連載から24年、鳥山明の隠れた名作漫画「SAND LAND(サンドランド)」が再び脚光を浴びている。2023年8月のアニメ映画公開を皮切りに、動画配信サービス「Disney+」での世界独占配信、新作ゲームの発売、フィギュアなど玩具の展開と続く。なぜ今なのか? なぜSAND LANDなのか? SAND LANDのゲーム制作を担当するバンダイナムコエンターテインメント(東京・港)の南敬洙(みなみ けいしゅ)プロデューサーに話を聞いた。
「鳥山明」と聞いて、誰もが思い浮かべるのはまず「ドラゴンボール」、次いで「Dr.スランプ」だろう。確かに長編代表作はその2作。一方で、「COWA!」や「カジカ」「銀河パトロール ジャコ」のように、話数も少ない小品でありながら、個性とユーモアがばちばちに光る作品もたくさんある。
代表格が2000年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、コミックス全1巻として発売された「SAND LAND」だ。
「ワルの中のワル」を自称する悪魔の王子「ベルゼブブ」と、そのお目付け役の魔物「シーフ」、人間である保安官の「ラオ」の3人が、水不足にあえぐサンドランドの人々を救うため、幻の泉を探す旅に出る。魔物と老人、戦車が活躍する快活な物語で、鳥山氏自身「僕好みの渋いネタを詰め込んだ個人的にもっとも大好きな漫画作品」と公言している。
率直に言って名作だ(と筆者は思う)。だが、20年以上前の、たった1巻で完結する漫画作品。ドラゴンボールでさえ「アニメは知っているけど、漫画は読んだことがない」という若者が多い時代、SAND LANDの存在すら知らない人も多いだろう。
それにもかかわらず、今、SAND LANDを巡るプロジェクトが活発に動いている。
22年12月に「SAND LAND project」を始動し、23年8月には映画「SAND LAND」を公開。24年3月20日には、映画に、鳥山氏自身がキャラクターデザイン、ストーリー原案を務めた新作パート「天使の勇者編」を追加してシリーズ化。「SAND LAND: THE SERIES」として、Disney+で全世界配信を開始している。
同年4月25日には、PlayStation 4/5、Xbox series X|S、PC向けの新作ゲームも発売した。今後フィギュアなど関連玩具の発売も続く。
なぜ今、SAND LANDなのか? この1点を知りたくて、ゲーム制作を担当したバンダイナムコエンターテインメントの南敬洙プロデューサーに話を聞いた。
なお、読者もご存じのように、鳥山氏は24年3月1日に亡くなった。心からお悔やみ申し上げます。
なんで今、SAND LANDなのか
――いきなりの質問で恐縮ですが、なぜ今、SAND LANDなんですか?
南敬洙氏(以下、南) バンダイナムコグループでは、IP(アニメやキャラクターなどの知的財産)の魅力を最大化して多くのお客さんに魅力を届けることを事業の軸に置いています。しかも、ゲーム、アニメ、映像、フィギュア、超合金など、あらゆる媒体を使って、世界中のファンに魅力を届けたい。
伝わる魅力は、媒体ごとに違うと思っているんです。例えば、アニメ、ゲーム、フィギュアそれぞれ好きなお客さんがいらっしゃるので、バンダイナムコグループとして“オールバンダイナムコ”で最適なタイミングで、最適な地域に、商品を展開していきたいと思っています。
そこで、なぜSAND LANDなのかということですよね。鳥山先生の作品というと「ドラゴンボール」がやはり一番に思い浮かびますが、先生の作品の魅力はドラゴンボール以外にもたくさんあると思っているんです。中でもSAND LANDはとても大きな可能性を秘めていると考えました。
――とはいえ、原作は20年以上前の作品です。コミックスも1冊だけ。SAND LANDは私も大好きで、連載で読み、コミックスも持っています。ですが、それでもなぜ今、SAND LANDなのかが純粋な疑問なんですよね。
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