人工知能(AI)研究の先駆者とされるカナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授は1日、米グーグルを退社したと表明した。対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」などの生成AIが世界的注目を集めるなか、AIの危険性をより自由に発信する意向を示した。
米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)が1日公開したインタビューで、ヒントン氏は、生成AIの普及で偽の画像や文章があふれ、真実がわからなくなる可能性があると指摘。グーグルや米マイクロソフトなどIT大手が、止めることのできない開発競争に陥っているとの見方を示した。
ヒントン氏は人々の雇用への影響にも触れ、「(AIが)単調でつまらない仕事を奪う」「それ以上の仕事も奪うかもしれない」と述べた。長期的なリスクとして、完全に自律したAI兵器が生まれる可能性にも言及。「多くの人がはるか先の話だと考えていた。私も30、50年、さらに先のことだと考えていた。明らかに、今はもはやそうは思わない」として、これまでの想定以上にAIが進化しているとの認識を示した。
ヒントン氏は同日にツイートし、「NYTは今日、私がグーグルを批判するために退社したと示唆した。実際には、AIの危険性についてグーグルに与える影響を考慮せず話せるように退社した」と表明。「グーグルはとても責任ある形で行動してきた」とも述べ、AI全般について警鐘を鳴らすという姿勢を示した。
ヒントン氏は、画像などの大量のデータから特徴を見いだし、AIが自ら学習する「深層学習」と呼ばれる技術を研究。2018年にコンピューターサイエンス分野の「ノーベル賞」とされる「チューリング賞」を受けた。グーグルは13年にヒントン氏らが設立した企業を買収していた。(サンフランシスコ=五十嵐大介)
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