こんにちは、森田麻里子です。私は医師で、赤ちゃんの睡眠トラブルについて情報発信やアドバイス等を行っています。この連載では、夜泣きや、なかなか寝てくれない、朝起きるのが早すぎる、といったお悩みについて、解決のヒントをお伝えしていきたいと思います。
睡眠トラブルとは?
夜泣きをはじめとする睡眠トラブルは、とても深刻な問題です。赤ちゃんが寝られないという問題だけではなく、ママ・パパの睡眠不足も起こり、それによって日中のすごし方に影響が現れ、さらに睡眠トラブルが悪化する…という悪循環に陥ってしまうこともあります。 睡眠トラブルに明確な定義はありませんが、よくあるトラブルには次のようなものがあります。 ・授乳・ミルク等で必要な回数以上に夜中に起きる ・寝かしつけに30分以上かかって騒いでしまう ・朝4時とか5時台に起きてしまう 睡眠トラブルを抱えている赤ちゃんがいる場合、どうしても、「なかなか寝ないのはまだ眠くないからだ。そのまま起こしておこう」「夜に何度も起きてしまうなら、まとまって眠れるように寝る時間を遅くしよう」と考えてしまいがちです。おとなならそういう方法もありますが、赤ちゃんの場合、これは正しくありません。実際には、ほとんどの赤ちゃんは寝すぎではなく、睡眠不足です。そして、その睡眠不足のために、余計に夜起きるようになってしまうこともあるのです。 赤ちゃんの睡眠トラブル解決の鍵は、とにかく赤ちゃんにとってちょうどよい生活リズムや、寝室の環境を整えてあげること、そして寝かしつけに手をかけすぎないことです。なかでも、就寝時間と起床時間をちょうどいい時間に調整することは、とても大切です。
理想的な赤ちゃんの寝る時間は?
そもそもみなさん、赤ちゃんは何時ごろ寝かせてあげればよいか、ご存知ですか? おとなと一緒に寝るというご家庭も多いと思いますし、赤ちゃんだからおとなより早く21時ごろかな? と思っていらっしゃる方も多いと思います。しかし実は、赤ちゃんは夜19時から20時ごろに寝るのがちょうどいいのです。思ったより早いと思われるかもしれませんが、十分な睡眠時間を確保するためにはこのくらい早く寝かせる必要があります。 赤ちゃんの睡眠時間については、米国国立睡眠財団などから月齢ごとに推奨時間が出されています。いずれもお昼寝を含む一日の合計で、0~3ヶ月の赤ちゃんは14~17時間、4~11ヶ月は12~15(WHO推奨は12~16)時間、1~2歳は11~14時間です。このなかで、お昼寝を除くと、夜の睡眠時間はおよそ10~12時間が目安になります。ですから、朝6~7時に起きるとすると、夜は19~20時には寝る必要があるということなのです。
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