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Saturday, July 15, 2023

家屋が浸水したら感染症に注意 水害後の清掃で気を付ける3つの ... - ウェザーニュース

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2023/07/16 09:00 ウェザーニュース

梅雨前線の影響で秋田県を中心に記録的な大雨となり、河川の氾濫による浸水や冠水の被害が発生しています。

床上・床下浸水をこうむった家屋の清掃・後片付けは必須ですが、その際は感染症対策にも注意が必要です。

感染症予防のため、水害時の清掃の際に知っておくべき「3つのポイント」について、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター科長の山口順子先生に解説して頂きました。
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衛生環境の悪化による感染症に注意

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水害発生後の後片付けなど清掃作業の際に感染リスクが高い感染症には、どのようなものがありますか。

「レジオネラ菌を含んだ霧状の小さな水滴(ミスト)を吸い込んだことによる『レジオネラ症』、ネズミなどの尿から排出された病原性レプトスピラという物質に汚染された水や土壌への接触による『レプトスピラ症』、土の中の常在菌である破傷風菌がつくる神経毒素が原因の『破傷風』などが、水害時にリスクが増す主な感染症です。

いずれも家屋内へ氾濫した河川やあふれた下水道などから汚水が流れ込むことで衛生環境が悪化して、細菌やカビの繁殖、害虫の発生が進みやすくなることが、大きな原因です。汚染水の誤嚥(ごえん)による肺炎にも注意が必要です。

そのため、浸水した家屋を復旧させるためには、洗浄や消毒を行う必要があります。

ただし、ケガをしていたり、避難などにより体力が低下していると、感染症のリスクを高める要因になるので、清掃作業に取り掛かる前には、健康状態のチェックも忘れずに。早く片づけてしまいたい気持ちはわかりますが、けっして無理はしないでください」(山口先生)

水害に見舞われてしまった後の清掃作業時に、感染症リスクを下げるために注意するべき「3つのポイント」を教えてもらいます。

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▼ポイント1:しっかり換気

「まず、清掃を始める前にドアと窓を開いて、『しっかり換気』をすることが大切です。

水害から数日経って自宅に戻ると、屋内にカビが発生していることがあります。清掃中にカビを吸ってしまわないよう、事前の換気をしっかりとしておいてください」(山口先生)

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▼ポイント2:清掃時の装備

清掃時の装備も重要なポイントです。

「感染症は、ケガによる傷口からの感染に十分な注意が必要です。丈夫な手袋と底の厚い靴などを身に着けてください。軍手だけでなく、ゴム手袋も着用するのが感染症予防のためには確実です。また、長袖など肌が露出しない服装を着用するようにしてください。

作業中にけがをしたときは傷口を流水で洗浄し、消毒してください。深い傷や汚れた傷は破傷風の原因になります。破傷風は医療機関で適切な治療を受けないと死亡することもある、危険な感染症です。

土ほこりが口から入って、のどや肺に炎症を起こすことや、目に入って結膜炎を発症することもあります。それらの予防として、ゴーグルやマスクを必ず着用してください」(山口先生)

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▼ポイント3:汚泥を取り除いてしっかり乾燥

作業の際は「汚泥」と「乾燥」をとくに意識するようにしましょう。

「床や壁などに付着した汚泥は、きちんと取り除いてください。ステンレス製の調理台、シンクなどの硬い金属部分に付いた汚泥は、水と食器用洗剤や洗濯石けんなどで洗い落しておきましょう。

洗うことができない畳やカーペット、布製のソファーなどは惜しいと思わず、廃棄してください。壁や天井まで浸水してしまった場合、業者に依頼するなどして断熱材や石膏ボードなどの撤去も必要になります。

汚泥などの撤去が済んだら、扇風機なども活用して、室内をしっかりと乾燥させてください。乾燥に数日間かかる場合もあります。

また、清掃作業を終えたら、きれいに手を洗うことはもちろんのこと、シャワーを浴びて、全身の汚れを洗い落としておくことも、感染症の予防に効果があります。さらに、清掃作業で汚れた服は、汚れのない洗濯物と別に洗うようにしましょう」(山口先生)

水害時の消毒法

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清掃と乾燥が済んだら消毒する必要があります。水害後の消毒に適切な消毒薬や手順のポイントも教えてもらいました。

「まず、消毒液が皮膚や目に付着しないよう、ゴム手袋や長靴、ゴーグルなどを着用して作業してください。

消毒薬は、汚染の度合いがひどかったときや、家屋が長時間水に浸かっていたときは、次亜塩素酸ナトリウムを使います。色あせや腐食などにより次亜塩素酸ナトリウムが使えない場合がありますが、その際はアルコールか、10%塩化ベンザルコニウム逆性石けんを使います。

次亜塩素酸ナトリウムは塩素系のため、他の消毒液と混ぜないでください」(山口先生)

これらはいずれもドラッグストアなどで販売されている消毒薬ですが、それぞれの使用手順はどのようにすればいいですか。

「消毒薬は希釈して(薄めて)使用するのが基本です。簡易的な方法として、0.1%ならペットボトルを用いて、キャップ1杯が4~5mlですので、キャップ2杯分の消毒薬に水1Lを加えてください。0.02%ならキャップ1杯に対して水2Lが目安です。

家具類や床を消毒する場合、次亜塩素酸ナトリウムは0.1%に希釈し、汚泥などを洗い流すか、雑巾などで水拭きしてから十分に乾燥させます。そのうえで希釈した液を浸した布などでよく拭いてください。

消毒用アルコールは原液のまま、10%塩化ベンザルコニウム逆性石けんは0.1%に希釈します。使い方は次亜塩素酸ナトリウムと同じです。

食器類や流し台、浴槽の場合は、次亜塩素酸ナトリウムを0.02%に希釈して食器用洗剤と水とともに洗います。希釈した消毒液に5分間漬けるか消毒薬を含ませた布で拭いて、水洗い、水拭きの後、よく乾燥させます。

消毒用アルコールは希釈せずに原液のまま、10%塩化ベンザルコニウム逆性石けんは0.1%に希釈します。こちらも以下の手順は次亜塩素酸ナトリウムと同じです」(山口先生)

もし自宅が浸水などの被害に遭ってしまった場合は、清掃や消毒、身支度などを適切に行い、感染症予防に努めましょう。


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さらに被災者がケガをしたり、避難などにより体力が低下したりすることも感染症のリスクを高める要因になります。

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参考資料など

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