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Tuesday, December 22, 2020

アップルに必要な「もうひとつ」の夢 - Wall Street Journal

カリフォルニア州クパチーノにあるアップル本社は自動車事業の新たな拠点になるのか?

Photo: Apple Inc.

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 米アップルが過ごした多忙な1年を物語るかのように、投資家たちは現在、おなじみの戦略に期待を掛けている。

 ほんの数カ月の間に、アップルは初の5G対応iPhone(アイフォーン)、自社設計のプロセッサーを搭載した「Mac(マック)」シリーズのノートパソコン、デザインを一新したスマートスピーカー、「アップル」ブランドとして初のオーバーイヤー(耳を覆う)型ヘッドホンを発売した。

 これら新製品の見通しはまちまちだ。新型アイフォーンは今年度だけで1650億ドル(約17兆1000億円)超の売り上げが見込まれる事業セグメントを引っ張るとみられている一方、550ドルのヘッドホンは、熱心なファンにしか訴求できそうもない。ただ、これらの製品についてはいずれも、以前からうわさが出ていた。アップルは2014年に米音響機器メーカーのビーツ・エレクトロニクスを買収して以来、ヘッドホンの開発に取り組んでいると言われていた。世界最大の消費者向け電子機器メーカーであるアップルを巡っては常にさまざまなうわさが飛び交っている。

 このためアップルの投資家は当然、次は何があるのか、と思うだろう。今週、ある可能性が再浮上した。ロイターがアップルの自動車事業参入計画の復活を報じたのだ。記事は匿名の関係筋の話として、アップルが2024年までに乗用車の生産を目指しており、それには「画期的なバッテリー技術」が含まれると報じている。

 アップルがデトロイトに挑戦しようとしていると思われるのは今回が初めてではない。ウォール・ストリート・ジャーナルは2015年、アップルが2019年に電気自動車(EV)を売り出す計画だと報じた。その1年後、アップルはそのプロジェクトの人員を削減し、計画を見直した。自動車はハイテク大手が「ディスラプト(破壊)」するには実に厄介な分野だということはわかっている。アップルの38%という粗利益率を重視している投資家は、苦しい状況に置かれるかもしれない。調査会社S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによれば、時価総額で世界上位10社の自動車メーカーの平均粗利益率は15%だ。

 アップルが何か興味深い展開を計画しているのは確かだ。同社の2020年9月期の研究開発費は過去最大の188億ドルだった。これは年間売上高の7%弱に相当し、割合としては、アップルが初代アイフォーンの開発初期にあった2003年以来の大きさだ。

 アップル株は、年初来78%超上昇したことを受け、現在の予想株価収益率(PER)は33倍と、最初に自動車事業参入のうわさが流れた2015年当時の3倍以上の水準になっている。このことは、投資家が既に次の大物への夢に賭けていることを意味している。

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