バッファローが販売しているスティック型SSDが今なお話題だ。USBメモリのようなサイズながら、中身はれっきとしたSSDで、データ転送が高速かつ大容量、そして購入しやすい価格ということもあり、大人気となっている。
今回紹介するのは、売れ筋の「SSD-PUT/Nシリーズ」。PCだけでなく、PlayStation 4/5といった家庭用ゲーム機、そしてTVの録画用としても活躍が可能と、“小さな万能選手”ぶりを改めて見て行きたい。
小さい上にケーブル不要と圧倒的な使いやすさ
「SSD-PUT/Nシリーズ」は、サイズが23×68.2×11mm(幅×奥行き×高さ)で重量がわずか約17gのUSB接続のポータブルSSDだ。インターフェイスは5GbpsのUSB 3.2 Gen 1(旧表記はUSB 3.0、表記ルールについては別記事を参照)で、端子の形状はType-A。公称リード速度は430MB/sになっている。
容量は、1TBの「SSD-PUT1.0U3-B/N」(実売価格1万2,000円前後)、500GBの「SSD-PUT500U3-B/N」(同7,400円前後)、250GBの「SSD-PUT250U3-B/N」(同4,800円前後)の3種類だ。
「SSD-PUT/Nシリーズ」最大の強みは“手軽さ”だ。見た目は完全にUSBメモリで、コネクタも一体化しているため、ケーブル不要でPCに接続できる。USBコネクタに挿すだけで済んでしまう。
そのコネクタもスライド式で不要なときは収納が可能と、コネクタ破損の心配もいらない。ケーブル接続式のポータブルHDDやSSDはどうしても持ち運び時にはかさばってしまう。「SSD-PUT/Nシリーズ」のようにポケットに入れてお手軽にというわけにはいかいないのだ。
さらに「SSD-PUT/Nシリーズ」は、ミリタリーグレードとも呼ばれる米国規格MIL-STD-810G 516.6 procedure IV準拠の耐衝撃性能を持っており、約1.2mの落下にも耐えられる。ポケットに入れられる手軽さに加えて、落としても安心というのは何より心強いところ。ストラップホールもあるので、紛失対策としてキーホルダーやストラップを付けておくことも可能だ。
外見はUSBメモリだが、Windowsからの認識は大きく異なる。以下の記事で詳しく紹介しているが、USBメモリは「リムーバブルメディア」として認識され、「SSD-PUT/Nシリーズ」は「ローカルディスク」として認識される。
リムーバブルメディアは、パーティション操作の自由度がない。変更できるのはドライブ文字程度だ。その一方でローカルディスクは、内蔵のSSDと扱いはほとんど同じ。GPT形式やダイナミックディスクへの変換が可能で、パーティション操作の自由度が大きな違いと言える。
PCでの使い勝手は? ポータブルHDD、USBメモリと速度比較
ここからはPC利用時の比較を行なっていこう。「SSD-PUT/Nシリーズ」の1TB版を使い、500GBのポータブルHDDと、128GBのUSBメモリと比較する。ポータブルHDDはUSB 3.2 Gen 1(5Gbps)接続、USBメモリも同じくUSB 3.2 Gen 1(5Gbps)接続で公称リード400MB/s、ライト100MB/sの高速タイプだ。
検証環境は以下の通り。
【表】検証環境 | |
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CPU | Core i9-12900K(16コア24スレッド) |
マザーボード | MSI MPG Z690 CARBON WIFI(Intel Z690) |
メモリ | Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5 CMT32GX5M2B5200C38 (PC5-41600 DDR5 SDRAM 16GB×2)※DDR5-4800で動作 |
システムSSD | Western Digital WD_BLACK SN850 WDS200T1X0E (PCI Express 4.0 x4、2TB) |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC (GeForce RTX 3070) |
CPUクーラー | Corsair iCUE H115i RGB PRO XT (簡易水冷、28cmクラス) |
電源 | Super Flower LEADEX V G130X 1000W (1,000W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro |
まずは、最大データ転送速度を測る「CrystalDiskMark 8.0.4a」の結果から。シーケンシャルリードは462.43MB/sと公称以上の速度を記録し、シーケンシャルライトも447.82MB/sと高速だ。
それよりも注目はランダムリードとライトだろう。シーケンシャルリードは結構速いUSBメモリも4K Q32T1と比較すると、SSD-PUT1.0U3-B/Nは約10倍、ライトに至っては1万倍以上速い。ポータブルHDDについては、リード/ライトとも100倍ほどの速さになる。シーケンシャルだけではなく、ランダムアクセスにも強いのがSSD-PUT1.0U3-B/Nの特徴だ。
続いての検証はゲームの起動およびロード時間だ。
ゲーミングノートなど拡張性に限りのある環境では、外付けストレージにゲームをインストールしたいという需要もあるだろう。ここでは、「サイバーパンク2077」と「Forza Horizon 5」をそれぞれのストレージにインストールし、起動とロード時間がどう変わるのかを確かめてみた。
「サイバーパンク2077」は、ゲームランチャーの「Play」ボタンを押してからタイトル画面が出るまでを「起動」、「続ける」を選択してからゲーム開始までを「ロード」時間とした。「Forza Horizon 5」はSteamの「プレイ」ボタンを押してからタイトル画面が出るまでを「起動」、「続ける」を選択してからゲーム開始までを「ロード」時間とした。どちらもストップウォッチで3回測定した平均値を掲載している。
どちらのゲームもSSD-PUT1.0U3-B/Nが最速だ。ポータブルHDDはロードに時間が非常にかかっており、ゲームのインストール先には向いていないのが分かる。USBメモリは起動、ロードとも悪くない結果だが、データの移動に時間がかかるのが難点だ。
「サイバーパンク2077」は容量が69.41GBあり、SSD-PUT1.0U3-B/Nは元々インストールされていたNVMe SSDから移動させるのに3分36秒で済んだが、ポータブルHDDは10分17秒、USBメモリは11分37秒もかかった。HDDとUSBメモリともに大容量データのコピーは苦手なようだ。
「Forza Horizon 5」は容量が102.9GBで、SSD-PUT1.0U3-B/Nは移動に5分19秒で済んだが、ポータブルHDDは16分52秒、USBメモリは30分33秒もかかっている。トータルの使いやすさではSSD-PUT1.0U3-B/Nが一番だ。
小型で高速ということで発熱も気になるところ。CrystalDiskMark 8.0.4aを3回連続で実行するという、負荷の高い処理を行なった直後の温度をサーモグラフィでチェックした。
温度が高くなっている部分に絞って測定したが、最低で30.7℃、平均で48.1℃、最高で56.0℃と手で触ってもほんのり温かい程度だ。これならば接続したまま長時間使っても心配はいらないだろう。
PS4ならより高速に! PS5なら内蔵SSDと同等の速度
USB接続のストレージは、PlayStation(以下、PS) 4と5の「拡張ストレージ」としてフォーマットすることで、ゲームのインストール先として利用できる。ゲームの大容量化が進む昨今、内蔵ストレージの容量不足解消としてはポピュラーな手段だ。
ただしPS5の場合、拡張ストレージから起動できるのはPS4版のゲームだけ。PS5専用のゲームは移動こそできるが、ゲームをプレイする場合は内蔵SSDに戻す必要がある。
ここでは、SSD-PUT1.0U3-B/NとポータブルHDDを拡張ストレージとして接続した場合、ゲームの起動とロード時間がどう変わるのかをチェックしてみたい。
ゲームはどちらも、PS4版の「モンスターハンターワールド : アイスボーン」を使用。起動とロードをストップウォッチで3回測定したときの平均を掲載した。なお、拡張ストレージとして使うには、最低250GBの容量が必要なので、128GBのUSBメモリは比較対象に含めていない。
まずは薄型PS4(CUH-2100)。前面にあるUSB 3.2 Gen 1(5Gbps)のポートに接続してテストを行なった。薄型PS4のUSBポートは奥まった場所にあるが、SSD-PUT1.0U3-B/Nはコネクタ部分が薄くなっている作りなので問題なく挿し込める。
PS4は内蔵ストレージがHDDということもあり、SSD-PUT1.0U3-B/Nにインストールすることで起動、ロードともに大幅短縮。特にロード時間は1分以上も短縮されている。ポータブルHDDは同じHDDなので起動、ロード時間とも誤差範囲と言える違いしかなかった。
次はPS5(CFI-1100A)だ。注意したいのは、PS5前面にあるUSBポートはType-C形状はUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)だが、Type-A形状はUSB 2.0(480Mbps)仕様であること。背面にある2基のType-Aは両方ともUSB 3.2 Gen 2(10Gbps)なので、SSD-PUT1.0U3-B/NとポータブルHDDは背面のUSBポートに接続した。
SSD-PUT1.0U3-B/Nは、PS5の高速な内蔵SSDと変わらない起動とロード時間を測定した。PS4版のゲームならば、快適にプレイできるのが分かる。ポータブルHDDは、起動/ロード時間ともかなり遅くなった。ロードは1分以上かかっており、快適にプレイするのが難しい速度になってしまっている。
TVの録画機能も快適に使える
SSD-PUT1.0U3-B/Nは、TVの番組録画用ストレージとしても便利だ。一般的に録画に用いられる外付けHDDは、コンセントが必要になるのに対して、SSD-PUT1.0U3-B/NはUSB給電のため、USBポートに直接挿すだけなので邪魔にならない。また、ポータブルHDDでは、ケーブルがだらーんと垂れ下がってしまって見栄えもバランスも悪くなってしまう。
それならUSBメモリでも同じように思えるが、1TBクラスの高速なUSBメモリになると、実はSSD-PUT1.0U3-B/Nよりも高価なものが多い。手軽さ、コストパフォーマンスともSSD-PUT1.0U3-B/Nは優秀なのだ。
ここでは、ソニーの43型TV(BRAVIA KJ-43X7500F)を使って、PCでのテストと同じくSSD-PUT1.0U3-B/N、ポータブルHDD、USBメモリにそれぞれTV番組を録画して、その録画した番組が再生されるまでの時間を確かめて見る。ストップウォッチで3回測定した平均値を掲載した。
ここでもSSD-PUT1.0U3-B/Nが一番優秀だった。USBメモリとは微妙な差だが、HDDよりは明らかに再生が開始されるまでの時間が短い。大量に録画、再生する人にとっては1.91秒の差は大きく感じるのではないだろうか。
万能外付けストレージとして多くの人にオススメ
ここまでのテストで「SSD-PUT/Nシリーズ」の万能ぶりが分かったと思う。小さなサイズと高速なデータ転送速度を生かし、大容量データの持ち運びに便利なのを始め、ゲームのロード時間も十分高速なことから、ゲーミングノートのゲームインストール先にも使え、PS4とPS5の拡張ストレージとしても優秀だ。TVの録画機能用のスマートなストレージにも使用できる。
高速な大容量USBメモリと比べてコストパフォーマンスも上回っており、とりあえず1つ持っておきたいと思わせるだけの魅力がある。手軽に使える外付けストレージを求めているなら、ぜひともチェックしてほしい。
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