70周年を迎えたライオンズ。パ・リーグ2連覇中のいま、再び黄金期を迎えようとしている【写真は共同】
ライオンズ命名から70年。かつての黄金時代から何を学び、今の時代に何を伝えられるのか。立場は違えど、今でも“ライオンズ愛”を強く胸に抱いている東尾修、石毛宏典、辻発彦、渡辺久信の4氏に、ライオンズのいま、そして未来について語ってもらった。再び、黄金時代を迎えるために。
2020年、そして未来のライオンズへ
――渡辺GMが「今の時期は期待しかない」と仰いましたが、ここからは今季のライオンズ、そしてこれからのライオンズについて語っていただきたいと思います。
渡辺 はい。僕は楽しみでしょうがない！
石毛 課題はピッチャー陣でしょ？ 先発は誰がいるのよ？
渡辺 たくさんいますよ！
石毛 高橋光成と松本航？
渡辺 まだまだいますよ。今井（達也）も本田（圭佑）もいるし、ニールとノリンもいる。ルーキーの二人もいいですよ。1位（宮川哲）と2位（浜屋将太）。
東尾 ルーキーは計算に入れないほうがいいぞ！
渡辺 いや、今の時期、頭数はいるんですよ。ここからだんだんと薄くなっていくんです。
東尾 そっか。お前の髪の毛と一緒だ。
一同 はははは（笑）
辻 でも、去年は若い4人がしっかりと投げましたからね。今井、高橋光成、松本、本田。
渡辺 そう。とにかく今は育成の時期なんですよ。3年後は投手王国です。
石毛 聞いた？ ちゃんと残しておけよ！
東尾 何年前から言ってんだよ！
渡辺 確かに去年も言ってるか（笑）。これが来年も「3年後は……」って言っているか、それとも「2年後」になるか。1年ぐらいの延期はよくあることですから。去年は菊池雄星というエースが抜けて、辻監督には「今年は我慢して若いの使ってくれ」って話をしたんです。そうしたら辻監督はその通りに、若い投手をうまく使いながら優勝してくれました。若い投手たちが、あと3勝ずつぐらい積み上げてくれれば、もう投手王国ですよ。2桁勝利のピッチャーが4人いれば、確実に優勝争いしますから。
東尾 去年よりも勝ち星が減るやつもいるんだからさ。
渡辺 まぁ、あれですよ。今の時期は期待しかないんですよ。
一同 はははは（笑）
渡辺 でもピッチャー陣はいま、みんな伸び盛りの年齢です。ベテランのピッチャーがあまりいないから、全体的に上積みできると思う。これは間違いない。
石毛 ライバルチームはどこよ？
渡辺 それはもう、ソフトバンクです。目の上のたんこぶです。
2年連続リーグ連覇を果たしながらもかつての盟友・工藤公康（左）率いるソフトバンクにCSで屈している西武。まさに「目の上のたんこぶ」となっている【写真は共同】
辻 でも、1試合に出る選手は限られていますからね。選手がたくさんいても、試合に出られなければ意味がないですからね。だから今年も十分に戦えると思いますし、楽しみでしかないですよ。
渡辺 この2年、リーグ優勝して力は確かに付いてきた。でも、クライマックスシリーズで負けてしまうということは、まだまだ子供のチームなんです。発展途上のチームなんですよ。まだ出来上がっていない。でも、出来上がっていないってことは、これから伸びるってことですし、楽しみでしょうがない。
辻 僕は若い選手たちに言うんですよ。お前たちがもしソフトバンクの選手だったら、途中で二軍に落とされてるって。うちだからチャンスがもらえたし、経験できたわけですよ。それを生かしてもらいたい。今の打線があれば、先発投手は5回を3点に抑えればいいんですから。
東尾 5回を3点って、広岡さんとか森さんの時代だったら通用せんぞ！
渡辺 いや、今は5回を3点でいいんですよ。
辻 ピッチャー陣の合言葉は「1点でも少なく」ですから。1点取られてもしょうがない。2点目を取られたら3点目を取られないように頑張れ。「うちの打線は8点差を逆転したんだぞ」って。
東尾 確かにあれだけ打ってくれれば、ピッチャーは諦めずに頑張れるよね。でもその打線の中から秋山（翔吾）が抜けた。やっぱり金子（侑司）が代わりに1番を打つの？
辻 いや、まだ誰がっていうのは決めていないです。誰が1番打者の適性があるのか、まだわからない。金子かもしれないし、スパンジェンバーグだって可能性があるし、源田（壮亮）の可能性もあるし、外崎（修汰）もあり得る。選択肢はたくさんある。その分、打順を決めるのが難しいとは思っていますけど。
辻発彦「昔も個性派でしたけど、今のチームも固定概念にとらわれない面白いチーム」【写真は共同】
――今季の戦いも楽しみですが、70周年を過ぎれば、71年目、72年目と続いていきます。これからのライオンズを、どのようなチームにしていきたいですか？
辻 今はすごい個性派軍団ですよね。監督の立場から見ても「こいつら面白いな」って思います。
渡辺 そうですね。昔も個性派でしたけど、今のチームも固定概念にとらわれない面白いチームです。型にはまらないというか、そういった魅力のあるチームだと思います。
――のびのびとプレーをさせてあげたいという考えがあるのでしょうか？
辻 そういう考えはありますね。失敗しても次に切り替える。一昨年も大事なところで3人エラーして、でも3人ともホームランを打って勝利した試合があった。あの試合はしびれましたね。
石毛 あった。あった。
辻 山川（穂高）がトンネルしたと思ったら、ガバーン！ って打って。浅村（栄斗）がエラーしたらホームラン！ で、サードゴロでセカンドフォースアウト！ って思ったら暴投して追いつかれ……。でも最後はホームランを打って勝利！ コイツらすごいなって思いましたよ。そういった部分は伸ばしていきたいです。
東尾 逞（たくま）しいよな。普通だったらああいうところで諦めるんだけど、反発力がすごい。
辻 山川と話をしていても、「初回に5点取られても全然大丈夫」って。「1、2点こっちが点を取れたら行ける気になる」って言っていて。そういった言葉が選手の中から出てくると、本当にそうなんだなと思います。
東尾 それは財産だよな。野手が諦めないっていうのは財産だよ。
辻 そうですね。クライマックスシリーズで負けた悔しさは、みんなが持っている。今度こそ絶対に日本シリーズに出るっていう気持ちをもっている。そういうことは監督がいくら言っても、やっぱり選手自身がそう思って動かないと意味がないですからね。
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March 13, 2020 at 08:30AM
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西武黄金時代を再び創るのに必要なこと 渡辺GM「3年後は投手王国」 - スポーツナビ
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