掲載日:2021年11月19日
※第10期第2回神奈川県男女共同参画審議会議事録(その1)の続きです。
<事務局>
資料4に基づき説明を行う。
<岩田会長>
本件について、ご意見・ご質問がある方はお願いします。
<白河委員>
様々な取組をされていて大変素晴らしいと思いますが、今後進めていくにあたり、やはり男性の視点というものを沢山入れなければいけないと思います。それから気になったこととしては、女性がどう両立するかというところに焦点が当たっていますが、結婚で仕事を辞める人は今時いないので、結婚したら仕事はどうするかという項目は逆にいらないのではないでしょうか。仕事を辞める大きな原因は、出産または夫の転勤です。したがって、結婚したら夫妻がどうチームになっていくかという視点は重要ですが、これだけ共働きの世の中なので、結婚したから仕事を辞めるというのはなかなかないのではと思います。
それから、女性のライフキャリアから始まってジェンダー平等の視点が入っているということが一番重要であり、神奈川県のプランは少子化対策だけではなく男女共同参画の視点が入っていることがこれまで評価されてきましたが、さらにやはり男性の若い視点が必要です。私は総勢約200人が参加し、内8割が男子学生という授業を持っており、そこでジェンダー視点を教えています。しかしジェンダー視点といっても、今の若い男性は自分たちこそが虐げられているという意識もあるので、そこは工夫が必要です。でも彼らに「『らしさ』で苦しんでいることはないですか」というアンケートを最初に取ったところ、やはり「男らしく」ということですごく苦しんだことがあるという回答がありました。男らしくいなさいとか、子供らしく、学生らしくしなさいといった年齢の話、また変な校則があるとか、そういうことに非常に苦しんでいます。「マン・ボックス」という言葉は西洋から来た言葉であり、これは「有害な男性性」と言われます。有害な男らしさの中に閉じ込められて苦しんでいる男性が沢山いるという概念です。ボックスの中からなかなか出ることができず、それが辛くて捨てようとしても、そんなことしたら男らしくないと言われる。例えば料理やお菓子作りなどです。それから身体面で力がないこととか、勉強ができなければいけないとか、成功しなければいけないとか、そういうことに苦しんでいると彼らは言っています。こうした視点を入れると、女性が主張しているだけのことではないと、男性自身もこの問題に苦しんでいるということをお互い理解できると思います。ただし、世界全体でジェンダー平等を達成するには250年くらいかかると言われており、相変わらずまだまだ男性の方が下駄を履いているとか有利な状況であることは、進学等についてももちろん明らかです。女性が男性の地位を奪うということではなく、お互いが、もちろんLGBTQの方も含めて、補って一緒にやっていく、そして、らしさというものに閉じ込められないことが男女ともに大事だということが見えるプランになっていくのが理想的なのではないかと思っています。
私はジェンダー視点の授業をやっていて、男性にこそ、もっと働きかけなければならなかった、この子たちこそが鍵だととても思ったので、ぜひそういう視点もどんどん入れていただければと思います。
<岩田会長>
この議題は今回で終わりですから、一通りご発言いただいた後、事務局から最後にコメントできるものがあればコメントしていただきたいと思います。
<濵田委員>
今回、ライフキャリアについてお話しいただきありがとうございます。私はスリール株式会社という、ライフキャリア教育を考える事業で仕事をしています。当初は大学生に対して仕事と子育ての両立という分野で事業が始まりましたが、もう4、5年前から井上委員もいらっしゃる神奈川大学でずっとご一緒させていただいております。今、神奈川県で提供しているものは、出前事業や啓発冊子だと思いますが、違いとしては、例えば共働きをしている方々にお話を聞くとか、LGBTQの方々に来ていただいて大学生に講演をしていただくというような、リアルなことをやるということが一番効果的と思いまして、やはりそのPRをしたいと思っています。大学生はなかなかこういう情報を知らない。こういうプログラムをいろいろとやっていく中で、白河委員も仰っていたように、今ものすごく男性が注目をしているということも、私も現場で実感しています。参加者も男子学生がかなり多いのですが、女性ばかりフォーカスされていて僕たち男性は今後どうしていけばいいかという情報があまりないと言っています。でもリアルの話を聞きたいということで、こうした講座やインターンシップに参加する男子学生が非常に増えているので、やはりそういうところを取り上げたいと考えています。あとLGBTQも世の中で取り上げられていますが、学生は実際の、当事者の声を聞いたことがないと言っています。実際に当事者と会ってリアルな話を聞くようなことをやっていかないと自分事にならないということを教育業界で非常に感じています。とても素晴らしい啓発冊子を作っていただいて、内容も進んでいると思いつつも、やはりそういうところはすごく大事にしてほしいということを今回感じました。私からは以上です。
<岩田会長>
続きまして野村委員お願いします。
<野村委員>
こちらの冊子を拝見しましたが本当に素晴らしい取組です。ライフキャリア教育かながわモデルの発信というものを中学生から行っているというのは、他県であまり聞いたことがありませんでした。素晴らしいと思います。
内容について少し気になったこととして、5年後10年後を考え、そしてプランを考えるというのをイメージすることはすごく大事ですが、なかなかプランを立ててもその通りにならないことは多くあり、そうした時のための変化対応力みたいなものを身につけてもらうことが大事なのではないかと思っています。非常に変化の激しい時代ですし、結婚して出産して働き続けようと思っても、結婚相手に巡り会えず40歳・45歳になったり、結婚したけれど不妊症だったとか、いろいろ思いがけない、自分の力ではどうしようもないことが起きた時にどうするかを考えることが大事なのではないかと思います。
なぜかというと、私は以前、日経ウーマンという雑誌の編集を約10年やっており、その後も、いろいろな定量調査や定性調査を積み重ねてきましたが、やはりこの変化対応力みたいな部分が鍵になると思っています。それはつまり何かというと、「柔軟な考え方」と「能動的に行動する」ことです。この二つでほぼ言い尽くせるようなものが共通して必要ではないかと思っています。今言った言葉は抽象的ですが、具体的には、ロールモデルの方々の、縦軸が満足度で横軸が時間軸でどうアップダウンしているかというキャリアチャートにおいて、マイナスの谷に落ちた時にどうやって回復したかという、失敗から学ぶ力の部分がポイントです。キャリアチャートを学生に見せて、人生は山あり谷ありで、いろいろなことがあって自分の思い描くプラン通りにいかないけれども、こういう考え方・こういう行動を取れば次の局面が開けるという事例をいろいろ見せるということが非常に大事ですし、それが今まで私がいろいろなところで講義や講演をする中で最も受け止めてもらえたという手応えを得ています。少しそういう応用が利く、キャリアにおける変化対応力を育むための事例を見せていくことが必要ではないかと思いました。以上です。
<岩田会長>
井上委員どうぞ。
<井上委員>
私はかながわ女性会議から来ていますが、本業は神奈川大学の法学部で教員をしているので、濵田委員達と一緒に文部科学省の委託事業を一緒に行ったり、本審議会の鈴木紀子委員も一緒に関わってくださった事業をやってきたりしています。また、私が実施している「ジェンダーと法」の授業でも、神奈川県のライフキャリア教育冊子には毎年お世話になっています。本当にありがとうございます。大学としてライフキャリアそれ自体の授業にどんどん取り組んでいくというのは、正直言ってなかなか難しいというのが現状だと思います。そういう中で、例えば私の「ジェンダーと法」という授業であれば、その中にキャリアという視点が入ることによって、「ジェンダーと法」の理解が進むということを、きちんと現場の教員達に説明していくことが大切だと思いました。例えば、キャリアはジェンダーとは比較的親和性がありますが、民法の先生などに理解してもらうのは結構大変です。単体としてキャリア教育というプログラムを考えるのと同時にそういう苦労をしてきたので、おそらく中学校や高校での普及がなかなか進まない理由はこのあたりにあると思います。教科教育との関係をどう整理するかということを考えないと普及しないのではないでしょうか。現場の先生は学習指導要領に沿って授業をしているので、そこの工夫が必要だろうという気がしました。大学も同じですのでそこを私も頑張っていきたいと思います。手応えとしては、キャリアという視点はすごく良いです。
それともう一つ、野村委員のご発言と関係しますが、やはりロールモデルというのは危険です。私は「キラキラロールモデル」と言いますが、キラキラとした輝かしいロールモデルを見せれば見せる程、学生は自分とは違う人と思ってしまうのです。しかしもちろんロールモデルは必要なので、それを否定するわけではなくて見せ方の工夫が必要です。私の授業だといろいろなプロセスとしてのキャリア、その選択ごとにその人が選択をした理由は何だと思いますかとか、結果ではなくて選択のところでどういうことがあったのかという形に授業を作っていくと、輝かしい経歴に見える人も様々な選択をしてきた、あるいは自分は思いもしなかった発想をしていることに学生自身が気付くことができるといいなと思っています。是非中学校や高校も含めて進めていただきたいと思います。以上です。
<岩田会長>
松田委員どうぞ。
<松田副会長>
1点だけ申し上げます。中学生向けの教材など、とてもよくできていると思います。キャリアリターン制度というものをもっと神奈川県でPRしてほしいと思います。以上です。
<岩田会長>
橋本委員どうぞ。
<橋本委員>
1点だけ申し上げます。LGBTQの件ですが、当事者の情報交換会で、性自認について、小学校高学年くらいから周りと違うのではないかということに気付き出すとお聞きしました。性の啓発という視点から考えるのであれば、中学校からというのもいいですが、一度小学校高学年の段階で考える機会を持ってもいいのではと思います。以上です。
<岩田会長>
それでは私からも2点申し上げたいと思います。そもそもこのプログラムは全国的にも評価を受けている神奈川県らしい事業だと思います。その中で、大学向けの取組は歴史もあり、まあまあできているかなと思います。それから中学校向けの取組は始まったばかりなのでまだ評価のタイミングではないと思いますが、問題は高校向けの取組だと思います。どうすれば実施していただけるのか。総合学習やホームルームで実施しているようですが、一つのヒントは、先程井上委員からとても良いお話を伺いましたが、教科教育の中にどう埋め込むかということが大事だと思います。そのためには、個々の教科担当の先生か、学校長か、教育委員会なのかは分かりませんが、適切なルートで影響力がある人に、教科教材にどうやって埋め込むかということについてパンフレット等の資料を提供し、事の重大さを訴えていただきたいと思います。
2点目は、この事業に限らず、神奈川県は各予算については5年に一度見直しをすると思いますが、率直に言って評価が難しいです。なぜ難しいかというと、目標がないからです。5年経ってどういうところまで持っていきたいのか、できれば定量的な目標があれば理想的ですが、仮にそれが難しいとしても、もっと具体的な目標設定が可能ではないでしょうか。やれるだけやるというのではなくて、こういうレベルに持っていきたいという目標があれば、それに照らして評価ができるのですが、特にこの事業はほぼ目標が無いので、一生懸命やっていただいていることは評価しますが、本当の意味での評価は難しいかなと思いました。
以上でご発言の希望者には一通りお伺いしましたが、事務局から最後何かありますか。
<事務局>
やはり高校での活用に頭を悩ませているところです。本日、その教科教育の中で、どう活用していただくかということが肝要というご指摘をいただきました。そうした点を踏まえて、教育委員会にも非常にご協力いただいておりますが、さらに協力関係を強くするとともに、学習指導要領との関係でどういう点を打ち出せるかということは、もう少し具体的に、戦略的に考えながら周知について今後検討していきたいと考えております。
また評価について、目標の設定が足りないのではというご指摘をいただきました。この点についても、定量的な目標はなかなか難しいですが、何か数値なり設定できないか考えてみたいと思います。
<岩田会長>
それでは今日は2つの議題を審議いただきました。議題はすべて終了しましたが、共生推進本部室長に最後にご感想を伺いたいと思いますがいかがでしょうか。
<事務局(共生推進本部室長)>
お時間いただきありがとうございます。初めてお目にかかる委員も多いですが、皆さんからいただいている発言の質も含めて、我々がこの短い時間で受けとめるのが少々申し訳ないと感じましたが、それを会長に上手く捌いていただきました。男女プラン改定についてスケジュール(案)を示しましたが、本当に精力的に議論を詰めていかないと次期プランに辿り着けないと改めて感じたので、皆様からのご意見をしっかりと受け止められる会議運営を考えていきたいと思います。以上です。
<岩田会長>
どうぞよろしくお願いいたします。最後に事務局から連絡事項がありましたらお願いいたします。
<事務局>
それでは連絡事項をお伝えいたします。次回の審議会の開催予定についてお伝えいたします。
まず開催時期について、令和3年12月から令和4年1月頃を予定しています。内容としては、プラン改定の方向性についてご意見をいただくとともに、男女共同参画推進プラン及びDV防止・被害者支援プランの2019年度、2020年度実績の評価をしていただく予定です。
なお、2つのプランの評価については、新型コロナウイルス感染症の対応に全庁を挙げて注力している状況を受け、簡略化した評価とさせていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。
後日改めて委員の皆さんに予定を伺い、日程を調整させていただきます。以上です。
<岩田会長>
もっと時間があれば更にお話を伺いたいところでしたが、審議の進行にご協力いただきありがとうございました。事務局の皆さんも大変ご苦労様でございました。それではこれで、今回の審議会を閉会としたいと思います。
<終>
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