Pages

Friday, December 3, 2021

必要な人に支援届けたい - 東京新聞

 岸田政権が十八歳以下の子ども一人当たり十万円相当を給付することを決めました。親の所得による一定の制限を設けた上で、子ども一人につき五万円の現金を年内に、五万円相当のクーポン券を来年以降配布します。

 与党の衆院選公約です。子育て世帯や生活に困る人たちの支援に異論はありません。

 しかし、このやり方で本当に支援を必要とする人たちに届くのか、なぜ事務経費がこんなにかかるのか、胸にすとんと落ちません。

 十万円相当の給付にかかる事務経費は千二百億円規模に達します。クーポン券を導入したことで経費が膨らんだそうです。多いか少ないかは人によって受け取り方が違うのでしょうが、私たち一生活者の感覚では大金です。

 論説室での議論を経て、三日付の社説で「今回の給付はこれまで同様、効果に疑問符が付くだけでなく、費用もかさむ制度設計になっている。増える九百億円規模の予算を他に振り向ければ、より効果的な支援が可能だと考えるのは自然な流れだろう」「財源に限りがあることを改めて肝に銘じ、真に助けを求める人々に支援が届くよう中身の濃い審議を求めたい」と主張することにしました。

 給付対象ではない読者からは「政府がやろうとしていることは税金の無駄遣い。私は年金生活者で生活は苦しい。今の政権の税金の使い方には怒りを覚える」と厳しい意見が届いています。

 では、どんな方法なら困った人に支援の手がより届くのか。読者からさまざまなアイデアをいただきました。

 「孫が六人いてお金がかかる時期は年齢で違う。進学のタイミングで使いたいので期限のないクーポンを」「子どもの人数によって所得制限を上げるべきだ」などです。

 私たちの新聞社にも「本当に困っている人を救う方法を研究し、ぬくもりのある給付金にしてほしい。マスコミがリーダーシップをとってほしい」と注文がありました。

 論説室では、一律に給付した後、収入の多い世帯からは税金として徴収すればいい、との意見が出たことがあります。行政監視と同時に、政策のアイデアを伝えることも私たちの仕事です。どうしたら本当に困った人に支援が届くのか、読者とともに引き続き知恵を絞ります。 (と)

関連キーワード



おすすめ情報

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( 必要な人に支援届けたい - 東京新聞 )
https://ift.tt/3okqdvt

No comments:

Post a Comment