家を購入した方なら、きっと耳にしたことのある制度「住宅借入金等特別控除」、いわゆる”住宅ローン控除”。納めた税金が戻ってくる制度ですが、それには確定申告が必要です。
家を購入した1年目で、会社などに勤めていてこれまで確定申告を行ったことがなく、初めて確定申告をする方へ、初年度の確定申告はいつ、何を、どのように申請すればよいのかをご紹介します。
家を購入したらなぜ確定申告が必要なのか
そもそも確定申告とは、納税者が前年の所得を計算し、所得税がいくらになるかを税務署に自己申告して納税することをいいます。
会社員など給与所得者の場合は、会社が従業員に給与を支払う際に、あらかじめ所得税を概算額で源泉徴収しています。
その1年間の源泉徴収額と、実際に納めるべき所得税額との差額を調整するための手続きが必要になりますが、それを会社が”年末調整”として行っているため、基本的に会社員は確定申告をしなくてもよいのです。
しかし、住宅ローン控除を申請したい場合、初年度は個別に税務署に確定申告を行い、住宅ローン控除を受けられると認められる必要があります。そのため、会社が年末調整として行ってくれることはありません。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは
住宅ローン控除は2022年度の税制改正により、一部条件を変更し、2025年まで延長されることが決まりました。さらに2024年度の税制改正により追加の変更がなされ、特に子育て世帯や若者夫婦世帯に寄り添った制度になっています。これらをふまえ、ここでは2022年〜2025年の主な条件を見ていきましょう。
住宅ローン控除は、マイホームの新築、取得、増改築などで一定の要件を満たして利用した場合に、住宅ローンの年末残高の0.7%の金額が所得税額等から控除されて戻ってくるという制度です。
控除期間は、新築住宅および買取再販の中古住宅を取得した場合は原則13年間、既存住宅の取得およびリフォームの場合は10年間です。控除金額の上限は住宅の環境性能や入居した年などによって段階的に設定されています。
以下に、新築住宅と既存住宅の年間最大控除額をまとめました。
【新築住宅・買取再販住宅の場合】
住宅の環境性能 |
年間最大控除額 |
||
---|---|---|---|
2022〜2023年 入居 |
2024年 入居 |
2025年 入居 |
|
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 |
35万円 |
子育て世帯・若者夫婦世帯は35万円 他世帯は31.5万円 |
31.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 |
31.5万円 |
子育て世帯・若者夫婦世帯は31.5万円 他世帯は24.5万円 |
24.5万円 |
省エネ基準適合住宅 |
28万円 |
子育て世帯・若者夫婦世帯は28万円 他世帯は21万円 |
21万円 |
省エネ基準に適合しない「その他の住宅」 |
21万円 |
0円(2023年末までに建築確認を受けた場合は14万円。控除期間は10年に短縮) |
※子育て世帯とは、19歳未満の子を有する世帯。若者夫婦世帯とは、夫婦のいずれかが40歳未満の世帯
新築住宅については2024年度の税制改正において、子育て世帯と若者夫婦世帯に限り、2024年に入居した場合も2022年〜2023年入居時の控除額の水準が維持されることになりました。なお、この措置は2025年の入居においても同様の方向で検討されています。
また、2024年以降に入居した場合は、原則として省エネ基準に適合しない新築住宅は控除の対象外となる点に注意が必要です。ただし、省エネ基準非適合住宅であっても2023年末までに建築確認を受けた新築住宅は適用され、2024年6月末までに竣工した新築住宅も適用を受けられることがあります。
【既存住宅の場合】
住宅の環境性能 |
年間最大控除額 |
||
---|---|---|---|
2022〜2023年 入居 |
2024年 入居 |
2025年 入居 |
|
認定長期優良住宅 認定低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅省エネ基準適合住宅 |
21万円 |
||
省エネ基準に適合しない「その他の住宅」 |
14万円 |
既存住宅は新築住宅と比べて最大控除額は少なくなりますが、入居年による違いはなく、省エネ基準適合住宅か非適合住宅かによって変わる仕組みとなっています。
住宅ローン控除の適用を受けるには、次の条件を満たす必要があります。
住宅ローン控除の主な条件
- 10年以上の住宅ローンを利用すること
- 新築または取得した日から6ヶ月以内に自ら居住を開始すること、かつ適用を受ける各年の12月31日まで引き続き住んでいること
- 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
- 床面積が50m2以上であること(2024年末までに建築確認を受けた新築は40m2以上で適用。ただし合計所得金額が1,000万円以下であること)
- 既存住宅は1982(昭和57)年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)であることなど
詳細や最新の情報は国税庁のホームページを参照ください。
マンションを探す 一戸建てを探す 注文住宅を探す 住宅ローンについて調べる住宅ローン控除確定申告の手順・申請期間
それでは、住宅ローン控除を申請する初年度における、確定申告のやり方を確認していきましょう。
申請時期
取得した住宅に住み始めた日の翌年1月1日から3月15日まで
申請先
住所地を管轄する税務署
必要な書類
・確定申告書(A)
確定申告をするための書類です。確定申告書には種類がありますが、会社員ならば(A)を使います。
・源泉徴収票(会社員の場合)
勤務先から発行されます。
・本人確認書類
a、bのいずれかを用意します。
a)マイナンバーカード
b)マイナンバー通知カードまたはマイナンバーが記載されている住民票+運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
・住民票の写し
居住していることを示すために必要となります。
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
住宅の面積や購入額などを記入して、控除を受ける金額を算出するための書類です。税務署や国税庁ホームページからダウンロードして自分で記入します。
・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
ローンの残高が記載されている書類です。借り入れしている金融機関に送付してもらいます。
・土地・建物の登記事項証明書
法務局で発行される土地や建物の情報が記載された証明書です。登記所または法務局証明サービスセンターの窓口で交付請求、郵送による交付請求やインターネットでのオンラインによる交付請求を行うこともできます。
・請負契約書の写し・売買契約書の写し
住宅を建築・購入したときに交わした契約書のコピーです。捺印した控えが手元にあるはずなので、そのコピーを取りましょう。
<その他>
- 1981年以前に建築された既存住宅の場合:耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵保険付き証明書のいずれかの書類を用意します。
- 優良物件などの場合:認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の認定通知書の写しを用意します。
申請方法
確定申告を提出するにはいろいろなやり方があるので、自分の都合に合わせて選びましょう。
・住所地を管轄する税務署に行く場合
税務署から確定申告書を入手し、記載して税務署に持参します。
または税務署の確定申告書作成コーナーでe-Tax(イータックス:国税電子申告・納税システム)を利用して、確定申告書を作成し申請することもできます。この場合のメリットは、税務署員に分からないことを聞きながら手続きができることです。
・自宅などで行う場合
国税庁のウェブサイト上で確定申告書を作成できます。また、書式をダウンロードして記入することもできます。
いずれかの方法で作成した確定申告書を、税務署に郵送するか、e-Taxで申請します。なお、郵送の場合は税務署に届いたことが確認できるように書留等で行うのが良いでしょう。
なお、会社員などの給与所得者の場合、住宅ローン控除のための確定申告は初年度のみ必要で、2年目以降は年末調整でOKです。
確定申告後、税務署から送られてくる「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等控除証明書」「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関からの残高証明書を会社に提出することで年末調整が行われます。
個人事業主や自営業者の場合は、2年目以降も確定申告が必要です。
住宅ローン控除初年度は確定申告が必要
融資期間10年以上の住宅ローンで、年末残高の0.7%の所得税等が戻ってくる住宅ローン控除。
うれしい制度ですが、初年度に必須となる確定申告は必要書類が多く、申請期間も限られています。申請期限までに完了できるよう、余裕を持って申請してください。
※なおこの記事は2024年4月時点の情報です。今後変更となる可能性もありますので、最新情報については国税庁のサイトなどをご確認ください。
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住宅ローン控除が2022年に改正、いつまでに契約すればいい?
2022年度の税制改正により、住宅ローン控除は一部要件を変更し、2025年末まで4年間延長されることになりました。従って、2025年12月31日までに契約して入居すれば、制度の適用を受けられます。 ただし、新築および買取再販住宅においては、一定の性能を満たさない「その他の住宅」に限り、2024年1月1日以降の入居から原則として制度の対象外となる点に注意が必要です。詳しくは2024年から変わる住宅ローン減税の制度。留意すべきポイントは?をご覧ください。
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