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Sunday, February 11, 2024

【上阪 徹】そんなことが…「キユーピー」の「深煎りごまドレッシング」開発のウラ側にあった「意外な苦境」 - ライブドアニュース - livedoor

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ロングセラー商品はどのようにして生まれ、どのようにヒットをつづけてきたのか。その道のりをたどる「ロングセラー物語」。今回は発売から24年となる、キユーピーの「深煎りごまドレッシング」にスポットを当てる。現在のブランド担当者が商品の歴史と今を語る。

〔撮影:西崎進也〕

【語る人】大山寛介さん おおやま・かんすけ/'83年、愛知県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、'06年にキユーピー入社。営業、調理食品開発担当を経て、'21年より調味料商品開発担当。23年より同チームリーダー。

大山さん

胡麻の香りを封じ込める

1919年創業のキユーピーは58年に日本初のドレッシング「フレンチドレッシング(赤)」を発売しました。

以後も、「中華ドレッシング」や「1000アイランドドレッシング」などを展開、サラダが少しずつ食卓に浸透していく中、ドレッシングのリーディングメーカーとして市場を牽引していました。

ところが'89年、競合メーカーからノンオイルの和風が登場し、市場を席巻するんです。単品シェア1位も奪われてしまい、当社が'90年代に挑み続けたのは、自分たちのオリジナルな唯一無二の商品づくりでした。

そんな中、コーヒーを淹れるのを趣味にしていた開発者がひらめくんです。焙煎したてのコーヒーは香りがいい。これをごまに転用できないか、と。ただ、ごまを深煎りするとアクセントが強すぎる。そこで乳化タイプのドレッシングにして味をマイルドにすることにしました。

ごまはすった瞬間に最高の香りが出ますが、その香りはすぐになくなってしまいます。そこで「深く焙煎した香ばしいごまのすりたての香り立ち」をドレッシングに封じ込めることを思いついたんですね。 

約1年をかけてすった瞬間の香りを最高に楽しめる製法を開発。これには、環境面の幸運もありました。当時は研究開発が工場の敷地の中にあり、試作したものをその横にある工場に持っていって試験してみる、といったことがやりやすかったんです。

新しい設備を入れるとなると時間も費用もかかりますが、それが不要だった。また、工場の社員たちも「これは期待できる」と思いを一緒にしてくれたそうです。

試作品ができて2ヵ月ほどしたとき、たまたま開発者の同期の商品企画の担当者が研究所を訪ねてきました。

開発者の上司が何気なしに試作品のドレッシングを出したところ、商品開発担当者は驚いて「これ、今日の会議で出していいですか?」と聞いたのだそうです。そして実際に直後の会議で、あっという間に決まった。

一口食べて「なんだ、これは!」と思わせる力がやっぱりあったんだと思います。まず'99年に業務用が、'00年に家庭用が発売になり、一気にシェアを伸ばすんです。

「サラダを食べられるようになりました」

私は当時、高校生だったんですが、家で食べたときのことを今も覚えています。まったく見たことがなかったごまを使ったドレッシング。これなら野菜を食べられるな、と思いました。野菜自体を好んで食べない私がサラダを好んで食べるようになったのはこの商品との出会いがきっかけといっても過言ではありません。

今はあらゆるカテゴリーが成熟してきて、お客様ニーズも細分化しているところがありますが、'00年代の初頭は、まだまだ世の中になかったものが爆発的にヒットする時代でした。

深煎りした乳化タイプの胡麻のドレッシングというのは、「なんだ、これは」という驚きをもたらしたんだと思います。

ドレッシングは、一人一人の好みに合わせて楽しむ調味料で、酸味や塩味、辛みなどの特徴が強いため好き嫌いが分かれがちな商品なんです。でも、「深ごま」はどんな世代からも「これなら食べられる」と支持されたんですね。子どもが野菜を食べられるようになった、という声は今も多いです。

キユーピーの「深煎りごまドレッシング」、企業の担当者も驚く「意外な使い方」の数々…!】に続きます

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