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Monday, August 10, 2020

【知恵の経営】必要なものを必要な人に - SankeiBiz

 □アタックスグループ主席コンサルタント・西浦道明

 東京都千代田区にランドセルを中心に、さまざまなカバンの企画・製造・販売を行う協和という会社がある。同社は、1948年に若松秀夫社長氏の父、若松種夫氏が、東京・浅草で創業した。社名の由来は、創業者が太平洋戦争で南方戦線を転戦し、一緒にいた4000人の部隊が40人に減って死地をさまよった際の教訓である。そこから生還できたのは、仲間と食べ物を分け合った人間だけだった。そうした壮絶な経験から、「どんなときでも仲間や同僚と強調して助け合う。平和を大切にする」との人生訓を得て、「協和」と名付けた。

 同社が主力商品としているランドセル業界は、少子化の影響で、最盛期にはランドセルメーカーが400社弱あったのが10分の1に減少した。競合他社が、ランドセルに不必要な機能をつけたりキャラクターを使ったりして単価をつり上げ、売り上げを確保している中、徹底して利用者の立場に立ち、子供たちに余計な優越感や劣等感を与えず、子供たちの格差を助長しないとの信念から、ランドセルの販売価格を最高6万円までとしてきた。

 ただ同社も、初めから利用者目線を持っていたわけではない。昔は、ランドセル生産量で日本一になるなど、量を追った時代があった。当時、販売も販売量で最大手の通販会社に卸していたが、相手の言いなりになり、仕様も細かい点で妥協を求められることが多かった。こんなことで本当に子供に向き合ったランドセルを作れているのか。使う側の視点で考えると、これではだめだと悟った。そもそも、「企業として何を目指すのか」を考えたとき、量を追って同業他社と業界1位を競うのは、金輪際止めようとの結論にたどり着いた。

 それからは、利用者視点からの商品開発に挑戦してきた。同社の名が広まるきっかけとなったのは、67年に業界初で人工皮革「クラリーノ」を採用したことである。耐久性や撥水(はっすい)性などでランドセルには一番ふさわしく、今後、外せない素材と感じた。そこで、それまではチップボールを使っていた芯材に発泡材を採用。鋼鉄製の留め金具をアルミ製に変えたり、形状を工夫してグラム単位での軽量化に取り組んだ結果、重さ890グラムと業界トップクラスの軽量化を実現させた。

 また、国内での一貫製造販売にこだわってきた。ランドセルは「日本の伝統文化」という自負から、自社工場で開発・生産・販売している。新たな機能を導入する際は、千葉にある工場近くの小学校の児童にモニターになってもらい、本当に使いやすいと感じてくれるかどうか、入念に調査してきた。この結果、高品質と使いやすさを両立させている。同社は、あらゆる子供の立場に立つ、「強くてやさしいランドセル会社」として高い評価を得ている。

                  ◇

【会社概要】アタックスグループ

 顧客企業1700社、スタッフ220人の会計事務所兼総合コンサルティング会社。「社長の最良の相談相手」をモットーに、東京、名古屋、大阪、静岡、仙台でサービスを展開している。

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