亡くなったらすぐに故人の口座が連結してしまうと思っている方がいらっしゃいますが、銀行のシステムと役所のシステムが連携しているわけではありませんので、口座が凍結されるのはあくまでも銀行がその人が亡くなったことを知った時(基本的には遺族が申し出た時)です。 とはいえ、口座が凍結されてしまうと、原則として預金を引き出すことはできなくなります。そのような場合の解決策にはどのようなものがあるのでしょうか。
口座の凍結はいつまで?
銀行が口座名義人の死亡を知ると、その口座は凍結されます。そしてそれは、相続手続きが完了するまで解除されません。 しかし、葬儀費用や同居している方の生活費など、当面のお金が必要な際に引き出せないとなると非常に困ります。そのために、銀行では所定の書類を提出することで凍結を解除できます。
口座凍結を解除するための手続き
口座凍結を解除するためには、相続手続き完了後にその口座を解約、もしくは相続人に名義変更するための手続きが必要です。しかし、遺産分割が完了する以前であってもすぐに必要な金額(当面の生活費や葬儀費用等)を引き出せる「遺産分割前の払戻し制度」もあります。 ■遺産分割前の払戻し制度 この制度を使うことにより、遺産分割が決定する前であっても、相続人から申し出ることで一定金額までを引き出すことが可能です。 その際には、本人確認書類に加え、「故人の出生から死亡までの連続した除籍謄本、もしくは戸籍謄本(全部事項証明書)」と「相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)」、さらに「払戻しを希望する人の印鑑証明書」が必要です。 また、引き出せる金額は1つの金融機関ごとに150万円までと決まっており、それ以上の金額を引き出すには家庭裁判所の仮分割の仮処分が必要となります。
相続手続き完了後、口座凍結を解除するために必要な書類
相続手続き完了後に口座凍結を解除する際には、その相続手続きがどのような方法によってなされたのかによって、その解除手続きの際に必要な書類が異なります。また、いずれの相続手続きをする場合でも、以下の書類は共通して必要です。 ・故人の死亡が確認できる戸籍謄本 ・実印 ・相続人全員の印鑑証明書 ・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書 ・各金融機関への手続き依頼書および通帳や届出印 ■遺言書に基づいて相続手続きが完了した場合 遺言書に基づいて相続手続きが完了した場合は、共通書類と併せて「遺言書」が必要です。もし、その遺言書が「自筆証書遺言」もしくは「秘密証書遺言」である場合は、家庭裁判所の検認済み証明書も必要となります。 ■法定相続分に基づいて相続手続きが完了した場合 法定相続分に基づいて相続手続きが完了した場合は、以下の書類を用意する必要があります。 ・故人の出生から死亡までの連続した除籍謄本、もしくは戸籍謄本(全部証明書) ・相続人全員の戸籍謄本(全部証明書) ・凍結解除を行う人の実印 ・すべての相続人の印鑑証明書 ■遺産分割協議によって相続手続きが完了した場合 遺産分割協議によって相続手続きが完了した場合は、法定相続分に基づいて相続手続きが完了した場合に必要となる書類と合わせて、「遺産分割協議書」の提出が求められます。
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