――筆者のレイ・フィスマン氏は、ボストン大学の行動経済学教授。マイケル・ルカ氏は、ハーバード大学ビジネス・スクールの経営学准教授
給与の削減や凍結は、現在の新型コロナウイルスによるリセッション(景気後退)の残念な特徴になっている。700万人以上の被雇用者の賃金が昨年3月以降に低下し、他の非常に多くの人々の賃金が凍結されている。しかし、一握りの企業は現在の経済危機の中でも、こうしたトレンドに逆らって賃上げを実施している。ヨーグルトメーカーのチョバニ(Chobani)は昨年11月、同社従業員の最低時給を、それまでの13ドル(約1350円)から15ドルに引き上げた。ニューヨークのようなコスト高な地域の最低賃金は18ドルに設定された。家具ネット通販のウェイフェアも先週、こうした動きに追随して最低時給を15ドルに引き上げた。
賃上げに踏み切ったこの2社など複数の企業は、苦境にある従業員を助けるとともに、会社への忠誠心と好感を強めることで生産性を上げ、離職者を減らすという賢明な資本主義を実践した。こうした試みは、従業員の賃金引き上げが生産性と利益の改善につながるかという、1世紀前からの議論の新たな一幕だ。経済学ではこうした可能性のことを、「効率賃金仮説」と呼んでいる。この理論は、賃金を市場水準よりも上げれば、労働者のやる気と定着率の向上という形で見返りが期待できるというものだ。効率賃金仮説の支持者が正しいことを示す証拠は増えつつある。賃上げはしばしば利益の向上につながっており、現在の状況下では特に重要なことだが、賃金カットは従業員の反発や、妨害行為さえも引き起こす恐れがある。
...からの記事と詳細 ( 苦境の時、賃金アップが必要な理由 - Wall Street Journal )
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