・垂直を取るためのガイドのこと。「たとえば海を撮るときに水平線と横のグリッド線を揃えると、無駄な傾きが防げます」。人物や建物、花を写すときは、縦線を意識す

るとバランスのいい写真になるという。こんな機能があることも知らず、老眼でおぼつかなくなった視力を頼りにシャッターを押していたのかと思うと、軽いめまいすら覚えてきた。

次は、撮影時の明るさの調節方法だ。「画面上の被写体を指でタップすると、黄色の四角い枠と太陽マークが出てくるでしょう。その近くを上下にスライドしてみて」。上に上げると明るく、下に下げると暗くなった。明るくすると画は爽やかに、暗くすると重厚感が増すという。これほど簡単に明るさを調節できるなんて、私は今まで何をしていたのか。がこれだけでは終わらない。この後、写真の仕上がりを決定的に変える極意を授かったのだ。

撮影前のひと手間が重要

撮影場所として訪れたのは、よみうりランドに隣接するフラワーパーク「HANA・BIYORI」。さっそくスマホを構えようとしたとき、「ちょっと待って」と、矢島さんからストップがかかった。「撮影前に必ずしていただきたいことがあります」。するとおもむろにメガネ拭きを取り出し、カメラのレンズを拭いた。「うっかり手で触ってしまったり、バッグの中触ってしまったり、バッグの中ですれたりしてレンズは意外と汚れています。写真がぼやける原因にもなるので、このひと手間が重要です」。


撮影前にカメラレンズをサッとひと拭き(撮影◎藤澤靖子)

ほかにも、スマホは体の正面に構えること、撮るときはわきを締めて手ブレを防ぐことなどを教わる。これらは基本中の基本。さあ、問題はここからだ。

●スマホの正しい持ち方・構え方

矢島さんは「薄曇りの今日は、花をきれいに撮影するのに最適です」と言い、花が咲き乱れる園内を見渡した。「主役にする花を決めましょうか」。闇雲にシャッターを押していいものではないらしい。私は、すっくと立つ紫色のストックを主役に決めた。

自らが動いてベストな角度を探す

「主役を決めたら、次はどの角度だと花が一番生き生きして見えるかを探します」。なるほど、と腰をかがめる私。先ほど教わった通り、花を画面の中央に置き、わきをぎゅっと締めてスマホを構えた。まっすぐ伸びるストックと縦のグリッド線を揃えてシャッターを押す。

「次は腰をめいっぱい落として、低い位置から撮ってみてください」。洋式トイレに慣れきった身にこの体勢はかなりきついけれど、画面いっぱいに花が息づいている。思わずパチッ。「いいですね。こちら側から花を見てみるとどうですか?」。パチッ。「次はもう少し上に構えてみて」。パチッ。


(写真提供◎筆者)

「矢島さん、膝がきついです」と、ついに泣きを入れた。「いい写真を撮るには、自ら体を動かしてベストな構図やアングルを探すことが大切なんです。スマホの位置がほんの数センチ変わるだけでも、花の表情がまったく違うでしょう。被写体を大きく写したいときは、ズーム機能に頼らず、自分が被写体に近づくようにしてくださいね」。


低い位置から撮れば臨場感アップ。スマホの上部にレンズがついているので、逆さにして撮るのがおすすめ(撮影◎藤澤靖子)

腰をトントン叩きながら考える。今まで、こんなに体を動かしながら写真を撮ったことってあったかしら。以前は、構えたらすぐシャッターを押していた。アングルを変えるときもスマホを上や横に向けるだけで、足を動かすことはなかった。ああ、プロ気取りでいた自分が恥ずかしい。

被写体だけでなく、背景まで美しい角度を探すのは簡単ではない。写真を撮るというよりも、美しい角度を探すのは簡単ではない。写真を撮るというよりも、絵の構図を考える感覚である。この作業をするかしないかで、完成度に決定的な差が生まれるのだろう。矢島さんは「撮影をして運動もできる。一石二鳥じゃないですか」と軽やかに笑うが、「そうですね」と答える自分の顔には疲れが漂っていたことだろう。とはいえカメラの操作に慣れてくると、「もっといろんな構図で撮ってみたい」という欲が湧いてきた。

被写体にしっかりピントを合わせて撮る

続いて花の接写に挑戦。インパクトのある写真にするには、被写体にグッと寄って撮るといいのだという。画面上のマーガレットの花芯を指でタップし、ピントを合わせてからパチッ。


(写真提供◎筆者)

矢島さんが写真を拡大して確認してくれる。「うーん、少し手ブレしていますね。もう1枚撮ってみましょうか」。何度か撮るうちにコツをつかみ、「素晴らしい!ピントがバッチリ合っています」と、ついに合格点をもらった。まるでプロが撮ったように鮮明な写真。自分の作品とは思えない。ちなみに、一眼レフのように背景がボケた写真を撮りたい場合も、この方法でいいのだとか。こんなに簡単なのだから、試すよりほかないだろう。

カフェスペースに設置されたアクアリウムで泳ぐ魚も撮ってみた。「動く生き物を捉えるには、決定的瞬間を逃しにくい連写モードがおすすめ」とのアドバイス。反射を防ぐためにレンズを水槽にピタリとくっつけ、狙いの魚を決めたら手際よく明るさを調節する。そしてシャッターボタンを左に引っ張ると、鮮やかな青い魚を画面の真ん中にしっかり収めることができた。


(写真提供◎筆者)

この連写モードは、大人数の集合写真にも活用できる。連写で撮った後に写真を開き、画面右下の「選択」から全員がいい顔をしているものを選べばOK。これなら一人だけ目をつぶっていた、という気まずい思いをすることもなくなるはず。

ポートレートモードを使った撮影

番外編として教わったのがポートレートモードだ。「このモードで撮影すると簡単に背景がボケて、人物がくっきり浮き上がります。ほら」。見せられた写真は、写真館にでも飾られているようなクオリティ。試しに自分を撮ってみると、本当に簡単!これは自撮りを楽しむ中高年が急増する日も近いかもしれない。

最後に、「撮って終わりではなく、色や明るさを補正することが大切」と矢島さんは教えてくれた。これまでわざわざPCで行っていた補正作業を、スマホでできるのが最大の魅力。今日撮った写真を選び、編集画面から明るさや彩度を調整すると、いい意味で別物のように生まれ変わった。

翌日から、私は会う人会う人にこの体験を話した。レンズの性能を知っている人はいなかったし、「グリッド線があるとすごく撮りやすい」「ポートレートモードのボケ具合が、一眼レフで撮ったみたい!」と、みんな大騒ぎだ。それだけでも小気味いいったらない。なにより、素敵な写真が撮れれば気分が上がる。習う楽しさをフルコースで味わったスマホ写真講座だった。

●今回の撮影場所は......

遊園地よみうりランドに隣接する新感覚フラワーパーク。300鉢を超えるフラワーシャンデリアのほか、各種ワークショップやコツメカワウソのえさやり体験など参加型イベントも。春は約250本の桜、夏はほたる観賞と、四季の魅力を体感できます

■HANA・BIYORI
京都稲城市矢野口4015-1 TEL/044・966・8717
営業時間:10時~17時(季節に応じて変動あり)
※営業時間・休園日は公式サイトをご確認ください

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