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Friday, April 26, 2024

太陽100万年分のエネルギーを0.01秒で放出、超レアな爆発を観測 - ナショナル ジオグラフィック日本版

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このほど巨大フレアが発生したマグネターがあると考えられるM82銀河。NASAの宇宙望遠鏡スピッツァー、ハッブル、チャンドラがそれぞれ異なる波長で撮影した画像を合成した擬似カラー画像。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/STSCI/CXC/UOFA/ESA/AURA/JHU)

このほど巨大フレアが発生したマグネターがあると考えられるM82銀河。NASAの宇宙望遠鏡スピッツァー、ハッブル、チャンドラがそれぞれ異なる波長で撮影した画像を合成した擬似カラー画像。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/STSCI/CXC/UOFA/ESA/AURA/JHU)

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 2023年11月15日、欧州宇宙機関(ESA)のガンマ線観測衛星インテグラルが、巨大なガンマ線バーストを捉えた。この爆発現象は、私たちの銀河系の外にある「マグネター」から発生した巨大フレアという、極めて珍しい現象によるものだとする論文が、2024年4月24日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された。

 バーストの持続時間はわずか0.1秒だったが、すぐに世界中の天文学者に警報が発せられた。天文学者たちはガンマ線の発生源を突き止めようと大急ぎで観測機器を向けたが、その後の展開は彼らの予想とは違っていた。

 深宇宙からやってくるガンマ線バーストは途方もなく明るい高エネルギージェットで、時折、地球に届くものがある。天文学者たちは1960年代からガンマ線バーストを検出していて、今回もまた、宇宙のはるか彼方で2つの中性子星が衝突して放出されたものだろうと考えていた。

 中性子星は死んだ恒星の核で、信じられないほど密度が高い。そんな中性子星どうしが衝突すれば大爆発となり、最初にガンマ線などが放出され、重力波がそれに続く。(参考記事:「途方もない重力波を検出、波長は数光年から数十光年、初の証拠」

「通常のガンマ線バーストだったら、いわゆる『残光(アフターグロー)』が見えるはずです」とイタリア、ミラノ国立天体物理学研究所の研究者であるサンドロ・メレゲッティ氏は言う。「短時間のガンマ線バーストの後、X線、可視光、電波の放射が数時間から数日間にわたって続くのです」

 けれども今回、残光は見えなかった。

50年間にわずか3回の現象

 残光のX線が観測されなかったことから、メレゲッティ氏らは、今回のガンマ線バーストの発生源はマグネターという種類の中性子星から発生した巨大フレアなのではないかと考えた。マグネターからの巨大フレアは、宇宙で知られている中でも特に珍しく、最も強力な爆発現象の一つだ。(参考記事:「太陽の約100億倍明るい宇宙の謎の青い閃光、正体に迫る新発見」

 中性子星は巨大な恒星が崩壊してできる天体で、小さな都市ほどの大きさしかないにもかかわらず、質量は太陽と同程度だ。そして、強力な磁場を持つ。マグネターは、通常の中性子星のさらに数千倍という非常に強力な磁場を持っているが、マグネターができる詳細なしくみはまだ解明されていない。(参考記事:「謎の高速電波バースト、発生源は「マグネター」」

「マグネターは磁場の減衰をエネルギー源にします」とメレゲッティ氏は言う。「磁場の減衰は膨大な熱を発生させ、高温のマグネターから巨大フレアを放出させます」

 私たちの太陽から発生するフレアは強力で、数十億トンのプラズマが放出されることもあるが、マグネターの巨大フレアに比べれば微々たるものだ。マグネターの巨大フレアは、太陽が100万年かけて放出するのと同じ量のエネルギーをわずか0.01秒で放出する。

次ページ:発生源に天文学者たちは「非常に興奮しています」

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