細田千尋特任研究員(総合文化研究科)らは、目標達成に必要な「やり抜く力」を予測する手法を開発した。個人に最適化した教育などへの有用性が期待される。成果は4月28日付の英科学誌「Communications Biology」(電子版)に掲載された。
「やり抜く力」は、社会的成功などを予測する重要な非認知能力として注目されている。これまでは「やり抜く力」を推定する客観的指標は存在せず、目標達成に向けた行動を支援する手法も提案されていなかった。
細田特任研究員らの研究グループは健康な参加者を募り、やり抜くことを目標に数十分程度のパズル課題を課した。終了後やり抜いた人と諦めた人を比較すると、脳の前頭極の構造に違いが見られた。
集計した前頭極の構造の特徴から「やり抜く力」の傾向予測モデルを開発。モデルを用いて二つの長期目標達成課題をやり抜けるか予測・実験すると、予測の精度は80%以上だった。これにより、前頭極の構造が、課題内容や目標達成にかかる時間に関係なく「やり抜く力」の予測に寄与することを明らかにした。
「やり抜く力」が低いと予測された人でも、目標を細分化して達成感を得やすい学習プログラムを用いれば、最後までやり抜けることも明らかに。目標を細分化したプログラムでやり抜けた人は、通常のプログラムに取り組んだ人と比べて、学習後の前頭極の構造に明らかな変化が見られた。
この記事は2020年5月12日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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