■ニック木村の「今さら聞けないサステナビリティ」(4)
「SDGs」「ESG」「CSR」。サステナビリティを取り巻く状況は日々変化し、新たな用語も増えた。そもそもサステナビリティ領域は、どこから理解すれば良いのだろうか。カシオ計算機で約12年間サステナビリティの管理職を務めた「ニック木村」こと木村則昭・オルタナ総研フェローが「今さら聞けないサステナビリティ」の疑問にお答えする。
【Q4】中小企業にCSRは必要なのでしょうか。
当社の社長は、うちは事業が大変だから余裕がないと言っています。
【A4】中小企業にとってCSRは「企業価値を向上させる」ためにとても重要なことです。
もちろん、CSRに取り組まないからといって法的な制裁を受けるわけではありませんが、CSRに取り組むことで、中小企業にとってもメリットはたくさんあります。 前述した通りCSRとSDGsは、見る視点が違うだけで「やることは同じ」ですので、ここではCSRをSDGsに置き換えて説明しましょう。 グローバル企業をはじめ世界中の企業がSDGsに本格的に取り組み始めたのは、2017年のダボス会議において「SDGsは2030年までに12兆ドル(約1400兆円)の新たな市場機会を産み出す」という試算が発表されてからです。 その後、デロイト・トーマツからも市場規模20兆ドル(約2300兆円)という試算が発表されました。実に現金なものだ、という気もしますが、単に数字に踊らされているのではなく、世界の超優良企業がこぞってSDGsへのコミットメントを表明しているのは、それが単なる社会貢献にとどまらず、事業にも貢献すると確信しているからに他なりません。 別の言い方をすると、SDGsへの取り組みは「社会的価値」と「市場的価値」の両方とも創出するのです。 「そんなのは大企業だけの話だろう、中小企業にとってはむしろ『慢性的な人材不足、回復しない一人当たりの生産性の低下、後継者不足』の方が喫緊の経営課題であって、SDGsは二の次」、そう考える中小企業の経営者がいても無理はありません。 ※この続きは「オルタナ・オンライン」をご覧ください。 ◆木村 則昭(オルタナ総研フェロー) 1982年上智大学外国語学部英語学科卒業後、2021年5月まで39年間カシオ計算機株式会社に勤務。初めの約27年間はシステム商品の海外営業を担当。その間オーストラリアに約2年、米国に約4年の駐在を経験。その後の約12年間はCSR推進室(後にサステナビリティ推進室)室長としてコンプライアンス及びCSR(サステナビリティ)のグループ内への浸透を推進。グローバルコンパクトの原則に基づき、ISO26000をガイダンスとして、特に「人権」を重点課題として取り組みを進めた。また、2015年にCSRリーダー組織を立ち上げボトムアップによるCSRのグループ内浸透を図った。 2018年度よりオルタナが主催するサステナビリティ(SUS)部員塾の講座「CSR検定3級試験過去問演習と解説」の講師を担当。特定非営利活動法人環境経営学会理事。
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