ある開発者が難しい質問を投げかけ、注目を集めている。ゲーム開発者に対して「自分のゲームが爆発的に売れたが大不評/ちっとも売れないが大好評」のいずれがよいかを問う内容だ。
今回の問いを投げかけたのは、Firespriteのジュニア開発マネージャーOri Mees氏。同氏はゲーム開発者に対して、自分のゲームが「100万人に遊ばれているが75%から不評を受けている」か「100人にしか遊ばれていないがプレイヤー全員から熱烈な支持を受けている」か、どちらの状況がいいかを問いかけた。なおOri氏は続くツイートにて、「100万人のプレイヤーはすべてゲームを通常または妥当な価格で購入している」ものとする条件を補足している。
Ori氏の問いかけに対しては「100万人が購入して遊んでいるが75%から不評を受けている」状況を望む開発者が数多く見られる。まず今回の問いかけの条件どおりであれば、不評を投じていない25%すなわち25万人は無関心あるいは好評を投じていることになる。そして少なくとも100人は気に入ってくれているはずと見立てる者もいる。母数が大きい分、割合は小さくとも作品を好きになるプレイヤーは多くなるという見方だろう。
また100万人に購入される状況においては、やはり売上も魅力となる。100万人のうち仮に75%が返金しても、25%に購入されていれば相当な売上になるだろう。ゲーム開発をリタイアすることもできるし、生活費や開発費に充てて次の作品を作ることもできるわけだ。
そのほか、不評そのものを好意的に見る意見もある。今回の仮定では、75%もの不評が寄せられているだけに、ゲームに重大な欠陥が存在する可能性はある。ユーザーレビューには問題点のフィードバックが寄せられる場合もあるだろう。また先述のように売上を予算に充てられるため、そうしたフィードバックを受けてアップデートで改善を進めることも可能といえる。次回作での改善を目指すという選択肢もあるだろう。
一方で「自分のゲームが爆発的に売れたが大不評」になることに否定的な開発者も見られる。ある開発者は評判こそが重要であり、一度落ちた評判を取り戻すのは困難であるとコメント。高品質な状態でゲームを発売できないならマーケティングに失敗した方がましだと述べている。そもそも75%の不評が大きな欠陥に起因する場合、その状態で発売することに問題があるとの見方もできる。
中にはすでに似たような状況を幾度も経験したという開発者も見られ、過去の教訓からも「ちっとも売れないが大好評」なゲームの開発を強く望んでいるという。ほかには、個人的な楽しみとしてゲームを開発しており、完璧でなくともニッチな層に気に入られれば嬉しいと述べる開発者も。爆発的に売れなくてもよいので、遊んだ人全員に親しまれてほしいと考える開発者は一定数いるようである。またそのなかには、100件の好評はいつか100万本の販売につながるだろうと述べる者もいる。
他方では、「自分のゲームが爆発的に売れたが大不評/ちっとも売れないが大好評」のいずれも選びかねている開発者もいる。彼は、クリエイターとしては「100人にしか遊ばれていないがプレイヤー全員から熱烈な支持を受けている」状況を選ぶという。一方で、生活に余裕が必要なひとりの人間としては100万本売れてほしいともコメント。すべてのプレイヤーに楽しんでほしいという想いはあるものの、現実問題として売上も立てなければならない開発者の苦悩が垣間見える。
意見の多さとしては、冒頭で述べたように、「100万人が購入して遊んでいるが75%から不評を受けている」状況を望む声が多い。とはいえ、開発者も一枚岩ではない。開発者が長期間心血を注いだゲームほど、不評が寄せられることに敏感になる傾向はあるかもしれない(関連記事)。一方で手間暇かけて作ったがゆえか、不評の多さよりもプレイヤーの少なさを恐れる声もあり、Ori氏の問いかけのどちらが望ましいかは各人各様といえそうだ。「自分のゲームが爆発的に売れたが大不評/ちっとも売れないが大好評」のどちらがよいかは、開発者たちのジレンマがうかがえる問いかけだといえるだろう。
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