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2024.03.01
現代数学の二本柱ともいえる「集合と位相」。抽象的でかっこいいという感じもするし、いかにも数学! という雰囲気もあります。
集合と位相は現代数学の根底を形づくるもっとも重要な概念です。これらは20世紀になって初めてきちんと確立されたものですが、数千年の歴史を持つすべての数学を展開する場を提供しています。
とかく難しいと思われがちな集合や位相の考え方を『現代数学はじめの一歩 集合と位相』から、楽しい解説とともに見ていくことにしましょう。今回のテーマは、数における「無限」違いについです!
*本記事は、『現代数学はじめの一歩 集合と位相 数学はいかに「無限」をかぞえたのか』を再構成・再編したものです。
自然数はどのように「無限」なのか
たとえば、「自然数の個数」を考えてみましょう。
自然数は無限にあります。これは誰でも直感的に知っています。もう少し数学的にいい表すと、
どんな大きな自然数より大きな自然数がある。
あるいは、
自然数に最大数は存在しない。
となります。
これは人が無限を扱うときのもっとも原始的な考え方だといえます。たとえていうとこんな具合でしょうか。
A、B二人の人物が先手・後手に分かれて大きな自然数をいい合うゲームをします。大きな自然数をいった方が勝ちです。
先手のAは必死になって考えました。考えて考えて、考え抜いたあげくにこういいました、「3」。すると、後手のBは押し黙ってしまいました。天を仰ぎ、地にうつむき、苦悶の表情で考えていたBは、とうとう口を開きました、「君の勝ちだ」。
もちろんこれは冗談です。実際、こんな笑い話がありますが、現実にこんなことになるはずがありません。このゲームが、後手必勝なのは明らかです。後手には「先手のいった数+1」という究極の必勝法があるからです。
この考えは、後にもっと洗練されて、関数や数列の「連続性」という概念に使われるようになりましたが、それは位相のところでふれます。ここでは、自然数は無限にたくさんあることが直感的に分かっていればいいでしょう。
無限に存在するものは、すべて同じように無限か
さて、自然数は無限にあります。同じように偶数も無限にあります。あるいは、素数も無限にあるし(ただし、これはあまり明らかではありません。数学的には証明を必要とする命題です)、実数も無限にあります。
どれもみな無限にあるのだから、個数はいくつか、と聞いても意味はなさそうです。
では、この集合を外延的記法であらわすとどうなるでしょうか。
外延的記法とは、その集合に含まれるすべての要素を書き出す方法をいいます。普通はすべての元を{ } でくくって示します。たとえば、10以下の自然数の全体がつくる集合は、{1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10}となります。
さて、われわれは自然数の集合を、
{1,2,3,…,n,…}
と書いても、これが自然数の集合であることを認識できます。実際には、この「…」の部分は曖昧であるはずですが、それにもかかわらずこれを自然数の集合と思えます。
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