大人の健康を考える「大人び」
このシリーズでは、大阪大老年・総合内科学教授、楽木宏実さんに聞きます。(聞き手・山崎光祥) 高齢者が多数の薬を服用する「ポリファーマシー(多剤併用)」の問題では、それぞれの薬の必要性を吟味し、可能な限り減らすことが重要だと書きました。今回は、必要な薬を全て飲みきるための工夫がテーマです。専門的には「服薬アドヒアランス」と言います。
薬を飲み切れない人は、〈1〉種類が多すぎて用量を間違える〈2〉飲むのを忘れる〈3〉薬の必要性や性質を正しく理解していない――といった事情を抱えています。中には、降圧効果のある利尿剤を飲むとトイレが近くなると思い込み、外出前の服用を控える高血圧患者もいました。体調などに応じて患者が服用回数を調節できる薬はありますが、それ以外は飲む薬を自己判断で選んではいけません。 対策としては、同じ時間帯に服用する薬を1袋にまとめる「一包化」や、各曜日の朝昼晩に分けて薬を入れられるピルケース、1回分ずつのポケットが付いた「お薬カレンダー」がお勧めです。一包化は医療機関で相談してください。効果が強いか、長く続く薬にして服用を1日1回に減らしたり、1錠に複数の薬の成分が入った配合剤に切り替えて1回分を少なくしたりすることもあります。 薬を自分で管理できない場合は、家族や訪問看護師らが飲み忘れのチェックや薬の仕分けを手伝ってあげてください。 薬を処方通りに飲まないと、思うような治療効果が出ないばかりか、医療機関で「効いていない」と勘違いされて薬が増え、ますます飲みにくくなるという悪循環に陥る恐れもあります。余った薬がたくさんある時は、かかりつけ医に正直に伝えましょう。対策を一緒に考えてくれますし、それを機に認知症が見つかることもあります。
楽木 宏実(らくぎ・ひろみ)
1984年、大阪大学医学部卒業。89ー90年、米国ハーバード大学、スタンフォード大学研究員。2004年、大阪大学大学院加齢医学助教授、07年から同老年・腎臓内科学教授。内科学講座の改組により15年10月から現職。
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