任天堂は6月21日、『スーパーマリオRPG』リメイク版を発表し、11月17日に発売すると告知した。対応プラットフォームはNintendo Switch。リメイク版のメインビジュアルにて、オリジナル版にいた「ヨッシー」が姿を消した点が注目を集めている。トレイラーを見るにヨッシーはゲーム本編には出演するようだが、メインビジュアルからは外れている。
『スーパーマリオRPG』はスーパーファミコン向けに1996年に発売された同名作品のリメイク版となる。オリジナル版は任天堂と当時のスクウェアとの共同開発作品だ。本作の舞台は『スーパーマリオ』シリーズの世界。あるとき空に巨大な剣があらわれクッパ城めがけて落下し、人々の願いをかなえるスターロードが壊されてしまう。散り散りになった欠片はスターピースとなり、世界中に散ってしまった。
マリオはクッパやピーチのほか、もふもふな体の自称カエル「マロ」や、天空の使者「ジーノ」と共に各地を冒険。スターピースを集めて願いのかなう平和な世界を取り戻すことを目指す。オリジナル版発売以来、権利関係からか新たな展開がおこなわれていなかった本作。今回ついに3Dグラフィックでリメイクされることが発表された。
そして発表にあわせて、リメイク版のメインビジュアルも公開されている。マリオ、クッパ、ピーチ、マロ、ジーノの5人の3Dモデルが並び立っており、オリジナル版のメインビジュアルを踏襲したデザインだ。一方でオリジナル版からの大きな変化がある。緑色の愛くるしいキャラ、ヨッシーが消えているのだ。この事態を受けたユーザーの反応はさまざまで「(リメイク版発売と引き換えに)生贄になった」といった身も蓋もない冗談も多く寄せられている。
一方で、真面目にヨッシーがいなくなった理由を推察するユーザーもいる。有力なのは、作中でのヨッシーが“パーティメンバーではなかった”点だ。というのも、オリジナル版のメインビジュアルにおけるほかの5人は、全員が旅を共にするパーティメンバーだからだ。一方のヨッシーはずっと冒険に連れたってくるわけでもなく、作中のエリアのひとつであるヨースター島にしかいない。そのほかヨッシーは、戦闘中に特定のアイテムを使った際のお助けキャラとしての出番しかない。
さらにいえばヨースター島にはストーリー進行上訪れる必要がなく、出会わずにクリアするプレイヤーさえいたことだろう。ヨッシーがいること自体は、なんとなく収まりがよく見えるものの、よく考えれば周りのメンバーと比べれば結構仲間はずれ。当時のパッケージに描かれたヨッシーはゲーム内の役回りに似つかわしくない目立ち方だったといえる。
そんなヨッシーがなぜオリジナル版のメインビジュアルにいたのかは、任天堂と当時のスクウェアのみが知るところ。オリジナル版発売の前年1995年8月に、『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』が発売されていた。同作はヨッシーを主役にした初の作品であった。当時マリオと並び立つマスコットキャラクターとしてヨッシーが押し出されていた可能性はあり、結果としてメインキャラと共にパッケージを飾っていたのかもしれない。
またデザイン上、鮮やかな緑色のヨッシーはメインビジュアルの彩りとして採用されていたのではないかと推察するユーザーもいる。たしかにオリジナル版のメインビジュアルは緑、赤、青の色彩がバランスよく取り入れられている印象を受ける。見比べるとリメイク版のパッケージは色彩の面でもやや物足りなさは感じるところだろう。
ともあれリメイク版では、メインビジュアルからヨッシーは姿を消すことになった。一方でトレイラー中には、ヨースター島にてマリオがヨッシーに乗る場面がしっかりと収められている。メインビジュアルからは消えたものの、リメイク版でも3Dで鮮やかに再現されたヨッシーたちと出会うことができるだろう。
なおヨッシーがゲームのメインビジュアルから姿を消した例は過去にもある。ドイツでは、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』のパッケージイラストにてヨッシーが姿を消していたことが報告されている。
比較画像を見るに、たしかにパッケージイラストにてリンクとピカチュウの間にいるヨッシーが、ドイツ版では姿を消している。これはドイツのレーティング審査機関USKがパッケージに載せるマークの大きさが関係しているという。日本のCEROや米国・カナダのESRBと比べて、USKのマークは大ぶりなサイズ。ほかの国のパッケージイラストと同じであれば、ピカチュウがUSKのマークに大きくかぶってしまうことになりそうだ。そこでピカチュウの位置がせり上がるかたちとなり、ヨッシーは消失している。今回の『スーパーマリオRPG』も含め、メインビジュアルから姿を消しがちなヨッシーは何となく不憫でもある。
ちなみに『スーパーマリオRPG』リメイク版のメインビジュアルからヨッシーが姿を消したことを、“脱税ヨッシー”のネットミームと結びつけるユーザーも見られる。脱税ヨッシーとは、とあるユーザーが生み出したいわゆる雑コラに端を発するネットミーム。無垢でかわいらしいヨッシーが「私は脱税をしました(I committed tax fraud)」と生々しい罪をけろりと告白するシュールさからか、海外を中心に人気を博した(関連記事1、関連記事2)。今回ヨッシーがメインビジュアルから削除されたのも、存在しない“脱税の罪”が原因だと冗談を述べるユーザーが散見される。もちろん、ネットミームは根も葉もなく、消えたのは脱税したからではないだろう。おそらく。
『スーパーマリオRPG』のリメイクに際して、一風変わったかたちで注目を集めているヨッシー。くり返しになるが、メインビジュアルから姿を消したにすぎず、リメイク版でも本編には登場すると見られるので安心されたい。“6人目の仲間”気取りで紛れ込んだヨッシーは見られなくなったものの、3Dで精細に表現されたヨースター島での活躍を見せてくれることだろう。
『スーパーマリオRPG』はNintendo Switch向けに11月17日に発売予定だ。
※ The English version of this article is available here
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