2022年4月15日
理化学研究所
昨今、理化学研究所における研究者等の雇用に関してさまざまな報道がなされていることを受け、理化学研究所の役割・使命を踏まえた、研究者等の有期雇用及び無期雇用に関する考え方と対応の方針について述べたいと思います。
理化学研究所は国が定めた中長期目標*のもと、最先端研究を推進して新たな価値を生みだすこと、そうした知の創造によって人類全体の未来に貢献することを目指しています。今、社会は激動期にあります。地球規模の課題が深刻化するなかで、その解決に資する科学技術への期待はいっそう高まっています。同時に、研究開発現場の状況もまさに急激に変化しており、柔軟性と安定性を兼ね備えた運営の実現に向けた改革が求められています。
理化学研究所における価値創造の源泉は、ここに集う研究者等の創意と、誠実で地道な活動です。国の施策に沿った成果をしっかり達成するためには、ここで働く研究者等が夢を持ち、思う存分力を発揮できる環境が必要です。社会の変化がいっそう激しくなる中で、理化学研究所においても、今後、有期のプロジェクトの役割がさらに増していくことが予想されます。こうした期限が定められたプロジェクトの遂行に当たっては、優秀な研究者等に世界中から集まってもらい、理研の最適な研究基盤を最大限活用し、集中して研究に従事できるようにしなければなりません。そこにおいては、研究者等の成長を支援しながら、その時々の重要テーマを集中的に研究し、分野を超えた新しい知の領域が生み出すことが任務となり、さらに人材が国際的に交流し動いていくことを通じて、その成果を一気に拡げてゆくことが求められます。プロジェクトの終了にあたっては、そこで雇用されていた研究者等がそれぞれの研究開発分野をさらに大きく発展させられるように、産学官のさまざまな研究機関に巣立っていくことができるよう、キャリア形成の側面からも支援します。そして、新しい重要テーマのプロジェクトに、次の世代の優れた研究者等を招き入れることで頭脳循環を後押しし、わが国の学問全体の研究開発力を高めることに貢献することが、本研究所の使命だと考えています。
もちろん我が国を代表する研究機関として、安定性を有する環境を創りあげ、未来に向けて、知を深め、新しい知恵をじっくり育てる場となることも理化学研究所の重要な役割です。例えば、広く国内外の研究者等が利用する研究基盤や大型研究施設の整備においては、一定の時間が必要となるでしょう。また大型の研究施設に限らず、プロジェクトとして長期的な取組みが必要な場合には、そこで従事する研究者等に安定的な関与を保証することが必要です。
理化学研究所は、安定性と流動性を高いレベルで両立させ、それらを両輪として成長する、世界最高峰の研究機関となることを目指し、ここに集う人びとが安心して働くことができる、より優れた研究環境を創りだしていくよう不断の努力を続けます。
- *理化学研究所の第4期中長期目標(抜粋)
- 科学技術・イノベーション基本計画をはじめとする国や社会からの要請に基づく様々な研究分野における優れた研究成果の創出、世界トップレベルの研究基盤の整備・共用を進めるとともに、他の研究機関の模範となる優れた研究環境や先進的な研究システムの整備等に積極的に取り組み、特定国立研究開発法人として我が国におけるイノベーションの創出、すなわち、新たな知的・文化的価値の創造に加え、それらを研究機関等と活発な連携を図り社会的・公共的・経済的価値の創造に結びつけることをこれまで以上に志向する機関として、一層の飛躍を遂げることが求められる。その際、研究所がこれまでにない新たな研究領域を切り拓き、世界を革新する研究シーズを創出することにより、地球規模での研究開発の潮流を自らが創出する世界最高峰の研究機関となることが期待される。
からの記事と詳細 ( 理化学研究所における研究者等の雇用に関する方向性について - 理化学研究所 )
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