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Monday, June 1, 2020

5/29成立! 今まで入れなかった750万人にプラス、iDeCoの法改正をポイント解説(山崎俊輔) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

iDeCoがさらに進化する今回の法改正は公的年金と私的年金領域セットで実施

5月最後の金曜日29日に、年金関連法案が参議院で可決、成立しました。今回は公的年金にかかる改正法案と、私的年金(企業年金等)にかかる改正法案をセットで行ったのが特徴です。

公的年金については、パート等への厚生年金適用拡大と、年金繰り上げ受給を75歳まで延ばせるようになったことがとかく取り上げられています。ただしニュースを読むとき、「75歳まで延ばさなくてもいい」ということは覚えておいてください。不満である人は今までどおり65歳から受け取れば、今まで通りのルールで年金給付されます。

仕事をしているなど年金受け取りを遅らせてもいい人が選べる選択肢が増えるというだけのことであり、破たんするから全員に75歳まで働けといっているわけではないのです。

さて、今回のコラムはこの法案の「私的年金」部分について取り上げてみます。特に影響の大きいのは「iDeCo(個人型確定拠出年金)」のルールが変わるということです。

実は今年の国会ではNISA(少額投資非課税制度)のルール変更も実現しました。2024年からスタートする新NISAと、今回改正により実現するiDeCoの見直しにより、今後も個人の資産形成において大きな役割を担っていくことになるでしょう。

改正のポイント1)規制緩和でiDeCoに加入できる人が750万人増加!

大きな変化は「企業型の確定拠出年金に加入している人もiDeCoに無条件で加入できる」ということです。

確定拠出年金制度は2種類あります。企業型の確定拠出年金は基本的に会社の退職金制度です。会社が掛金を出すのが原則です。一方でiDeCoは「個人型」の確定拠出年金ということで、個人が自由に加入して積み立てます。このふたつ、同じ「確定拠出年金」でも性格が異なります。

ところが、同じ法律で管理していたり、税制優遇を一定範囲で抑えるため「同時に両方入るのは制限付き」となっていました。要するに、企業型の確定拠出年金を会社がやっている場合、原則として個人はiDeCoは入れないということです。この春の実施企業を含めるとおおむね750万人くらいが加入しているといわれますが、実はこの750万人(会社員の約2割にもなる数です)がiDeCoに加入できなかったわけです。

(※今までの制度でも会社がiDeCo加入を認める制度に変更することもできたが、その場合会社の積み立て枠を引き下げるなど使い勝手が悪く、変更した割合は1%程度といわれる)

今回、企業型の確定拠出年金に加入している人は誰でもiDeCoに入れるようになります。ただし、企業型の確定拠出年金でマッチング拠出をしている人はそちらが優先されます(マッチング拠出は、企業型の確定拠出年金に個人のお金を追加拠出する仕組みで、事実上iDeCoと同じことをやっているため)。

積立枠は月2.0万円までです(会社に確定給付型の企業年金がある場合は1.2万円)。ただし会社の掛金が高額の場合、一定の制限が課せられます。

「(企業型の確定拠出年金の限度額)-(会社の拠出額)」

がiDeCoの上限になります。例えば

「(月5.5万円の上限)-(会社が4.5万円積み立て)=1.0万円までiDeCo可能」

という感じです。

iDeCoに加入できるかどうか、またいくら積み立て可能かは、企業型の確定拠出年金のWEBで表示される予定です。

いずれにせよ「750万人にiDeCo加入の道」が開かれることになりました。2022年10月が開始予定です(ただし、金融機関のシステム対応が前提)。

改正のポイント2)iDeCoに65歳まで加入可能に ただしこちらは制限つき

もともと企業型の確定拠出年金は、会社が認めていれば65歳まで加入できる仕組みでしたが、規制は厳しめでした。60歳以降も同じ会社で働き続けているなどの条件があって、転籍(グループ会社へ移るなど)や別の会社に再就職すると対象外となったのです。多くの人が60歳以降も働いている現状にそぐわない規制でした。

iDeCoのほうもは、60歳までしか加入できませんでした。法律を作った時点では60歳はもう老後だと考えられていましたし、それ以降非課税で積み立てることはさせない、というねらいもありました。

今回はそうした規制については緩和することとともに、公的年金に加入しているなら60~65歳までのあいだもiDeCoに加入できるようになります。そもそも公的年金の受給開始年齢の原則が65歳であるのに、iDeCoは60歳までしか積み立てられないというのもおかしな話です。そこが5年延びるわけです。

ただし、年金保険料を納めているかどうかをiDeCoに加入できるかの分岐点としたので、20歳から一度も未納せず40年分国民年金保険料を納めた人はiDeCoに60歳以降加入できないことになり注意が必要です。専業主婦も同様に加入できません(国民年金の第3号被保険者は60歳までなので)。つまり、

・会社員で60歳以降も厚生年金に加入している人

・国民年金保険料を60歳以降も納めている人

が対象となります。スタートするのは2022年5月からの予定です。

あと、企業型の確定拠出年金は70歳まで加入できるようになります(ただし、企業の規約が対応することが必要)。

改正のポイント3)iDeCoの受け取り開始時期は75歳まで遅らせられるように

iDeCoのお金は原則60歳にならないともらえません。これは年金受け取りを行わせる目的で税制優遇策を講じているからです。ただし、60歳でもらわなければいけないという決まりはなく、遅らせることもできます。

今までは60~70歳までのあいだに自分で受け取るタイミングを決めることができました。例えば65歳でリタイアするのでそこでもらおう、とか決められたわけです。

一方で、70歳まで手をつけなかった場合、強制的に解約させられました。2000年頃の最初の法案では「100歳人生」ということをまだ意識していなかったからです。むしろ「70歳でもらい始めないとか、生きているうちにもらうつもりがないだろう(非課税で増やしたお金を相続財産として子に回すつもりだろう)」という趣旨の規制だったようです。

時代も変わり、公的年金も75歳までもらい始める時期を遅くできるようになりました(今回の法改正で実現)。これにあわせて、iDeCoや企業型の確定拠出年金について、「60~75歳までのあいだで受け始める」というように5年拡大することになりました。

また、重要なポイントですが「60歳から受けられる」は変わりません。後ろを5年伸ばしましたが、60歳のほうはそのまま。これは高齢期のお金のもらい方はニーズがいろいろある、という状況を踏まえたものです。実施は2022年4月の予定です。

地味な改正ながら、iDeCoが徐々に使い勝手がよくなる

確定拠出年金に関する主要な改正項目を紹介してみました。今回の改正はひとつひとつは地味な内容ですが、実はそれぞれが使い勝手を良くする改正となっています。

なんといっても「企業型の確定拠出年金に入っている人はiDeCoに入れない」という規制が外れます。すでに説明したとおり、最大で750万人に恩恵があります。「なんで、オレiDeCoに入れないんだよ」という人がいなくなるのはいいことです。

また、iDeCoが100歳人生時代に対応をしてきたというのも大きな変化です。2000年頃と時代が変わってきたことを踏まえ「65歳まで積み立てできる」「受け取りを最大で75歳まで遅らせられる」ようになります。65歳まで積み立てのほうは、できれば無条件で誰でもできることが好ましいのですが、それでも規制緩和としてはよい方向です。これ以上の緩和は公的年金の改正(国民年金に最大45年加入できるようにするなど)も必要で、将来に期待したいところです。

確定拠出年金制度は、何度も改正を重ねながらその利便性向上への努力が行われてきました。きっと今回の改正も、多くの国民の老後を豊かにする一歩となるはずです。

追伸

今回の解説記事については、法案資料をベースにまとめており、国会での微修正について反映できていない点があれば(たぶん記事についてはないと思いますが)、判明次第修正をします。

また、参考記事として下記を紹介します。ご参考まで。

第一生命 年金通信「私的年金の制度改正について~「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」の解説~」が詳細な法案解説を行っており、実務家向けの解説記事としては優れています。(3/12掲載時の情報にもとづくことに注意)

みずほ総研「年金改正法案のポイントと評価 全世代型社会保障に向けて残された課題」3/13掲載

ニッセイ基礎研「年金制度改正案の概要」4/1掲載

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June 02, 2020 at 07:50AM
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