住宅資金・教育資金・老後資金は人生における3大出費といわれています。その1つである住宅資金は、一度に大きな出費を伴うという特徴があります。
住宅の価格は年収の何倍にもなります。会社員が手持ちの預貯金だけで賄うことは難しく、住宅ローンを組んで購入する方がほとんどです。現在は低金利ということもあり、利息の負担が少ないという状況も住宅購入の後押しになるでしょう。
一昔前であれば、夫は会社員、妻は専業主婦という世帯が多かったため、住宅の購入については、収入のある夫が単独で購入するケースが大半でした。また、3世代が同じ住宅に同居しているケースも今より多く見られました。
ところが現在では核家族が多くなり、働き方の多様化や女性の社会進出が進んだことで、共働き世帯が大半です。夫婦それぞれに所得があることが多いため、住宅ローンを夫婦で借りたり、共有名義で登記したりするケースが増えてきています。
ここでは、住宅ローンを共有名義で借りる場合のメリットとデメリットについて説明します。
住宅ローンの「共有名義」とはどういうこと?
登記には「単独名義」と「共有名義」がある
住宅や土地を購入すると、不動産の名義を登記する必要があります。名義の登記方法については、「単独名義」と「共有名義」の2つの方法があります。
「単独名義」とは、一人の名義で登記することです。たとえば夫が自身の名義で住宅ローンを組み、頭金も夫が支払うというように、すべての資金を夫が賄った場合、夫の単独名義となります。
一方、「共有名義」とは、1つの不動産を購入する際に、2人以上が共同で出資して購入し、その出資の割合に応じた持ち分で登記することです。たとえば、夫婦でそれぞれお金を出し合って住宅を購入する場合や、二世帯住宅を建てる際に親と子のそれぞれがお金を支払った場合には、共有名義で登記されます。
「持分割合」は支払った金額によって決まる
共有名義で登記する際、それぞれのもつ所有権の割合のことを「持分割合(もちぶんわりあい)」といいます。持分割合は支払ったお金の割合に応じて決定します。たとえば、4,000万円のマンションを夫婦それぞれが2,000万円ずつ出し合って購入した場合、それぞれ2分の1が持分割合となります。
なお、支出した金額以上の割合で登記したり、資金を支出していないのに共有名義にしたりした場合、贈与とみなされ、贈与税が発生する場合があります。支払った出資額分の持分割合で登記することがポイントです。
共有名義の場合、住宅ローン控除はそれぞれ受けられるか
結論からいうと、住宅ローン控除を2人で受けることは可能です。
住宅ローンの控除とは、年末の借入金残高の1%を年間最大40万円(認定住宅の場合は50万円)を10年間、所得税や住民税から控除することができる制度です(※2019年10月以降に取得し、2020年12月31日までに入居した住宅については控除期間が3年間延長され、13年間)。つまり最大400万円分(認定住宅の場合は500万円)の所得税と住民税の一部が戻ってくる可能性があるのです(※)。
ただし残高の1%が必ず戻ってくるというわけではありません。たとえば、年末の借入金残高が3,500万円の場合、35万円の控除が受けられるのですが、所得税が20万円の場合、控除されるのは20万円までとなります。その場合、引き切れなかった控除分は住民税から引くことができますが、住民税の控除上限額は13.65万円までとなっています。
夫婦2人で控除を受けることができれば、2人分の所得税と住民税が戻ってくる可能性があるのです。
出典:国税庁 No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
※新型コロナウイルス感染症の影響により、住宅ローン控除の特例措置の要件となる入居期限に間に合わない場合でも、要件を満たせば期限が緩和されます。ただし申請書の提出が必要です。
申請書の書き方は国土交通省のホームページの記載例を参考にしてください。
夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けるには
夫も妻も住宅ローン控除を受けたい場合、夫婦がそれぞれ住宅ローンを借りる「ペアローン」か、2人で1つの住宅を「連帯債務」で借り入れることが必要です。
夫婦が連帯で借り入れる場合には、連帯保証という方法もあります。これは夫名義で借りた住宅ローンに対して、妻が連帯保証人として契約するといった場合を指します。
しかし、連帯保証の場合、2人ともが住宅ローン控除を受けることはできません。したがって住宅ローン控除を受けるためには連帯債務で借りなくてはなりません。連帯債務型の住宅ローンを取り扱う金融機関は少なくなっているので、あらかじめ住宅ローンを組む予定のある金融機関に連帯債務での取扱いがあるか確認しておいたほうがよいでしょう。
共有名義のメリット
住宅ローン控除で2人分の所得税・住民税が軽減
夫が単独で借りた場合と、夫婦で借りた場合、減税額にどれほど差が出るのでしょうか。
たとえば、夫の年収が450万円、妻の年収が200万円である共働き世帯で、3,000万円の住宅ローンを、1.66%の固定金利、返済期間は35年、返済方法は元利均等返済、ボーナス返済なしという条件でシミュレーションしてみましょう。
夫単独の場合 | 夫婦で借りた場合 | ||
---|---|---|---|
夫 | 妻 | ||
借入額 | 3,000万円 | 2,400万円 | 600万円 |
金利 | 1.66%(固定) | 1.66%(固定) | 1.66%(固定) |
期間 | 35年 | 35年 | 35年 |
初年度控除額 | 約26万2,000円 | 約23万4,800円 | 約5万8,700円 |
合計控除額 | 約253万8,800円 | 約210万4,400円 | 約52万5,900円 |
夫が単独で借りた場合と、夫が2,400万円、妻が600万円に分けて借りた場合では、住宅ローン控除額の違いは10年間で約9万円となります。
つまり、夫婦2人で住宅ローン控除を受けたほうが、単独で住宅ローン控除を受けるよりも得をするということです。
借入額を増やせる
住宅ローンを2人で借りる場合、ペアローンでは2人分借りられますし、連帯債務では収入合算された審査で借りることができます。そのため、夫だけでローンを組むよりも借入額が増えることもメリットです。より大きな金額の物件を購入することが可能になるため、希望する物件の条件を上げることができます。
相続税の節税になる
もし夫が死亡して相続が発生した場合、夫の単独名義であれば住宅の不動産の評価額がそのまま相続税の課税対象になります。一方、共有名義の場合、夫の持ち分に応じた部分のみが課税対象になります。たとえば持分割合が半分ずつならば、課税対象になる評価額も半分です。そのため、相続税を減らすことができます。
共有名義のデメリット
売却する際の手間がかかる
不動産を売却する際、単独名義であれば売主は一人なので、やりとりに手間がかかりません。しかし共有名義になっている不動産の売却には全員の署名・捺印が必要になり、時間がかかります。また、共有名義人のうち一人でも反対する人がいた場合、不動産全体を売ることができなくなってしまいます。
具体例を挙げると、夫婦が離婚してしまった場合、仮に夫がマイホームの売却を希望していても、共有名義人である妻が反対して住み続けることを主張した場合、売ることができなくなります。
また、相続によって取得した共有名義の住宅であれば、売却には相続人全員の合意を得る必要があります。会ったこともない人同士が相続人であったり、全国に分散して居住していたりと、手続きまでに手間がかかるケースも多くあります。また、反対する人が一人でもいた場合、売却できずにそのままにしておく以外に対処しようがないこともあります。
妻が退職した場合でもローンの支払いは続く
共有名義で住宅ローンを組んだ場合、たとえば妻が出産や介護で退職してしまったときでも、住宅ローンの支払いはそのまま続きます。また、退職すれば収入がなくなるため、所得税は発生しません。そのため、メリットとなっていた住宅ローン控除を受けられなくなります。
共有名義でも住宅ローン控除の恩恵は受けられる
共働きの夫婦が増えており、共有名義による住宅取得が増えています。共有名義のマイホーム取得にはメリットとデメリットの両方があるため、事前に夫婦でライフプランをしっかりと話し合い、それに合った方法を選択することが大切です。夫婦が共働きを続け、メリットを生かせると感じたならば、共有名義で登記するのもよいでしょう。
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May 21, 2020 at 10:00PM
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