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Tuesday, April 21, 2020

休校に伴い増えるSOS 虐待を防ぐために必要なこと(山脇由貴子) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

 千葉市では、未就学児と小中学生のいる支援の必要な家庭を訪問し、安全確認を進めている、と報じられました。休校中の虐待リスクの高まりを懸念してのことです。

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こうした取り組みは全国的に行ってゆくべきです。

休校長期化による虐待リスクの高まり

 新型コロナウィルス感染拡大防止のための休校が長期化している中、親から子どもへの虐待リスクの高まりが懸念されます。親子が一緒に過ごす時間が長くなることで親の負担が増え、さらには子どもが勉強もせずにゲームやスマホばかりいじっていたら、親はどうしても子どもを怒る頻度が増えてしまいます。仕事がテレワークになり、家で仕事をしなければならないけれど、子どもが邪魔をするので集中できずにイライラしてしまう、というご相談も多く受けています。

 加えて、仕事がなくなった、収入が減ったなどの親の方にストレス要因があると、子どもに対してイライラしてしまうことは多くなります。ストレスや怒りというのは、向けたい相手に向くのではなく、向けやすい相手に向くのです。だから多くの家庭において、怒りは一番弱いものに集中して向けられます。その結果が親から子どもへの虐待につながってしまうことがあるのです。新型コロナウィルスの影響はいつまで続くか分かりません。誰もが、見通しの立たない不安を抱えています。そして不安の解消方法を見つけられずにいます。怒りのぶつけ先もありません。この解消出来ない不安と怒りが、子どもに向けられてしまうかもしれないのです。

児童相談所や役所の家庭訪問は複数で 個別に話を聞く重要性

 

 千葉市と同じように、全国の児童相談所や自治体は、支援が必要な家庭への訪問は行っているはずです。厚生労働省からも、全国の自治体に対して、虐待防止のための子どもの状況把握を求めています。

 千葉市は、原則は1人で訪問、状況によっては複数で訪問としていますが、重要なのは必ず複数で訪問することです。玄関先で親と一緒にいる子どもに、困っていることはないか、と尋ねても子どもは本当のことは言えないことが多いのです。叩かれている、食事を抜かれている、などの虐待を受けている子どもは、正直に話せば、あとで親からひどい目にあわされると怯えているからです。深刻な虐待でなくても、親の目の前で親のことを悪く言うのは子どもには難しいことです。ですので、複数で訪問し、親と子を分けて話を聞くことが重要です。玄関先で子どもに傷やあざがないかを確認するだけでは十分とは言えないのです。また、親の方も子どもの前で「子どもがずっと家にいるのでイライラして困る」「お金がなくて困っている」などとは言いにくいかもしれません。そして夫から妻が暴力を受けている場合も、夫が家にいたら、そのことは絶対に言えません。親、子、それぞれと個別に話を聞くことが重要です。

 

学校の先生の協力も必要

 休校期間中は、学校の先生の協力も必要です。

 児童相談所や市区町村は、支援の必要な家庭の情報を共有しています。千葉市も支援の必要な家庭の中で未就学児と小中学生のいる家庭を訪問し、安全確認を進めています。これは全国に共通していると言えるでしょう。ですが、今まで支援が必要なかった、児童相談所に相談や通報がなかった家庭が今、危機に陥っているかもしれません。家族全員がずっと一緒にいるようになったことで、夫婦関係や親子関係が悪化している家庭もあるはずです。親の収入源で、生活に困窮している家庭も出てきているはずです。こうした家庭を発見することも重要です。

 児童相談所と市区町村職員が訪問するのは、あくまでこれまでに「支援が必要」と判断した家庭です。今までは、学校という場で子どもの安全確認ができました。子どもは、学校にSOSを発信出来ました。ですが、休校中の今は出来ません。だから学校の先生の協力が必要なのです。学校の先生は、親に電話を入れてあげて下さい。メールでも構いません。困っていることはないか。子どもの様子に変化はないか。夫婦喧嘩や親子喧嘩は増えていないか。聞いてあげて下さい。誰かが自分を気遣ってくれている、と思えるだけで救われるお父さん、お母さんもいるはずです。そして困っていることがある親には、児童相談所や市区町村の窓口を紹介したり、経済的に困っている親には生活保護なども紹介してあげて下さい。相談窓口を知らない親もたくさんいます。悩みを抱え込んでいるかもしれないのです。

増えるSOS,内容と件数の公表を

 フランスでは、外出自粛で、’虐待通報’が約2倍になったそうです。

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 日本ではどうなのでしょうか。休校となった後の虐待通報の増加件数は報告されていません。

 千葉市児童相談所では、休校が始まった3月以降「親子げんかが増えた」などの声が複数寄せられているそうです。全国的にも、虐待の通告件数や相談件数は増加しているはずです。その内容と件数は公表されるべきです。児童相談所が子どもを保護した件数も公表されるべきです。新型コロナウィルスの影響と休校によって、虐待件数は増えたのか。虐待リスクの高まりについては報じられていますが、実際の件数は発表されていません。増えているのであれば、子どもに関わる現場の人間の危機意識も高まります。学校の先生達も積極的に協力してくれるようになるでしょう。そして虐待件数が増加していると一般の人が知れば、子どもの泣き声や大人の怒鳴り声を聞いた時に、「通報しなければ」という意識を高めてくれるはずです。

 また、どんな相談が増えているのか、その内容を公表することも意味があります。この状況で親子はどんなことで困っているのか。それはその声を聞いた現場の人間しかわかりません。それを公表することで、親子に今どんな支援が必要なのかが見えてきます。児童相談所も市区町村も他の地域の相談内容は把握していませんから、他の地域から学ぶことも出てきます。自分達がやらなくてはならないこと、気を付けなければならないことが見えてくるはずです。

 休校が続く中、全国で児童相談所や市区町村による家庭訪問は、定期的により丁寧に、続けてゆくべきです。それに加えて、今、親が、子どもがどんなことで困っているのかを皆で共有し、学校などの子どもに関わる現場の先生達、地域の人たちで親子を支えてゆくことが必要です。

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