当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回取り上げたのは、公道を舞台にアメリカントラックを操り、目的地まで爆走するレースゲーム『アメリカントラック』です。
アクションゲームの中でもレースゲームは、比較的初期からあったジャンルだったといえます。その頃からのレースゲームに共通することといえば“敵車を上手に避けながらコースを進み、制限時間内にゴールすること”だったと言えるのではないでしょうか。ライバルカーに接触するとミスとなり、ストックが1台減ったり最低速度から再びスピードアップしていかなければならないなどのペナルティを受けてしまいます。
そうなると最終的にはゴールに到達できず悔しい思いをするわけですが、1985年5月末に発売された『アメリカントラック』は、18ホイールのアメリカントラックを爆走させながら敵車を体当たりで破壊しつつ先へ進むという、ちょっと違った内容で登場しました。そんな本作のストーリーは、以下のようになっています。
アメリカ航空宇宙局(NASA)から極秘書類を渡された君は、アメリカントラックを使って無事目的地まで運ばなければならなくなった。大型18輪のアメリカントラックは時速200kmのスピードと厚いフレームでガードされた武装トラックだ。しかし、行手は広いハイウェイばかりではなく合流・分岐・急カーブが続々登場する難所だらけ。4車線から1車線にわたる道路幅の中、さまざまにしかけられた障害物は次々とトラックを襲ってくる。これをうまくかわすにはコックピットに装着されたNASAからのメッセージパネルを冷静に読み取り的確な判断によって高速走行を続けなければならない。ただし、一部の車を除いて妨害する車はガードレールの外へはじき飛ばしてもかまわない旨、連絡がきている。無事に任務を遂行されることを祈ります。
プレイヤーは大型のアメリカントラックを操作し、時には蛇行する道路に合わせて華麗にハンドルを捌き、時には邪魔な他車をはじき飛ばしつつ、制限時間内に目的地へ到着することを目標に爆走します。画面右下に表示されているのはトリップメーターで、これが一番右端まで埋まるとステージクリアとなり、次のステージへと進みました。これを繰り返して、無事に目的地へたどり着ければエンディングを迎えることとなります。今回使用したPC-6001mkII版では、左右のカーソルでトラックの左右移動、カーソル上またはスペースキーでアクセル、カーソル下またはシフトキーでブレーキとなりました。
公道が舞台なので、道路上には様々な車が走っています。プレイヤーが操作するアメリカントラックは、車体をぶつけることで他車を左右にはじき飛ばせるだけでなく、上手に正面や真後ろからぶつかれば破壊することも可能でした。うまく壊せば得点が入るという仕組みなのですが、一部車種は破壊すると点数がマイナスされたり、さらには接触するとアメリカントラックが破壊されてしまうタンクローリーが走っているなど何でもぶつかればいいわけではないので、一筋縄ではいきません。どれがNGな車なのかは、プレイを重ねて覚えていくしかないのでした。
また、走行中に案内音が鳴るとNASAからの案内がメッセージとして表示され、その後にコースがガードレール地帯になったりコースが狭くなるなど、何らかの変化が起きます。アメリカントラックは、ガードレールに側面から当たった程度では壊れませんが、分岐部分に突っ込んだり勢い余ってガードレールをはみ出たりするとミスになり、残機が1減ってしまうことに。更なるワナとして、道路上には時々、爆弾が高速で流れてくることもあるのですが、これに触れると一発アウトで同じく残機を1つ失います。こうしてストックが0になると、ゲームオーバーとなってしまいました。
今回使用したPC-6001mkII用テープ版は、最高速度で走っていると触れたら一発でミスとなる“TNT”爆弾がものすごい速度で現れ避けられずミスしたり、飛ばしているとNASAからのメッセージが表示された直後に車線減少などの道路状況の変化が起きるため対処が間に合わないなど、かなり難易度が高いです。手元にあったMSX用テープ版も試してみましたが、こちらも自車が滑らかに動く以外に“TNT”が飛んでくる勢いなどは、ほぼ同じでした。ある程度やりこんで、爆弾の出現パターンを覚えるしかありません。
その代わり、この2機種は広告に掲載された他機種版の写真には見当たらない、建物などの道路脇の景色が充実しているのが特徴といえるでしょう。PC-6001mkII版は15色を使用しているので、画面がより賑やかに見えるのも嬉しい部分です。
クリアするのが難しい部類に入るかもしれませんが、興味のある人はプロジェクトEGGなどで該当ソフトを見つけることができますので、ぜひ遊んでみてください。なお、ディスク版はロード終了後にオープニングなどが盛り込まれていますので、そちらはまた別の機会にお届けしようと思います。
ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧
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- 誰もが知っている“ボンバーマン”の元となった「爆弾男」
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- 数多くの機種にハイクオリティな移植を実現したマイコンソフトの「パックマン」
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- ボーステックから発売された、謎多きゲーム「レリクス」
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- 驚くほど滑らかに縦スクロール、名作シューティングゲーム『NOBO』
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- マイクロキャビンの名作アドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』、その2作品目の難易度は!?
- 飛んでいくボールに合わせてスクロールする画面が斬新だった『アルバトロス』
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- ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』
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