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Wednesday, April 24, 2024

自宅テレビで見るのは地上波か動画配信か ビデオリサーチ新調査 - 日経クロストレンド

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テレビが変わる 2024 第7回

テレビ番組の視聴率調査で知られるビデオリサーチ(東京・千代田)が、自宅内におけるTVerやYouTubeなど、動画配信サービスの利用実態を把握できるサービス『STREAMO(ストリーモ)』β版の提供を、2024年4月から関東地区で開始した。この調査では、自宅内での動画配信サービスの利用状況が把握できる。調査する家にコネクテッドTV(CTV)専用の測定器を設置し、利用している動画配信サービスを特定する仕組みだ。この調査を始めるきっかけの一つが、CTVの普及だった。

ビデオリサーチが2024年4月から関東地区でβ版の提供を開始したSTREAMO(出所/ビデオリサーチ)

ビデオリサーチが2024年4月から関東地区でβ版の提供を開始したSTREAMO(出所/ビデオリサーチ)

進化する視聴率調査

 STREAMOがどんなサービスかを解説する前に、視聴率の意味とビデオリサーチの調査法の進化を見ていこう。

 まずは視聴率を調べる意味について改めて確認してみる。

 ビデオリサーチ テレビ・動画ユニットの小松結子氏は「視聴率の役割は大きく分けて3つある」と言う。1つ目は、世の中のトレンドを可視化すること。テレビ視聴を通じて、今、世の中の人々がどんなことに関心があって、どんなことが人気なのかが分かる社会調査的な役割だ。2つ目は番組や広告が、誰にどのくらい見られているかを数値で出すことで、番組制作や編成の参考になるという役割。3つ目がテレビ広告取引の共通指標としての役割だ。

 ビデオリサーチが視聴率調査を開始したのは1962年。日本では53年にテレビ放送の本放送が開始され、60年にはカラーテレビ用の本放送が始まった。調査を開始した62年は2年後に東京オリンピックを控えるという時期だった。テレビが一般の家庭に置かれ始めた時代に調査が始まったわけだ。当時の調査は、各家庭に1台のテレビを対象とした世帯視聴率調査だった。

 その後、テレビは家庭に一気に普及していく。70年代に入ると、複数台のテレビを持つ家庭も増えてきた。そこで77年からは複数台のテレビを調査の対象とするようになった。

 家庭に複数台のテレビがあるなら、今度はそのテレビを誰が見ているかを知りたいというニーズが生まれる。この件についてビデオリサーチでは60年代から日記をつける形で調査をしていたが、96年からはボタンを押して誰が見ているかを記録する「PM」方式を採用。測定機器は時代ごとに進化しているが、PM方式は現代まで続いている。ちなみにPMは「ピープルメーター」の略称だという。

 見る人の変化に続いて現れたのが、見方の変化だ。

 2000年代になるとハードディスクレコーダーやテレビ機能のついたパソコンが登場。録画がデジタルで行えるようになる。その結果、ビデオテープやDVDに録画していた時代より録画が手軽に、かつ大量にできるようになった。そうなると、放送と同時に番組を視聴しない人たちも増えてくる。そこで16年からは録画したコンテンツを後から視聴する「タイムシフト視聴率」の測定も、まず関東地区から開始した(関西、名古屋地区は18年から、その他の地区は20年4月から開始)。

 ビデオリサーチは、以前からリアルタイム視聴の調査では音声によるマッチング方式を採用。音声で何を見ているかを確定させる方式だ。それをタイムシフト視聴にも拡大した。特徴化した音声情報を独自の技術で照合させることで、タイムシフト視聴でも、いつ、何の番組が誰に見られたのかが分かる。

 テレビの見られ方に合わせて進化してきた視聴率調査だが、「テレビで見ているもの」には大きな変化はなかった。リアルタイム視聴であろうとタイムシフト視聴であろうと、多くの人が、テレビ局が制作して放送する番組を見ていたのだ。

 それが近年、新たな変化が見られるようになった。CTVの普及により、YouTubeのようなAVOD(広告掲載型の無料動画配信サービス)、NetflixやAmazon Prime VideoのようなSVOD(定額制の有料動画配信サービス)がテレビというハードウエアでも見られるようになったのだ。

 ビデオリサーチの調査では、23年の時点で動画配信が見られるCTVを利用できる人は全体の7割。テレビでの動画視聴時間は19年を100%とすると実に533%へ増えているという。

CTVを利用できる人は7割を超える(出所/ビデオリサーチ)

CTVを利用できる人は7割を超える(出所/ビデオリサーチ)

CTVで動画を視聴する時間は新型コロナウイルス禍以前に比べ5倍になっている(出所/ビデオリサーチ)

CTVで動画を視聴する時間は新型コロナウイルス禍以前に比べ5倍になっている(出所/ビデオリサーチ)

 「テレビの画面で放送以外のものを見る時間が増えてきた。テレビの画面で見るものは大きく分けて『リアルタイム』『タイムシフト』『それ以外』という構成になっているが、3つ目のところがどんどん大きくなっている」(小松氏)。そこで視聴率調査の範囲を拡張する形で、データの提供を始めたわけだ。

視聴行動を把握する

 現在の調査では、テレビ視聴率の測定機器にプラスして、動画配信サービス利用を測定する機械を調査対象世帯に設置している。取り組みの開始は22年夏。ある程度のデータがまとまり、分析を本格的に始めたのは23年4月だった。そしてその1年後となる24年4月に、関東地区においてβ版のデータ提供を開始した。

 この調査では同一サンプルの自宅内のテレビ視聴と動画配信サービス利用を実測で把握できる。またコネクテッドTVに加えてスマートフォンなどでの動画配信プラットフォーム利用も、専用の動画測定用センサーを新たに設置したことで、個人単位で把握できる。

 ビデオリサーチが発表しているデータを見ると、CTV利用可能者は、1日約28分、テレビで動画配信サービスを利用している。最も長いのはC層(4~12歳)で43分、F1(20~34歳の女性)、F2(35~49歳の女性)層も40分程度と長かった。

CTVで最も長く動画を視聴しているのは男女4~12歳のC層だが、F1(20~34歳の女性)、F2(35~49歳の女性)と女性も長かった(出所/ビデオリサーチ)

CTVで最も長く動画を視聴しているのは男女4~12歳のC層だが、F1(20~34歳の女性)、F2(35~49歳の女性)と女性も長かった(出所/ビデオリサーチ)

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