――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト
ティーンエージャーを育てた――あるいは、自身がそうだった――人なら誰でも知っているように、リスクの高い活動でグループ同士が互いにけしかけ合う場合に幸せな結末が訪れることはめったにない。
足元の金融市場を見るといい。人々が歴史的に単独で行っていた活動――株などの資産の売買――が人と交流する最も人気の方法となっている。
まるでネットフリックスやアマゾン・プライムで映画やテレビを一緒に見るかのように、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を介して友人が集まり、ライブで株取引を行う。トレーディングサイトの順位表には最も利益を得ている人たちの名前とその金額が示され、株取引アプリはユーザーに人気の銘柄リストを表示している。一部のオンライン取引サイトでは、機械的に他のユーザーの取引を「自動コピー」してまねることもできる。
こうしたこと全ては、大勢の株取引初心者が資金管理に抱く不安を払拭(ふっしょく)するのに役立っているほか、投資が死ぬほど退屈とは限らないことを示している。政治や新型コロナウイルス流行以外の話題を提供しているのだ。
だが残念ながら、投資が交流の場となる場合には危険も伴う。
誤解しないでほしい。最高の投資家でも相棒に耳を傾け、学ぶものだ。ウォーレン・バフェット氏にはチャーリー・マンガー氏がいる。バフェット氏の偉大な師であるベンジャミン・グレアム氏にはジェローム・ニューマン氏がいた。
だが、実生活での友人と、ネット上でフォローする会ったこともない人たちでは決定的な違いがある。確かに、オンライントレーディング仲間は落ち込んでいるときに元気をくれたり、居場所があると感じさせてくれたりする。だが現実世界の友人は、間違っているときにはそう教えてくれる。
バフェット氏はマンガー氏が提案をむげに却下しがちであることから、同氏のことを「不愉快なNOマン」と好んで呼んでいる。マンガー氏との友情を大切にしているのは、同氏が良いアイデアをくれるからだけでなく、悪いアイデアを破壊するからだと、筆者はバフェット氏から聞いたことがある。
「ソーシャルインベスティング」ではここが問題となる。ほとんど知らない人たちが集まる無制限のグループに参加する場合、手っ取り早く金持ちになりたいという欲望を共有しているやもしれず、学ぶというよりはむしろ模倣に終わる可能性がある。熱心な賛同者の声がほぼ無限にこだまする場となりかねない。
リスクやリターン、バリュエーションについて異を唱える人たちの意見が市場に集約されるとき、市場はこの上なくうまく働く。集団の知恵は、膨大な数の異なる見方が集まる場合には非常に正確になり得る。だが、誰もが一様に考えたり同じ情報に基づいていたりする場合の結末は、多様性の崩壊である。モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントに所属するストラテジスト、マイケル・モーブッサン氏はこう呼んでいる。
それは、非常に多くの資産価格が急上昇するような勢いづいた強気相場では特に危険となり得る。大きな利益を得ているときに、自分が何をしているか分からないなんて認めることなどできようか。触れるもの全てが富に変わるときに、なぜ反対意見を求めるのか。
ウォーレン・バフェット氏(左)とチャーリー・マンガー氏(2019年5月撮影)
Photo: Nati Harnik/Associated Press強気相場で稼ぐほど、それを鼻にかけたがる。鼻にかけるほど、ますます注目を浴び、模倣する人も増える。
投資初心者が投資について無知であるほど、大勝ちしたことを声高に叫ぶ人たちに倣う可能性が一段と高くなる。
自己達成的予言の中で、それはなお注目を集め、価格をさらに押し上げる。結果として、勝ち組の選好する資産の値上がりを後押しすることになる。
騰勢の続く限り、それはもうかる戦略だ。
だが市場が常に上向いているとは限らない。その場合、自己達成的予言は、損失とパニックという負のスパイラルに陥ることになるだろう。
何世紀にもわたる金融史を見渡せば、「誰もが」持っていて「当たり前」だった銘柄はそれが何であれ、相場が急変した際には最も下げる傾向にある。2008~09年の金融株や2000~02年のインターネット株、1973~74年の「ニフティ・フィフティ(人気50銘柄)」のグロース株、1929~32年のラジオ・コーポレーション・オブ・アメリカ(RCA)、はては1720年にロンドンで起きた南海会社の株価大暴落にまでさかのぼることができる。
要するに、株価上昇時にはコンセンサスや人気は上昇を勢いづかせる燃料となるが、下落時には毒となる。
それ故、シカゴに拠点を置く会員数15万4000人、全米に支部34カ所を構える非営利団体、全米個人投資家協会(AAII)が先月下旬、2月28日付で支部を閉鎖すると通知したと知ったときには悲しくなった。
支部の会合では、さまざまな経歴や多様な見方を持つ会員がゲストスピーカーの話に耳を傾け、アイデアを共有した。テクニカル分析を熱心に信じる人や、インデックスファンドに熱中する人、さらには有配株や地方債を選好する人もいる。そうした見方の多様性は学びを促進し、市場の反転を乗り切れる自信を与えてくれる。
AAIIの会員は支部閉鎖の知らせに激怒し、AAIIは直ちに閉鎖を保留とした。「全くのフライングだ」とAAII会長のジョン・バジコウスキ氏は言う。「正確に伝わらなかった」
AAIIの試練はコロナ流行で悪化している。その一方で、ネット上の交流を通して行うソーシャルインベスティングはコロナ流行で加速している。
だがこのような時に投資家が一番必要としているのは、同じような考えである大勢の確約ではない。より豊富で――そして異なる――経験の持ち主からの反対意見と懐疑的な分析を必要としているのだ。
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