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Thursday, February 6, 2020

新型コロナウイルス問題、「疑わしい社員」の就業を会社は制限できるか - 日経xTECH

Q. IT企業の人事部門勤務です。新型コロナウイルスによる肺炎(新型肺炎)について他社はどのような対策を取っているのでしょうか。社員からも海外出張だけでなく個人的に海外旅行に行ってもよいか、などの問い合わせが来ています。インフルエンザと同様の対策でよいのでしょうか。

 感染情報が頻繁に報道されています。新型肺炎は、季節性インフルエンザとは類型が異なります。季節性インフルエンザは対象社員の出勤を禁止できません。一方で、新型肺炎は都道府県知事が就業制限の勧告などを行うとされていて、会社はそれに従うことになります。出勤を法的に制限できるか否かが労務面での大きな違いになります。

 新型肺炎については法的に制限が強くなりますので、社内に感染者が出ないように季節性インフルエンザより厳格な対策が必要です。

 感染情報は、本記事掲載時から変わっている場合がありますので、官公庁のWebサイトなどで最新情報を確認してください。職場向けには厚生労働省のWebサイトで「新型コロナウイルスに関する事業者・職場のQ&A」が公開されています。

就業制限になる感染症は

 就業制限になる感染症に重症急性呼吸器症候群(SARS)、鳥インフルエンザ、中東呼吸器症候群(MERS)などがあります。会社はこれらの対象となる社員の出勤を制限しなければなりません。今回の新型肺炎では、社員の感染が確認された場合は、都道府県知事の勧告に従うことになります。行動経路を考えて感染が疑わしいと思ったら、まずは社員自らが出社を控え医療機関に行く姿勢が必要です。

 一方で、季節性インフルエンザに出社制限の法的根拠はありません。「もう体調はいいのに会社から休めと言われた」「会社命令で休んだのに有給休暇を取らされた」などで休業補償の問題が生じます。筆者は、季節性インフルエンザも同様に、完治するまで社員は自ら出社を控えるべきだと思います。感染する病気であり、同僚への気遣いが必要でしょう。

何もしない会社のほうが問題

 海外出張の制限、個人の海外旅行における旅程の報告、感染が疑われる症状発生時の自宅待機や医療機関への受診などは遠慮せずに指導すべきです。

 海外渡航に関しては、業務かプライベートかに関係なく渡航先、出国/帰国予定日や便名などを会社は把握できるようにしたいものです。社員だけでなく家族の発症についても報告を義務付け、状況を把握したほうがよいでしょう。報告内容は氏名、年齢、勤務場所、症状や通院状況などです。

 よく一般論で言われる「個人情報やプライバシーの侵害だ」という話になるのではと曖昧な対応になるケースがあります。しかし、会社には社員に対する安全配慮義務があり、何もしない会社のほうが問題です。職場の安全については多くの社員の理解も得られるはずです。躊躇(ちゅうちょ)せず対策を講ずるべきです。

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