2022年12月2日より発売予定のサバイバルホラーゲーム『Callisto Protocol』(カリスト・プロトコル)。海外で行われたプレビューイベントに参加し、本作の初公開となるデモを遊んできたので、開発チームを率いるグレン・スコフィールド氏への取材内容も交えつつ、その内容をお伝えしましょう。
本作の対応プラットフォームはプレイステーション5/プレイステーション4/Xbox Series X|S/Xbox One/PCで、日本語対応も予定されています。
[2022年10月27日追記]
CEROレーティング上の問題により、日本での発売が中止になったとのこと。詳細な情報が判明次第、記事をアップデートいたします。
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日本発禁『デッドスペース』のスタッフが再集結して挑む完全新作
本作を開発するのは、カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のゲームスタジオ、Striking Distance Studios。実はこのスタジオ、かつでEA傘下のVisceral Gamesで『デッドスペース』シリーズを手掛けたスタッフたちが集まったスタジオとなっています。
『デッドスペース』は、人間が変貌した異形のクリーチャー“ネクロモーフ”との戦いを描いたサバイバルホラーゲームの名作。クリーチャーの四肢切断が主要な攻撃方法というハードな描写が災いしてシリーズのほとんどの作品が公式には日本未発売に終わりましたが、記者のように輸入版などで楽しんだ人やプレイ動画を通じて知っている人も少なくないでしょう。
スタジオトップのスコフィールド氏らは初代『デッドスペース』を手掛けたのち、Sledgehammer Gamesを設立してアクティビジョンのFPS『コール オブ デューティ』シリーズの開発を担うスタジオのひとつとなり、『コール オブ デューティ アドバンスド・ウォーフェア』や『コール オブ デューティ ワールドウォーII』などを手掛けて一部が再独立。
そこにスコフィールド氏のEA離脱後に『デッドスペース2』などの後続の作品を手掛けていたスティーブ・パプーティス氏らの開発スタッフも合流してできたのがStriking Distance Studiosで、その第1作となるのが本作というワケです。
そんな経緯もあって、『Callisto Protocol』と『デッドスペース』はシステム的にかなり似ている部分が多く、ストーリーはまったく違えどオリジナルスタッフによる後継作のような性質も持っています。来年1月27日にはエレクトロニック・アーツからリメイク版『デッドスペース』も予定されているので、ある種新旧スタッフの対決にもなっています(記者はどっちもやりますが)。
では『Callisto Protocol』は実際どういうゲームで、『デッドスペース』とどんな違いがあるのか? デモ版をプレイしてわかったことを解説していきましょう。
《物語・舞台》地獄と化した巨大刑務所からの生還を目指せ
本作の舞台となるのは、人類が宇宙に進出した300年後の未来。主人公のジェイコブ・リーは、木星の衛星カリストにある巨大刑務所“ブラックアイアンプリズン”に収監されていたところ、人体を変貌させるクリーチャーが発生。ジェイコブは生還を目指して施設内を奔走することになります。
というわけで両作とも宇宙進出時代のホラーなのですが、初代『デッドスペース』が「“USG石村”という巨大宇宙船を舞台に修理工のアイザックが手持ちの工具を活かして活躍する話」なのに対し、『Callisto Protocol』では「囚人のジェイコブが惑星上に広がる刑務所で看守が持っていた囚人制圧用のアイテムなどを駆使して奮闘する話」で、微妙に違ってきます。
ゲーム構造的には昔ながらのエリアごとに順番に進んでいくサバイバルホラーでありオープンワールドゲームのようなタイプではありませんが、宇宙船と惑星の地表に広がる巨大な施設ではスケール感やマップギミックなども変わってきます。
今回のデモでは第3エリアにあたる下水処理場のような場所を進んでいくパートを遊べたのですが、終盤では放水路のような場所を延々と流されていくシーンがあり(※)、そのスケールを感じさせる内容となっていました。(※途中にあるファンに当たるとグシャッと切断されて死亡なのでスティック操作で避けていく)
スコフィールド氏に全体の構造について聞いてみたところ、惑星上の施設ということで『デッドスペース』のような無重力空間などはないそうなのですが、かといって地表上だけで話が展開するわけでもなく「ゲームが進むともっと“深い所”も進んでいくことになる」そうで、どうもカリストの地下には何かがあるようです……。
UIをキャラクターデザインに組み込んだスタイリッシュな画面づくりは健在
ところで『デッドスペース』と言えば、体力バーなどの表示を主人公のスーツのデザインに組込むことで、画面上のゲーム的なUI表示を極力廃した画面づくりも特徴のひとつです。
それは『Callisto Protocol』でも踏襲されており、『デッドスペース』では背中に表示していた体力バー等を今作では首筋に表示しています。多分これは囚人管理のためにそういう機器が埋め込まれるのでしょう。
銃の残弾などもちゃんとジェイコブが持っている銃の上部に表示されるので、プレイ中の画面内にはいかにもゲームUI的なUIがそのまま出ることはほぼないようになっています(一部のチュートリアル的な表示などは除く)。
《戦闘システム》さまざまな手段を臨機応変に組み合わせ、進化するクリーチャーに対抗せよ
近接戦闘がかなり重要。連撃から銃撃に移行できるコンボシステムもアツい!
さて肝心の戦闘システムは、実際にプレイしてみてかなり驚かされた部分です。本作はスタイルとしてはTPS(三人称視点シューティング)のゲームであるものの、かなり近接攻撃を多用することになります。
囚人制圧用の電撃警棒の弱攻撃と強攻撃を使ってクリーチャーを殴っていくわけですが、スティック入力で敵の攻撃を避けるドッジ(回避)やガードなども可能になっているので、敵の攻撃を避けながら連続で殴ることも可能です。
しかもコンボシステムまであり、何度か近接攻撃を当ててクリーチャーがよろめくと、その体の上に照準マークが出現。そのまま銃を抜くとロックオンしたままスムーズに銃撃に移れます。これはテンポ感も良く、しかも撃ちもらしが少なく弾の節約にもなるので、サバイバルホラーという性質上あまり弾数に余裕がない本作ではかなり頼りがいのあるシステムです。
今回の合言葉は“触手を撃て!” 進化するクリーチャー
そしてこのコンボシステムとある意味対をなしているのが、クリーチャーの進化システムでしょう。
本作のクリーチャーは戦闘中に変身して進化を遂げることがあります。進化の前段階に入ると胸から触手が飛び出てしばらくうごめいているので、このあいだに触手部分に銃撃を叩き込めれば倒せます。しかし倒しきれないと進化が発動し、相手が強化されてしまう、という仕組みです。
『デッドスペース』ではプラズマカッターでの四肢切断がクリーチャーを倒すカギであり、ゲーム中に血文字で“Cut off Their Limbs”(奴らの四肢を切断しろ!)とメッセージが残されていました。それと同じように今回は「触手を撃て!」(Shoot The Tentacles)がキーワードとして背景に描かれていたりします。
これが近接コンボなどとどう関係してくるのかというと、複数の敵を相手にするようなシチュエーションが顕著です。
近接コンボが便利だからといって1体の相手をするのに集中しすぎていると、その間に軽くダメージを入れていたもう1体が進化準備を始めてしまって、気がついた時には時すでに遅し、進化完了して突っ込んでこられて一気にピンチに……といったことが起こります。なのでシチュエーションに応じた臨機応変なリスクコントロールと対処が重要です。
念動力系能力、ステルスキルなどの選択肢も
銃と近接攻撃以外の第3の武器となるのが、G.R.P.(グリップ)と呼ばれる能力。これは『デッドスペース』に出てきたKinesisモジュールのような念動力系の能力なのですが、こちらは囚人制圧用に作られたものとなっており、Kinesisとは異なり生体への使用が可能です。非常に幅広い活用法があり、以下のようなことが可能になります。
- ひとまずクリーチャーの動きを止めて浮かせる
- 浮かせたまま遠距離攻撃系の敵への盾として使う
- 回転するファンやトゲトゲの出ている壁などにふっ飛ばして倒す
- そのまま階下などに投げ飛ばす
- ボンベなどに対して使用して、敵に投げつけて攻撃する
そのほか、シチュエーションによってはクリーチャーの背後から近付いてステルスキルを行えるような場面もあります。
近接・銃撃・コンボ・G.R.P.・周囲の環境・ステルスキルなど、シチュエーションとアイデア次第でさまざまな選択肢を利用できるようになっている戦闘は、スコフィールド氏も「間違いなく進化した部分だ」と語っていました。
なお今回は時間の関係上あまり深掘りできませんでしたが、道中にあるステーションで各種装備の強化ができるのも確認できました。
ステージは基本的に一本道の部分が多いですが、ちょっと道を外れてみると強化に使えるお金や弾、あるいはプレイヤー到着以前の背景を伝えるオーディオログなどが隠されていることがあったので、探索も重要そうです。まぁ、クリーチャーが追加で仕掛けられているようなトラップがないといいのですが……。
ライティングやフォグなどの演出も強化。3Dサウンドも注目
演出面についても触れておきましょう。『デッドスペース』で評価の高かったライティングによる視線誘導などの演出テクは本作でも健在です。水蒸気などのフォグ演出も加わって、不気味で不安なビジュアルを作り出しています。
場所によっては大量にフォグが吹き出して視界が悪化するようなパートもあり、いつどこから襲われるのか緊張感はマックス。そんな中で重要な機能となるのがサウンドです。スコフィールド氏いわく本作のサウンドは「(サバイバルのための)明確なひとつの“機能”として力を入れている」そう。
デモはプレイステーション5版をPULSE 3D ワイヤレスヘッドセットつきでプレイしたのですが、クリーチャーが迫ってきている時に壁の裏側や床下などを“何か”が動いてきているのがはっきりと音でわかりました。
本作では同じ場所でもプレイヤーの移動ルートや距離に応じてAIで敵の出現パターンが変わることがあるそうなので(※)、音はそれを嗅ぎつけて対応するための重要なツールになります。プレイする際はぜひお手持ちのベストな音環境でプレイしてみて欲しい所です。(※同じパートを何度かやり直した際、遭遇パターンが微妙に変わることが実際あった)
あとはこのままちゃんと出てくれるよう祈りたい
全体のボリュームは「正確に答えるのは難しいけど、10時間から14時間ぐらい」(スコフィールド氏)だそう。まだまだ序盤の基本を触っただけなので、この先どんな恐怖が待ち受けているのか非常に楽しみです。
スコフィールド氏に「今度こそ日本でちゃんと出ますよね?」と聞いたところ、「(『デッドスペース』の)当時とはレーティングの評価基準も変わっていると聞いているので大丈夫なはず。自分はカプコンにいたこともあるけど、このジャンルを切り拓いた『バイオハザード』の国だからもちろん出したいですね」とのこと。国内各プラットフォームでの予約なども進んでいるので、ぜひこのまま無事リリースされるのを祈りたいです。(※)
[2022年10月27日追記]
※グラフィック表現でCEROのレーティングに引っかかり、日本での発売が中止になったとのこと。詳細な情報が判明次第、記事をアップデートいたします。
からの記事と詳細 ( 『Callisto Protocol』海外プレスイベントでついに遊んだぞ! 名作『デッドスペース』のスタッフたちによる新作サバイバルホラーゲームをリポート - ファミ通.com )
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