「避難勧告」を廃止して「避難指示」に一本化するなど、自治体が発表する避難情報の大幅な変更につながる災害対策基本法の改正案が、28日の参議院本会議で可決、成立しました。来月にも施行される見通しです。
自治体が発表する避難情報はおととし、5段階の警戒レベルによる運用が始まりましたが、必ずしも的確な避難につながっていないとして、改めて情報を変えるための災害対策基本法の改正案が提出され、28日の参議院本会議で可決、成立しました。
新たな大雨警戒レベルは3が「高齢者等避難」、4が「避難指示」、5が「緊急安全確保」です。
レベル3の「高齢者等避難」はこれまでは「避難準備の情報」でしたが、対象をより明確にし、いち早い避難につなげるため名称が変わりました。高齢者や体の不自由な人など移動に時間がかかる人は避難を始める段階です。
このほかの人も避難場所の確認などを進め、危険を感じたら自主的な避難を始めるとしています。
レベル4はこれまで「避難勧告」と「避難指示」がありましたが、違いが分かりにくいとして「避難指示」に一本化されます。危険な場所にいる人は全員、避難が必要です。
レベル5は従来の「災害発生情報」では取るべき行動が分かりにくいなどとして、「緊急安全確保」に変わります。災害が発生、もしくは切迫している状況に発表されます。建物の2階以上や崖の反対側など、少しでも安全な場所で命が助かるような行動を取ることが必要です。
しかし、「緊急安全確保」は必ず発表されるわけではなく、レベル4の「避難指示」までに避難を終えるよう求めています。
このほか1人暮らしの高齢者や体の不自由な人など、支援が必要な人の避難方法を具体的に決める「個別避難計画」の策定をすべての市区町村の努力義務とする内容も盛り込まれています。
改正災害対策基本法は来月にも施行される見通しで、ことしの梅雨からは自治体が新しい情報に基づいて呼びかけることになります。
【“危険性ある地域に絞って発表を”】
今回の避難情報の変更について、国の検討会のメンバーも務めた静岡大学の牛山素行教授は、情報を変更しただけではその効果は発揮されないとして、「自宅や仕事先も含めて身の回りのどこでどのような災害が起こりうるか、ハザードマップなどで理解しておくことが全てのスタートラインで、私たち一人一人が理解し、行動を起こして初めて役に立つ」と指摘しました。
その上で避難勧告が廃止され、避難指示に一本化されたことについては「いきなり『避難指示』が出て混乱する住民がいるかもしれないが、自治体は市民全員などではなく、災害の危険性がある地域に絞って発表することが必要だ。また、住民の側もレベル3の『高齢者等避難』は高齢者のためだけの情報ではなく、一般の人の行動を見直す情報でもあるので、早めの備えに活用してほしい」と話しています。
からの記事と詳細 ( 「避難勧告」廃止し「避難指示」に一本化へ 改正災対法成立|NHK 北海道のニュース - nhk.or.jp )
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