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Sunday, May 16, 2021

心臓の健康に必要な睡眠時間は? - HealthDay

睡眠時間には、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクの低下と関連する「スイートスポット」があるとする研究結果が報告された。心筋梗塞や脳卒中で死亡する可能性が最も低いのは、一晩の平均睡眠時間(以下、睡眠時間)が6〜7時間の人であることが明らかになったという。米ヘンリー・フォード病院内科のKartik Gupta氏らによるこの研究の詳細は、米国心臓病学会学術集会(ACC 2021、5月15〜17日、オンライン開催)で発表される予定である。

この研究は、米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey;NHANES)の2005〜2010年の参加者1万4,079人のデータを用いたもの。参加者の平均年齢は46歳で、半数が女性、53%は白人以外の人種だった。また、参加者の中で心疾患や心不全、脳卒中の既往歴を持つ人は1割足らずであった。参加者は中央値で7.5年追跡され、その間の死因が心筋梗塞、心不全、脳卒中のいずれかであったかどうかが確認された。

参加者は睡眠時間に関する調査への回答に基づき、一晩の睡眠時間が6時間未満、6〜7時間、7時間以上の3群に分類された。また、参加者の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクスコアと、C反応性蛋白(CRP)レベルも測定された。ASCVDリスクスコアは、心筋梗塞や脳卒中、または動脈硬化による死亡の予測に広く用いられており、5%未満が低リスクとみなされる。一方、CRPは炎症マーカーで、CRP高値は心疾患と関連することが知られている。

解析の結果、ASCVDリスクと睡眠時間の間にはU字型の関係があり、睡眠時間が6〜7時間の群のリスクが最も低いことが明らかになった。10年間のASCVDリスクスコアの中央値は、睡眠時間が6時間未満の群で4.6%、6〜7時間の群と7時間以上の群で3.3%だった。一方、CRP値に関しては、6時間未満の群と7時間以上の群で、6〜7時間の群よりも高いことが判明した。

こうした結果を受けてGupta氏は、「睡眠時間が6〜7時間未満か7時間以上の群では、6〜7時間の群よりもASCVDリスクスコアが高かった。これは、両群でのCRP値上昇が示すように、体内で炎症が促進していたことに起因する可能性がある」と推測している。

Gupta氏はまた、「循環器系の問題で死亡する確率は、睡眠時間が6時間未満の群または7時間以上の群の方が、6〜7時間の群よりも、高かった。しかし、ASCVDリスクスコアは、6〜7時間の群と7時間以上の群で同じであった。このような結果は、ASCVDリスクスコアでは、睡眠時間が7時間以上の群の心血管系のリスク上昇を十分に捉えられていないことを示唆している」と述べている。

その一方でGupta氏は、今回の研究は睡眠の量のみを問題にしたもので、睡眠の質については考慮していない点を指摘。「睡眠は長さとともに質についても考慮することが大切だ。ベッドに7時間横たわっていたからといって、質の良い眠りを取れたことにはならない」と述べている。

ACCの患者向け教育サイトの編集長を務めるMartha Gulati氏は、「睡眠不足が心臓の健康状態の悪化に関連することを報告した研究は既にたくさんあるが、長時間の睡眠と心血管疾患リスクとの関連についてのエビデンスはそれほど多くない」と述べる。同氏は、「医師たちの間では、睡眠の重要性は認識されているものの、睡眠を定期的に確認すべき項目として扱うまでには至っていない。医師たちには、患者の睡眠について十分に確認していると自信を持って言えるようになってほしいものだ。睡眠はバイタルサインのようなものなのだから」と話している。

なお、学会発表された研究は、一般に査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。(HealthDay News 2021年5月5日)

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