みなさんは今までにどのくらい貯蓄できているでしょうか。「全く無い」「人並みにはあると思う」「かなり貯蓄はできている」など様々でしょう。では、1,000万円を貯める目的はいかがでしょうか。これも人それぞれ違いますよね。そこで今回は「1,000万円貯蓄する」ために、貯まらない理由を掘り下げ、貯まる生活スタイルに自然に転換できるように考えてみました。
節約や貯蓄や投資の方法論の前に、本当に必要なことは、自分自身を掘り下げてき、自然と貯蓄できるようになるところまで明らかにすることだと思います。その方が結局は近道なはずだからです。
【ルールその1】自分自身の生活スタイルを見つめなおそう!
過去のレポートでも述べましたが、統計値による貯蓄額の平均値は30代で810万円、40代で1,238万円ですが、中央値はそれぞれ500万円、800万円となっています。貯蓄が1,000万円の大台に乗るのは40代後半か50代前半のようです。
この段階では大枠の貯蓄目的と目標値、現状の貯蓄高などを頭に描きます。貯まらない理由も漠然としてでもよいので思い浮かべておきましょう。メモ程度でもよいので金額や貯蓄目的、貯まらない理由なども書き留めておくとよいでしょう。本当は具体的に人生設計を明確にし、「生涯収支表」を作るのがベストですが、なかなかハードルは高いと思います。そこで、最初の段階のルールとして、「人生設計を大まかにイメージする」ことにします。
次の段階で目標に近づけない理由を掘り下げていきますので、その準備段階として必要なことを書き留めておきます。目標を達成できそうもない理由を徹底的に突き詰めていくと、解決策が見つかるはずです。仮に、曖昧なまま貯蓄計画などのハウツーノウハウを実践しようとしても、貯蓄できない根本の要因がはっきりと把握されていなければ、なかなかうまくいかないでしょう。
例えば、周りの仲間よりどうも貯蓄高が低いケースの場合、なぜそうなのかを突き詰める必要があります。「収入が低い」「ついクレジットや月賦払いでいろいろ買ってしまう」「何に使っているかわからないが月々の給与が残らない」などが思い浮かぶとすると、それをさらに細かく掘り下げていきます。
「収入が低いのはなぜか」、転職が多い、正社員になれな、修行の身なので低い給与である……などより具体的な要因が浮かび上がるでしょう。それらの要因をさらに掘り下げていくのです。自分を分析するようで、なかなか苦しいこともあるかもしれませんが、自分自身を見つめることが問題解決の上で重要なのです。ルール1はそのための準備段階です。
【ルールその2】思うように貯金できない理由を掘り下げよう!
頭で考えるだけだと、つい自分に甘くなります。面倒でも紙に書いてみましょう。この手法は、ファイナンシャルプランニングの最初の段階で、自分自身の人生設計をまずしっかり組み立てる際に、自分自身がどのような人生を送りたいかを明確にするための導入作業を応用したものです。
手順は以下の通りです。
■ステップ1:タイトルを明確にする
例:「貯蓄が友人より低いのはなぜか」
■ステップ2:思いつく理由を、優先順位をつけて3つ挙げる
(例)第1.モノをいろいろ買ってしまう、第2.外食や飲み代が多い、第3.アウトドアスポーツが好きで、仲間と色々出かける費用が掛かる
■ステップ3:最も顕著な第1の要因をさらに細かくして3つ挙げる
(例)1.仲間とのアウトドアなどの道具がついほしくなる、2.高性能の最新機材が欲しくなる、3.次の旅行で使うために月賦購入してしまう
■ステップ4:書き出したものを振り返って、自分の傾向をまとめてみる
(例)アウトドアに限らず、仲間とワイワイやるのが好きで、皆を楽しませるのについお金を使ってしまう
■ステップ5:改善策のタイトルを探す
(例)お金を節約して、仲間と楽しむ方法はないか
■ステップ6:ステップ2と同様に、改善策を3つ挙げる
■ステップ7:ステップ3と同様に、最も有効な改善策を掘り下げ、3つの具体的案を考える
自分自身が納得するまで分析と解決策をさらに細かく掘り下げてみてください。すっきり納得したら実践する準備が終わったことになります。
【ルールその3】解決策を実践しよう!
上記ステップ6と7の例はあえて示しませんでしたが、自分自身が納得する解決策を見つけ出したら、あとは実践してみましょう。
例に挙げた人物像は、人とワイワイするのが好きで、特にいろいろなアウトドアを仲間と楽しむのが好きな方です。キャンプであれば、道具や車など欲しくなれば相当な費用が掛かります。冬も楽しむのであれば冬用の装備も必要で、キャンプ地で楽しむ釣りや登山、スノボーなどの機材もほしくなるでしょう。
自分の人生の中で重要なのが友人との関係であれば、それを前提に改善策を考えていきます。機材などは仲間と分担し合ったり、借りたり、中古品を活用したり、あるいは自分で自作したりと、工夫して楽しめば支出を抑えられるでしょう。また、仕事と遊びのオン・オフを明確にして、収入アップを目指す行動をとるケースも考えられます。ポイントは改善策を楽しむことです。楽しめない改善策は、まだまだ掘り下げが少ないことを意味しています。
【ルールその4】具体的な改善による貯蓄金額を算定しよう!
改善策の実践と同時に、それによる余剰金額、つまり貯金額の増額を算定してみましょう。成果はご褒美で、成果をいつも把握しているのは大切なことです。
貯蓄額の増加の見込みが、目標とする貯蓄額に到達できるライン上にあるかどうかチェックします。不足するようであれば、再度改善策を見直します。その他の、日常的な節約にも目を向けましょう。ここまでくれば、節約のテクニックがより効果的に活用できるようになります。
【ルールその5】貯蓄の目的と預貯金や投資の方法を検討しよう!
順調に改善が進めば、貯蓄の目的を再度自問してみましょう。老後の生活費なのか、子供の教育費、住まいの取得、起業資金、スキルアップのための自分への投資など、貯蓄の最初の目的を再確認します。とりあえず1,000万円貯めたいだけであったのであれば、この段階で貯める目的を考えましょう。
なぜなら、目的によって何で資産形成するかが違ってきます。元本保証の安全な預貯金なのか、個人年金のようなものに加入するのか、少しリスクをとって投資をするのかなど、目的にフィットした方法を考える必要が出てくるのです。
そのため、この段階で初めて、何で資産形成すればよいかのテクニックが参考になります。誰しも目先のテクニックに飛びつきたくなりますが、本当の意味で楽しく自分らしい人生を送りながら資産形成をしていく上では、その前段階の現状を正しく把握することが、面倒でも重要なことだと思います。
今回は「〇〇を削減しよう!」、「〇〇で資産形成しよう!」というようなルールではなく、内面重視のルールを考えてみました。一般的なルールを示してみても、貯まらない本質がそのままでは、なかなかうまくいかないものです。どうしても生活スタイルや消費スタイルを変えたくないとなれば、収入アップか預貯金の少ない人生を受け入れるしかありません。過去に役立つレポートも多く書いているので、ぜひ参考にしてみてください。
筆者プロフィール: 佐藤章子(さとうあきこ)
一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。
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April 15, 2020 at 07:31AM
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