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Wednesday, April 1, 2020

土地の売却、確定測量はなぜ必要?境界未確定の不動産を売却する手順 - 金融・投資情報メディア HEDGE GUIDE

土地を売却するにあたっては隣地や道路との境界が確定していることが大切です。境界が未確定のままだと、知らぬ間に隣地の境界を越えてしまう「越境」となり、民法に抵触する可能性があるなどのデメリットがあります。

このような事態を防ぐため境界を確定するには、確定測量が必要となります。

そこでこの記事では、境界未確定の不動産を売却検討されている方向けに、隣地や公道との境界を確認する方法のほか、確定測量にかかる費用や期間などについて解説します。

目次

  1. 土地の売却で確定測量が必要な理由
    1-1.隣地との境界を買主に明示する義務がある
    1-2.境界未確定地は担保価値が低い
  2. 土地の境界の種類
    2-1.「民民境界(みんみんきょうかい)」とは隣地所有者との境界のこと
    2-2.「官民境界(かんみんきょうかい)」とは公道との境界のこと
  3. 境界が確定しているか確認する方法
    3-1.確定測量図があるか確認する
    3-2.筆界(ひっかい)確定書があるか確認する
    3-3.境界査定図があるか確認する
  4. 境界を確定する方法
    4-1.隣地所有者と話し合い、筆界を確定する
    4-2.話し合いがまとまらない場合の対処法
    4-3.越境物がある場合は覚書を締結する
    4-4.確定測量には費用と時間がかかるので要注意
  5. 境界問題について詳しい不動産会社に相談する
    5-1.不動産一括査定サービスで不動産会社を探す
  6. まとめ

1.土地の売却で確定測量が必要な理由

土地の売却に関するトラブルとして、最も多いのは境界に関連するトラブルです。万一買主と隣地所有者との間でトラブルが起こると、売主が訴訟などに巻き込まれてしまう可能性があります。

あらかじめ確定測量で境界を確定しておき、このようなトラブルに巻き込まれるリスクを回避しましょう。

また、越境以外にも確定測量が必要な理由は下記の3つが挙げられます。

  1. 隣地との境界を買主に明示する義務がある
  2. 境界未確定地は担保価値が低い

それぞれ詳しく見て行きましょう。

1-1.隣地との境界を買主に明示する義務がある

土地を売買するときの境界の明示は、法律で明確に規定されているわけではありません。しかし、民法の売買契約に関する規定について、売主は「完全な状態で目的物を引渡す義務」を負うと解釈されます。

そのため、境界が確定しておらず引渡し後にトラブルを招いてしまう不動産は完全な状態とはいえず、売主が義務を果たしていないとも考えられます。

境界未確定物件の売却を行う際は出来るだけ確定測量を行い、後々のトラブルになるリスクを回避するのが良いでしょう。

1-2.境界未確定地は担保価値が低い

金融機関は、境界が確定していない土地に対する担保評価を低く設定している傾向があります。これは、ローンの返済が滞った際の債権回収で、売却(現金化)が長期化する可能性があるためです。

不動産の担保価値が低いと融資額が下がるため、売却価格も低くなる傾向にあります、買主候補者を増やすためにも、境界が確定していないのならば確定測量を実施する方が望ましいと言えます。

2.土地の境界の種類

土地の境界には2種類あります。隣地との境界が確定していれば問題ないと思う方が多いのではないでしょうか。しかし、隣地との境界が確定していても、公道との境界が確定していないことがありますので注意が必要です。

ここでは、民民境界と官民境界についてそれぞれ解説します。

2-1.「民民境界(みんみんきょうかい)」とは隣地所有者との境界のこと

隣地所有者との境界を民民境界といいます。土地に古い建物が建っている場合などは特に、境界が確定していない場合が多いです。また、自分の土地が複数の土地と接している場合は、各土地との境界を確定しておく必要があります。

2-2.「官民境界(かんみんきょうかい)」とは公道との境界のこと

市や県などが所有している公道との境界を官民境界といいます。官民境界については、建築基準法で規定されている接道義務を果たしているかどうかに関連します。

境界が未確定だと接道義務を果たしているのかがわからず、建物を建てるのに大きな支障が出ることになります。再建築できるのかわからない状態で売り出された不動産は買主が限定されるため、売却価格が低くなる可能性は高くなります。

3.境界が確定しているか確認する方法

境界の確定有無を確認するためには、証明となる図面・書類の有無を確認するのが有効です。証明となる図面や書類については、3種類あります。

3-1.確定測量図があるか確認する

確定測量図は、確定測量と隣地所有者との立会いを経て境界を確定したうえで作成します。測量士などの有資格者が作成した図面に、隣地所有者が署名・捺印して完成となるため、確定測量図は境界の証明として最も信憑性が高いです。

確定測量図がないと、境界について隣地所有者との間で明確な合意を得ていない可能性が高くなります。

3-2.筆界(ひっかい)確定書があるか確認する

筆界(ひっかい)とは「公法上の境界」のことで、法務局で登記される公法上の境界を指します。境界には筆界と「所有権界」というもう1つの種類があり、所有権界は私法上の境界です。

所有権界は、登記されているわけではなく、塀や境界標などに基づいて認識されるもので「見た目上の境界」と表現されることがあります。筆界確定書は、登記上の境界について隣地所有者との間で合意した証明として作成します。多くの場合、測量図とセットで作成されています。

筆界確定書がない場合も、隣地所有者との間で境界の認識がずれている可能性があります。

3-3.境界査定図があるか確認する

境界査定図は、官民境界を示す図面のことです。つまり、所有者が民間である隣地との境界について境界査定図は存在しません。

官民境界が確定していれば、管轄の自治体が境界査定図を保管しています。例えば、隣地が市道なら市、区道なら区が保管者です。境界査定図は誰でも確認できるので、役所に問い合わせて確認するとよいでしょう。

4.境界を確定する方法

証明となる図面や書類が無い場合は、新たに測量して境界を確定する必要があります。

4-1.隣地所有者と話し合い、筆界を確定する

筆界を確定するためには、確定測量を実施したうえで、隣地所有者との合意を得ることが必要です。

まずは隣地所有者と話し合いのうえ、確定測量を実施するのが適当です。話し合いがまとまったら、確定測量図と筆界確定書を作成して登記を進めましょう。

4-2.話し合いがまとまらない場合の対処法

隣地所有者との話し合いがまとまらなかった場合は、以下2種類の方法いずれかを利用するのが有効です。

筆界特定制度

筆界特定制度は、管轄する法務局が筆界を特定する制度です。しかし、筆界特定制度で決めた筆界は法的な拘束力を持ちません。隣地所有者との間で「特定結果に必ず従う」合意が取れていないと、法的な意味を持たない可能性が高くなります。

筆界特定制度を利用するメリットは、結果が出るまでの期間です。申請から約6ヶ月が必要となりますが、次に紹介する境界確定訴訟よりも期間が短くなります。

境界確定訴訟

境界確定訴訟とは、裁判所に境界の確定を求めるものです。訴訟で決定した境界は筆界特定制度と異なり、法的な拘束力を持ちます。ただし、境界確定訴訟は結審するまでに約2〜3年の期間を必要とするうえ裁判費用も発生します。筆界特定制度と比較すると、時間と金銭的なコストが大きくなります。

このように、隣地所有者との話し合いによって境界が決まらない場合には時間や訴訟の労力、金銭的なコストが発生するデメリットがあります。出来るだけ話し合いで解決できるよう、交渉を進めるのが良いでしょう。

4-3.越境物がある場合は覚書を締結する

境界未確定のほかにもう一点気をつけるべきなのが、境界をまたぐ越境物です。草木の枝が隣地まで伸びていたり、設備の一部が敷地を超えてしまっている場合は越境にあたる可能性があります。

土地を売却するときには、越境物は撤去してあるのが望ましいと言えるでしょう。

また、越境物の撤去が難しい場合には隣地の所有者と越境に関する覚書を締結し、越境の問題を解消することも可能です。覚書締結にあたって重要なのは以下の2点です。

  • 隣地所有者との間で「越境物がある」という共通認識を持っている
  • 将来、土地の買主もしくは隣地の所有者が建物を建てるときなどに越境を解消する意思を持っている

売買契約締結時点で覚書が締結できていない場合は、引き渡しまでの間に締結を完了させて地位を承継すると良いでしょう。

越境も、境界と同じく購入後のトラブルの要因となりやすいため必ず確認し、対処しておくことが重要です。

4-4.確定測量には費用と時間がかかるので要注意

確定測量はすぐに完了できるわけではなく、ある程度の期間と費用が必要となるため注意しましょう。

正確な費用は土地の大きさや、依頼する土地家屋調査士によって異なりますが、少なくとも数十万円単位の費用が発生します。また、調査期間も1ヶ月から最長4ヶ月程度かかります。

売却までに確定測量を行うのであれば、余裕を持ったスケジュールを策定しておきましょう。

5.境界問題について詳しい不動産会社に相談する

境界の問題に関する対応について、不動産の売却活動と並行して行わなければならず、売主個人では対応しきれないこともあるでしょう。また、測量会社を探すといっても、どこに依頼すれば良いのか見当がつかないという方も少なくないのではないでしょうか。

不動産会社の中には、境界未確定の不動産売却の経験やノウハウを持った会社があります。隣地との交渉や、境界の問題を多く取り扱っている会社を探してみましょう。

5-1.不動産一括査定サービスで不動産会社を探す

不動産一括査定サービスとは、不動産情報を一度登録するだけで複数の不動産会社から査定結果を受け取ることが出来るサービスです。

また、不動産一括査定サービスは査定だけでなく、疑問や相談点を解消できる不動産会社を見つける際にも効果的に利用することができます。

例えば、不動産の登録情報に「境界未確定だけど、問題はないか?」「境界確定測量図が見つからないが、どうすれば良いか?」という疑問や不安点を記載し、対応できる不動産会社からの連絡を待つのも良いでしょう。

このように、不動産一括査定サービスを利用して、あらかじめ不安点を伝えたうえで不動産会社を探すのも一つの方法になります。不動産会社選びに迷っている場合には検討してみましょう。

主な不動産一括査定サービス

サイト名 運営会社 特徴
リガイド(RE-Guide) 株式会社ウェイブダッシュ 2006年にサービスを開始。2020年で15年目を迎える。独自の審査で厳選した700社の優良不動産会社が掲載。収益物件情報を掲載する姉妹サイトを持ち、他サイトと比較して投資用不動産の売却に強みを持つ。
すまいValue 不動産仲介大手6社による共同運営 東急リバブルや住友不動産販売など不動産業界大手企業が運営する不動産査定サイト。全国870店舗。利用者は2020年1月で36万件を突破。
LIFULL HOME’Sの不動産売却査定サービス 株式会社LIFULL サービス利用者数は612万人を突破(2020年1月時点)。参加社数1,849社と、日本最大級の不動産・住宅情報サイト『HOME’S』の強みを生かしたサイトです
HOME4U 株式会社NTTデータ スマートソーシング 全国1300社の不動産会社を厳選。HOME4Uでは査定依頼をする際に、大手企業と地域密着型企業の両方への依頼を推進。
イエウール 株式会社Speee 全国1,600社が参加。「地方・地域密着」企業を多数掲載し、地域情報を交えたより詳細な情報から査定を追求。

まとめ

境界未確定の土地を売却するときに確定測量が必要なのは、主に以下3点の理由によります。

  • 売却後にトラブルが起こらないようにするため
  • 土地の売主は買主に対して境界を明示する義務があるから
  • 境界未確定の土地は買い手がつきにくいから

土地を売却する際は、まず確定測量図や筆界確定書などがないか探しましょう。これらが見つからなければ、隣地所有者との話し合いを経て確定測量を行うことが必要です。なお、確定測量にはある程度の費用と時間がかかるので注意しましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」

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