
コロナ禍になってから曲が書けなくなっていた
──最新作『Amulet』はスカっと気持ちが晴れるような曲から、闇に迫るようなナンバー、壮大な風景を思い描く楽曲と、幅広い作品が収められています。心をテーマにした前作『Tragicomedy』(2020年7月発表)から一年強、どういったところから制作がスタートしたのでしょうか? コロナ禍になってから曲が書けなくなっていたんですよね…。でも、昨年8月にTVドラマ『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』の主題歌に「追い風」を書き下ろすタイミングから制作が始まって、そこから一年、つい最近アルバム制作が全て終わりました。今回は書き下ろしの機会を多くいただいて、それが新鮮でした。だから、“こういうテーマで”とアルバムを作っていったというより、書き下ろしの話をいただいて作った曲をアルバムに入れて、“これはどういうアルバムにしようかな?”となったので、いつもと順序が違ったというか。初めての感じではありましたね。書き下ろしということで期日までに曲を書かないといけなかったのが、逆に良かったです。 ──井上さんが書き下ろしをする時、心がけていることは何ですか? 台本があるから作品が訴えたいことを汲み取りつつ、そこに寄りきらないというか。ちゃんと井上竜馬としての物語とクロスさせることを意識しながら書いていますね。その物語に完璧に寄り添ってしまうと、作品を知らない人が聴いた時に、あまりフィットしないんじゃないかと思うので。だから、8曲目の「Spell On Me」も“片思いの男性目線”というテーマをいただいていたんですけど、自分の過去の恋愛をちょっと思い出しながら、その時に思いついたことなどを言葉にしていきました。そういう意味では完璧にその主人公の気持ちになっているかと言われると、たぶんそうじゃないけれど、いくつかリンクするところはあるという感じです。 ──書き下ろしの場合、自分では思いつかないテーマもあると思うのですが、そういうのは今回ありましたか? それこそ僕は“片思いの男性目線の曲”というテーマで書いたことはなかったです。思い返せば、失恋は書いたことあるけど、恋を絶賛真っ最中でしていて、想いがあふれて曲を書いたみたいなことはなかったから、改めてそうなると“えっ、ヤだ、ちょっと恥ずかしい”みたいなスタートでした(笑)。けれど、実際に書いてみたら“これはSHE’Sで普通にやってきていたことだな。しっくりくる”みたいな感覚がありましたね。 ──今回の作品は書き下ろしが多いぶん、人の想いの乗り方という部分で以前のアルバムとは違うのかもしれないですね。 そもそもドラマなどの脚本はすごく長い時間をかけて作られていて、いろいろ考えられた末に、人に届けようとする想いが詰まった言葉が出てきますから、自分だけでは出てこなかった言葉もいっぱいありますし、書き下ろしならではの言葉選びもあると思います。 ──各曲についてお聞きしていきたいのですが、まずインスト曲の「Rained」から始まるのですが、この曲について教えてください。 “インストから始まろう”と考えた結果、「Rained」自体に街の音とかを入れたんです。“Amulet”というタイトルにしようと思った背景もあって、街の音を入れたほうがみんなの生活に滲みやすいと思って。 ──さっき話題に出た2曲目の「追い風」はどういった曲にしたいと思って作られたのでしょうか? 『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』の台本を見た時、主人公の藤原竜也さんが演じる嶋田隆平という警察官が生きていく上でハッとなる、大人にも刺さるような言葉をたくさん言っていて。僕自身、転ばないための歌というより、どう立ち上がって生きていくかを歌うことが多かったので、そういう点では嶋田隆平というキャラクターとすごく共通点があったというか。10代の自殺や虐めとか、ネットが普及することで昔以上に可視化されて目立っていく状況の中で、“なんで生きていかなあかんのやろう?”というところに対して、“何て言葉をかけたらいいんやろう?”というのは、ずっと悩んでいたことなんです。それに対して『青のSP-学校内警察・嶋田隆平-』自体はそういう子たちに対して、すごく救いのある作品だったと思うし。なので、自分の歌は作品をより強くさせるような楽曲でありたいと思って作っていったのが始まりでしたね。《生きていく者だけに吹く 追い風》というフレーズは、だからこそ生まれたんだと思うし。主人公が言う台詞とかを拾い集めながら自分の言葉に変えていったというか、自分の考えを書いていくという作法でした。
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