ASUS JAPANの「ROG Zephyrus G14」は、14型の液晶ディスプレイを備えたコンパクトサイズのゲーミングノートPCだ。最新シリーズのGA402では、AMDの最新世代のCPUとGPUを採用し、液晶ディスプレイ天板のLED発光システム「AniMe Matrix」もさらにグレードアップしている。
カラーやスペック、AniMe Matrixの有無が異なる5モデル(これとは別にGA401型番のモデルが1つ存在する)のラインアップのうち、最上位に位置するROG Zephyrus G14 GA402RKのムーンライトホワイト(GA402RK-R96RX6800SWL)の実機を入手したのでレビューしよう。
見た目も手触りも上質なボディーで2つのカラーを用意
ROG Zephyrus G14のボディーはとても洗練されている。ゲーミングノートPCらしくシャープなラインで構成された形状だが、くすみのないパキッとしたホワイト(ムーンホワイト)のカラーリングが新鮮で、近未来的なイメージとともに、さりげないエレガンス、カジュアルな親しみやすさも併せ持つ。
本機を手に持った感触も実に良い。ソリッドな剛性感、タイトに身が詰まった凝縮感、それでいて、手に取るとマイルドで当たりが強くない。ベトつかないサラサラとした触感で、指紋なども付着しにくい仕上がりだ。
近年、業界全体の傾向としてデザイン的に洗練されたゲーミングノートPCも増えてきてはいるが、洗練度という点では頭1つ抜けた存在に感じる。
LEDアニメーション発光システム「AniMe Matrix」を搭載
天板には多数のミニLEDライトを集積した発光システム「AniMe Matrix」を搭載しており、テキストやロゴなどをアニメーション表示させることができる。LEDの数は先代モデルよりも約19%増えて1449個になり、より滑らかなアニメーションを表示できるようになっている。
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AMD製CPUを中心に先進のハードウェアスペックを採用
本機のCPUには、AMDのRyzen 9 6900HS(8コア16スレッド)を搭載する。2022年1月に発表されたばかりの最新モデルで、Zen 3+アーキテクチャーを採用した最新世代のノートPC向けRyzenシリーズの中でも上位クラスの性能をもつパワフルなCPUだ。
外部GPUとしては、こちらも2022年に1月に発表されたばかりの「AMD Radeon RX 6800S」を搭載する。AMD Radeon RX 6000Sシリーズは、厚さ20mm未満/重量2kg未満のスリムノートPCに載せることを想定して電力効率が最適化されている。まさに本機のような製品での採用をターゲットに開発されたGPUだが、本機にはその中でも32基の演算ユニットを内蔵する最上位モデルを備えている。
現行のゲームタイトルのほとんどをフルHD(1920×1080ピクセル)、もしくはワンランク上の1440p(2560×1440ピクセル)の解像度でストレスなくプレイできるだけの性能を持つ。
メモリも最新のDDR5-4800を採用し、容量も32GB(16GB×2)と余裕がある。ストレージはPCI Express 4.0 x4対応のNVMe SSDを1TB装備するなど、最新製品ならではの先進的なスペックを誇る。
ジャンルを問わず高い満足感を得られる高品質な14型ディスプレイ
「ROG NEBULAディスプレイ」と呼ばれる高性能かつ高品質な画面を搭載するのも、本機の大きな特徴だ。画面サイズは14型でアスペクト比は16:10、最大解像度は2560×1600ピクセルに対応する。16:9の2560×1440ピクセルよりも縦に長く、Webページなどの情報をより多く表示でき、A4基準のビジネス文書も相対的に大きなサイズで見ることができる。
また、リフレッシュレートは120Hz、応答速度も3msと短時間で滑らかで残像感のないゲームプレイが可能だ。色域はDCI-P3 100%相当でカラーマネジメント大手のPantone認定済みと、クリエイティブの制作用途でも活用できる色再現性を備える。輝度は最大500ニトと明るく、Dolby Vision HDRもサポートしており、HDRコンテンツを高レベルのクオリティーで楽しめる表示性能だ。
GPUのフレームレートと、ディスプレイのリフレッシュレートを同期させることで描画のカク付きや乱れを防ぐ同期技術をサポートし、最高のゲーム体験ができることを示す「AMD FreeSync Premium」にも対応している。
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さまざまな環境や用途に対応できるインタフェースを標準装備
通信機能は、Wi-Fi 6対応の無線LANとBluetooth 5.1を標準で装備する。USBポートは、USB 3.2 Gen 2 Type-C(10Gbps)が2基、USB 3.2 Gen 1 Type-A(5Gbps)を2基、合計4基搭載している。
USB Type-Cは2基ともディスプレイ出力(DisplayPort Alternate Mode 1.4)に対応し、左側面はUSB PD(Power Delivery、100W)による充電にも対応する。ディスプレイ出力としてはHDMI端子も備えており、新旧両方の環境にスムーズに対応できる内容だ。
画面の上には、92万画素のWebカメラ、顔認証対応IRカメラ、3Dマイクも内蔵する。クリアな音声でのチャットを実現する、双方向AIノイズキャンセリング機能も装備している。
ハイレベルのパフォーマンスを実証
ここからは、ベンチマークテストの結果を見ていこう。評価機の構成は、Ryzen 9 6900HS(8コア16スレッド、3.3GHz〜4.9GHz)、メモリが32GB(DDR5-4800)、ストレージが1TB(PCI Express 4.0 x4)、グラフィックス機能がAMD Radeon RX 6800S(グラフィックスメモリは8GB)、OSがWindows 11 Homeだ。
Armoury Crateで選べるパフォーマンスモードは、デフォルトのパフォーマンスを基本に、一部Turboモードでも行っている。
CINEBENCH R23のCPUスコアは、パフォーマンスモードで12463ptsだ。Turboモードでは13741ptsと、さらに良いスコアが出た。後者のスコアは先代のTDP 45WモデルであるRyzen 9 5900HXと互角以上の性能が出ており、最新CPUならではの性能をしっかり引き出せていることが分かる。
PCMark 10では、モードによる差は出なかったが、比較対象の旧世代ゲーミングノートPC(Core i7-9750H/6コア12スレッド、メモリ32GB、PCIe 3.0 x4 SSD、GeForce GTX 1650/4GB)を圧倒するスコアをマークしている。
続いては、グラフィックス関連のテストだ。
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レイトレを除けば高いスコアで放熱制御も優秀
3DMarkについては、DirectX 11ベースのFire StrikeやDirectX 12ベースのTime Spyでは、TGP 100W前後のGeForce RTX 3070 Laptop GPUと同じくらいのスコアだ。ただし、レイトレーシングを活用するDirectX Raytracing(DXR)対応のPort Royalでは、ワンランク下のRTX 3060 Laptop GPUと同レベルのスコアにとどまる。
動作音は、パフォーマンスモードであればゲーミングノートPCとしては標準クラスにある。ゲームなど高負荷時には大きくなるものの、低負荷ならば特にノイズも気にせず利用できる印象だ。Turboではゲームを起動しているだけでも大きな風切り音が発生しており、常時ヘッドフォンをしているような使い方以外での常用は難しいと感じる。動作モードはM4キーまたはFn+F5キーかで簡単に切り替えられるので、うまく利用すればよいだろう。
放熱はうまく制御できている印象で、キーボードは奥側中央付近で一部熱くなるものの、WASDキー周辺は30度台前半、手がよく触れるパームレストは最高でも31.3度と低い温度に保たれていた(室温は16度)。放熱口がヒンジ部にある構造から、ボディーの左右に熱風が吹くことがないのは好印象だ。
実用性と楽しさを兼ね備えた高付加価値のゲーミングノートPC
直販のASUS Storeでの価格は税込み29万9800円と、発表時から2万円アップとなっており、原稿執筆時点で発売日は未定だ。従来のROG Zephyrus G14シリーズのイメージからすると高価に感じるが、今世代は内容がグレードアップしており、物流の混乱や円安といったもろもろの事情を考慮すれば納得できる価格だろう。
G402シリーズのラインアップには、AniMe Matrixを省いた「ROG Zephyrus G14 GA402RJ」(GA402RJ-R76RX6700シリーズ)が同22万9800円で発売中だが、GPUのグレードが下がり(Radeon RX 6700S)、メモリやストレージ容量ともに本機から半減するので、最上位モデルを購入した方が後悔がないと感じる。
本機はゲーミングPCではあるが、エンターテイメント、クリエイティブ、ビジネス、いずれの用途でも高いレベルで対応できる万能性のある構成で活躍の場を選ばない。それに加えて、洗練されたデザイン、AniMe Matrixという唯一無二のギミックを「持ち運べる」という付加価値は大きな強みだ。実用面はもちろん、楽しさという面からも生活の質を向上させるパートナーになってくれるだろう。
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