クライム・アクションゲーム『グランド・セフト・オート(Grand Theft Auto)』シリーズを制作しているゲーム開発スタジオ”Rockstar Games”に不正アクセスし、『グランド・セフト・オートVI』のソースコードと引き換えに身代金を脅迫していたイギリスの18歳男性に、精神病院に永久入院させる判決が下った。
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大ヒットシリーズ最新作『GTA6』のソースコードで脅迫
今月、ついに待望のトレーラーが公開され、わずか4日間で1.28億回、2週間で1.5億回というゲーム史を塗り替える新記録の再生数をたたき出した『グランド・セフト・オート VI(Grand Theft Auto VI)』。
それほどの注目を集めた大人気シリーズの最新ゲームだけに、過去に幾度かのリーク被害に遭遇している。 そんなリーク被害でも特に影響が大きかったのが、イギリス・オックスフォード在住のArion Kurtajによる犯行だ。
自閉症を抱えるKurtajは18歳の若さながら、国際的なサイバー犯罪ギャングのLapsus$の主要メンバーだった。Lapsus$はこれまでRockstar Gamesのほかに、マイクロソフトやUber、Nvidiaなど大手企業にも犯行をしかけており、被害総額は1000万アメリカドル(約14億円)にも上る。
狂気じみた犯行
Rockstar Gamesに不正アクセスをしかけたKurtajだが、犯行に及んだ状況が常軌を逸している。KurtajはNvidiaとイギリスの携帯電話事業会社のBT/EEに、身代金目的の不正アクセスを行った疑いで逮捕されたのちに保釈。警察に保護観察の名目でホテルに収監されていた。この際に、Kurtajのノートパソコンは没収されている。
警察の監視下かつ愛用のツールが手元にないという通常なら観念する状態だが、なんとKurtajはホテルのテレビに接続されていたAmazonのFire TV Stickとスマートフォンを駆使し、Rockstar Gamesに不正アクセスを実行。結果、『GTA6』の未公開クリップ約90本とソースコードを盗み出した。
そしてRockstar GamesのSlackに、24時間以内にTelegramで連絡がなければ『GTA 6』のソースコードを公開すると脅迫文を投降。実際にTeaPotUberHackerという名前で、クリップとソースコードをフォーラムに流出させている。
再逮捕、被害は7億円以上
Kurtajは再び逮捕され、今度は裁判の日まで収監されていた。Kurtajは拘留中にも暴力を振るい、数十件の傷害や器物損壊事件を起こしたとのこと。
Kurtajは自閉症を抱えているため、医師たちにより裁判に立ち会える状況ではないと診断され、陪審員たちに判決が委ねられた。 判決公判でKurtajの弁護団は、『GTA6』のトレーラーがゲーム史に残るほど再生された事実が、KurtajのハッキングがRockstar Gamesに深刻な損害を与えていないことを示していると主張。量刑に考慮するよう求めた。
しかし陪審員は「Kurtajは非常に強い意欲をもって、サイバー犯罪を繰り返す意志を見せており、社会へのリスクがとても大きい」と判断。精神病院への永久入院という判決が下された。
Rockstar Gamesは裁判において、このハッキング被害の回復に約500万アメリカドル(約7億1000万円)と何千時間にも及ぶスタッフの時間が奪われたと証言している。
なお、年齢の関係で名前は明かされなかったものの、17歳のLapsus$メンバーも有罪判決を受け、他の逃亡者の捜査も続いている。また、ハッカー集団の多くは10代の若者だと想定されている。
Source: BBC
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