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Wednesday, April 8, 2020

【特集】「身近な生き物を観察しよう」その6 - GW明け辺りから海岸近くにも姿を表すアカテガニ - STARTT.jp

【特集】「身近な生き物を観察しよう」その6 - GW明け辺りから海岸近くにも姿を表すアカテガニ

エビ、カニ、ヤドカリやサンショウウオ、イモリ、カエル等のうんちくWiki「Decapedia」の中の人が身近な生き物について抜粋して紹介する特集コーナーも第6回を数えました。今や新型コロナ感染症拡大の影響で、身近な生き物を観察しに行っている場合ではなくなってしまいましたが、めでたく緊急事態宣言が解除された頃に海岸近くに姿を現しだす生き物「アカテガニ(Chiromantes haematocheir)」を今回は紹介します。

今回は「身近!」です(キリッ) 但し、繁殖期にならなければ海岸近くには降りてきませんので、見ることが難しい生き物です。コソコソ隠れて暮らす生き物でもあるので、バードウォッチャーが持ってるバズーカみたいな望遠レンズ付きの一眼レフ(ry

アカテガニは我が国の温帯域の陸上に棲息します。海のカニというよりは陸棲傾向の強いカニです。沖縄で見られるものも以前はアカテガニとされていたのですが、最近の研究により沖縄列島の固有種リュウキュウアカテガニ(Chiromantes ryukyuanum)として新種記載されました。

アカテガニは地味な体色(黒いものや茶色いものや写真の様なツートンカラーのものや、体全体が真っ赤な個体も見られる)ですが、鉗脚の赤が特に目立つカニで、我が国ではサワガニ(Geothelphusa dehaani)の次に有名なカニと言っていいと思います。さるかに合戦のカニも、アカテガニなのかサワガニなのか議論のあるところ・・・。

大きさは甲幅3~4cm。と言われても見たことのない方にはイメージ湧かないと思いますが、デカイです。サワガニの甲幅が2~3cmと言うと、さらにイメージ湧きにくいかもしれませんが、甲羅の見た目面積的にはサワガニの4倍ぐらい。脚の長さもサワガニの3倍ぐらいあります。大きいオスのアカテガニを見ると本当に驚くと思います。


▲割と大きめのオスのサワガニ。アカテガニのオスは写真のサワガニと比べても遥かに大きい。

アカテガニは自然環境が残された海辺で目にすることが多いのですが、実際に海岸まで降りてくるのは繁殖期(7~9月)のみ。普段は海辺の森や崖、河口域に棲息しています。海からかなり離れた山の上でも見掛けることがありますが、山と海を繋ぐカニの通路が確保できなくなった現代では、激減しているカニだと言って良いかもしれません。

ちなみに、海水浴に行くようなビーチや海辺のキャンプ場などで見掛けるのは、アカテガニによく似たベンケイガニ(Sesarmops intermedius)です。こちらは鉗脚の色こそ前種より薄いものの、体全体の色は赤みが強い個体が多く、全体的に派手な印象を受けます。ペットショップ等で「アカテガニ」というインボイスで売られているものは(派手に赤い方が売れやすいためか、棲息場所が特定しやすく捕獲しやすいためなのか)ベンケイガニの場合が多いです。

どちらのカニも見た目の厳つさに似合わず食性は植食性の強い雑食で、天然下では照葉樹の森で落ち葉等をよく食べています。死んだ魚や小動物等も食べていますが、ベンケイガニに比べるとアカテガニの方がやや植食性が強い様です。


▲オスのベンケイガニ。アカテガニより身体の赤みが強い個体が多いが、鉗脚の赤い部分の面積はアカテガニに比べて少ないです。

ペットショップ等では、サワガニと同じ扱いで薄く水を張った容器でキープされていることが多いのですが、実際には陸棲傾向が強いです。アカテガニ、ベンケイガニ、またアカテガニと同属のクロベンケイガニ(Chiromantes dehaani)は天然下では陸地をウロウロしていて、採餌も主に陸上で行います。水が必要なのは呼吸に際してと、脱皮の際、いずれも大抵は淡水です。海水に浸かるのは主に繁殖の際になります。


▲標準和名はクロベンケイガニだが、ベンケイガニ属ではなくアカテガニ属。

ベンケイガニ科のカニはもちろん肺ではなく鰓呼吸ですが、口器の横に溝があり、その溝と脚の付け根に取水孔のある鰓の間を水を循環させて陸上でも呼吸することができます。興奮して呼吸が早くなったり、水が古くなって粘ついてくると口器からブクブク泡を出します。そうなると体ごと水の中に入り体内の古くなった水を新鮮な水と交換します。

脱皮は完全に水の中で行います。アカテガニの大きさにもよりますが、成ガニで年に一回程度。数分で脱皮を完了しますが完全に体が固まるまでには1日ほど掛かります。その間はソフトシェルクラブの状態で非常に無防備なため、飼育するなら単独飼育が原則となります。

飼育下ではニンジン、リンゴ等をよく食べます。時々ザリガニ・ヤドカリの餌等を与えてやるのも良いでしょう。

その他の飼育については後述します。

節足動物門 > 甲殻亜門 > 軟甲綱(エビ綱)> 真軟甲亜綱 > ホンエビ上目 > 十脚目(エビ目)> 抱卵亜目(エビ亜目)> 短尾下目(カニ下目) > イワガニ上科 > ベンケイガニ科 > アカテガニ属

繁殖行動


繁殖期のメス

普段は地味な色合いで鉗脚の赤も薄い印象のメスですが、繁殖期にはこの様に真っ赤に色づくことがあります。昼間ウロウロしているとサギ等の天敵の餌食になりやすそうです。写真は東京都内の個体(恐らく伊豆半島か三浦半島辺りからの分散個体または、その再生産個体と思われます)で、前夜の集団放仔に出遅れたのか当夜の先走りかは不明ですが、開けた海岸をウロウロしていたため、撮影後、隠れる場所の多い海岸の石垣の方へお引き取りいただきました。

繁殖期になると、アカテガニはこの様に河口や海岸の護岸や石垣まで進出し、クロベンケイガニと同所的に多数見られる様になります。数は少ないながらベンケイガニもそこに混ざることがあります。

この3種は繁殖期以外は、

ベンケイガニ=海岸林、山が海に迫っている様な崖や石垣、河口の泥地など。

アカテガニ=海岸林~森、河口域の森林など。

クロベンケイガニ=海に流れ込む水路や河口域の干潟や護岸、下流域(時に中流域まで進出)の護岸や田圃など。

が、主な棲息域になります。

繁殖行動は7~9月、大潮の夜に行われます。満月、または新月の夜、たくさんのアカテガニがワラワラと海岸に集まる様子は圧巻。メスは満潮時(地域により日暮れ直後の場合もあり、夜間の干潮時の場合もあります)に海へ入り、寄せる波に合わせて身体を震わせ、腹(実は尾)に抱えた卵を海に振り撒きます。卵からはゾエアが孵化し引く波と共に海に拡散されていきます。大潮の時期は潮の干満が大きいため、満潮時には海までの距離が近く、干潮時にはゾエアがより広範囲に拡散されます。これがアカテガニの生き残り戦術なのでしょう。


▲繁殖期にノコノコと海岸まで降りてくるオスのアカテガニ。

この放仔の時、オスのアカテガニも周りをウロウロしています。某TV等では「メスを護るためにオスも集まります」等とアナウンスされがちですが、正確には放仔が終わったメスを待ち構えて捕まえ、交尾可能になるまでガードする「交尾前ガード」のために集まっています。「ガード」は直訳すると「護る」になりますので間違いではありませんが、オスが護っているのはメスではなく、自分の利益だけです。

飼育について


半水棲の、例えばクサガメやイシガメの様に、水を張り上陸用の石を置いた様な飼い方がイメージされがちですが、アカテガニは基本的には陸地で生活するカニなので、図の様な飼育環境が望ましいです。脚が長く身体も平べったいので脱走は得意ですから、しっかり閉まる蓋が必要です。

陸棲とは言え、鰓呼吸なので鰓が乾くと死んでしまいます。そのため、カニが身体丸ごと浸かれる水場が必要です。また脱皮も水の中でないと行えないので、大きめの水場を常に新鮮な水で満たしてあげましょう。水は海水ではなく淡水です。

この水量では濾過装置を使っても生物濾過の効果は期待できず、またコンセントのリードやホース等は脱走の足掛かりになりやすいので、水を定期的に換える方法が飼育しやすいでしょう。魚や水棲のカニの様に、水の中で採餌・呼吸・排泄を行う訳ではないので、水はそれほど汚れることはなく、1週間~2週間に1回程度の換水または足し水でキープは可能です。

但し、砂は汚れるので定期的な砂の洗浄や交換が必要です。乾いた砂をストックしておき、1ヵ月に一度程度、表面の砂を新しいものと交換。取り出した砂は洗って乾かし、ストックしておくと良いでしょう。


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尚、飼育匹数は、1ケースに1匹が安全です。

60cm水槽で、脱皮用の水場を複数設置する、隠れ家を多く設ける等工夫して小型の個体を2,3匹程度なら同居させられますが、1~2年ですぐに大型化する上、脱皮時に水場で食殺された死骸の悲惨さ(臭いもかなりキツイ)はトラウマになるレベルなので、きめ細かく、脱皮の兆候を見逃さず日々のケアができる人か、死骸の姿や臭いにショックを受けないタイプの人にしか複数飼いはお薦めできません。

餌は前述したとおり、ニンジン、リンゴ等をよく食べます。時々ザリガニ・ヤドカリの餌等を与えてやるのも良いでしょう。鮭やアジなどの焼き魚も食べますので、時々、食事の際に余ったもの(特に皮)を与えてみてください。また意外ですがパルメザンチーズも好んで食べますので、時々与えてみても良いと思います。

全体的には、野菜を多めに与えてください。

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補足:アカテガニとベンケイガニの見分け方

アカテガニとベンケイガニはよく似ています。茶色っぽいベンケイガニもいますし、真っ赤なアカテガニもいますので、なかなか見分けるのは困難です。

もっとも見分けが付きやすいのは上から甲を見た時。


アカテガニ(写真左)の甲外縁には鋭い切れ込みがありません。甲表面もツルツルした感じです。一方のベンケイガニ(写真右)の甲外縁の眼より少し下に鋭い切れ込みがあります。甲表面もゴツゴツしています。

なかなか無防備に上から観察させてくれることのない両種ですが、ベンケイガニには鉗脚内側(ハサミ脚の手首の様な部分)に鋸条(ギザギザ)があることでも見分けが付きます。

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