東京大学宇宙線研究所と早稲田大学などの共同研究チームは、現在見つかっている銀河の中で最遠方の候補となる、135億光年かなたの宇宙に明るく輝く銀河の候補を発見した。この銀河は非常に明るく、これまでの銀河形成モデルでは予想されていなかったような天体だという。
研究チームは、すばる望遠鏡やチリのビスタ(VISTA)望遠鏡などによる合計1200時間以上の観測によって得られた70万個以上の天体データから、135億光年かなたの最遠方銀河の候補天体である「HD1」を発見。さらに、HD1に対してアルマ(ALMA)望遠鏡を用いた分光観測を実施し、135億光年かなたの天体からの酸素輝線が予想される周波数に弱いシグナルを見つけた。
研究チームによると、HD1は非常に明るく、これはHD1のような明るい天体がビッグバン後わずか3億年の宇宙に既に存在していたことを示唆しているという。これまで見つかった銀河の中で最も遠方のものは、ハッブル宇宙望遠鏡が発見した134億光年かなたの銀河「GN-z11」であった。今回、研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡よりも長い波長をカバーしている地上望遠鏡の観測データを用いることで、GN-z11よりも遠方の宇宙に存在する銀河を探査した。
HD1は今後、ジェイムズ・ウェッブ(James Webb)宇宙望遠鏡の分光器により観測が実施されることになっている。同望遠鏡による分光観測により正確な距離が確認されれば、GN-z11より1億光年遠い、これまでの記録を塗り替える最遠方の銀河になる可能性がある。今回の研究成果は4月8日に、アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)のオンライン版に掲載された。
(中條)
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