高額所得者の勤務医にとって、働けば働くほど支払額が増えてゆく税負担は、理不尽でありながらも、避けては通れない問題です。将来開業医を目指すのであれば、なおさら早い時期から税金対策を始め、手元により多くキャッシュを残すための努力が必要です。「今はそんな余裕がない」と考えるかもしれません。しかし、この経済的理不尽に気付いた今こそ、ライフプランを見直すときです。東京不動産投資株式会社の代表取締役・秋葉侑輝氏が解説します。
累進課税の所得税に苦しめられる勤務医が後を絶たない
勤務医として働く忙しい毎日。多くの病院を兼務しているため、収入額は年々増えていきます。しかし、確定申告の時期に書類をまとめてみると、思ったよりキャッシュが手元に残っていないことが判明します。それは、収入が高ければ高いほど税率も上がる「所得税」のせい。そこに気付いたときが、税金対策を考える絶好のターニングポイントです。
高額所得者が税金対策に取り入れている手段として、本記事では「不動産投資」について考えていきます。
「不動産購入は人生で一番大きな買い物といわれている。そんな高額な商品を買って、かえって損をするのではないか?」と心配する声も聞きますが、安心してください。不動産購入の初期投資で赤字が出ても、その分所得から控除されますし、そのあとは定期的に家賃収入が入ってきます。また建物設備等の修繕費は、経費で落とすことができるので、効率的な節税になるのです。
医師が不動産投資、始められる?
一棟オーナーになった場合の「実務」はいかほど?
「しかし、毎日こんなに忙しいのに、投資不動産の運営なんてできるのだろうか?」そんな不安を払拭する、不動産運営のアイデアを具体的に紹介します。
たとえば、専有面積20㎡程度のワンルーム20戸で構成される一棟マンションを購入したとします。多忙な勤務医なら、一棟管理を請け負う不動産管理会社に業務を委託すれば、家賃集金、定期清掃、入居者からのクレーム対応も一手に引き受けてくれるので安心です。
建物や室内の設備不具合があったとき、オーナーは管理会社の報告を受け、修繕工事の見積金額を確認し、工事実施の指示を出すだけ。それほど不動産管理に時間を費やすというイメージはありません。
とはいえ、他人に業務をお願いするわけですから、委託費用はかかります。管理会社の業務委託手数料の相場は月額家賃の3%~5%程度といわれています。
1戸の家賃が10万円として、20戸なら一棟総額は月額200万円。となると、業務委託手数料は月額6万円~10万円ということになります。これを妥当な金額と受け止めるか、高いと判断するかは人それぞれ。
「できれば無駄なコストはかけたくない」というのなら、自主管理をする手もあります。しかし、入居者からのクレーム対応をはじめ、定期的に現地を巡回して共用部の状況チェックと清掃を行い、修繕が発生したら工事業者の立ち会いをするなど、業務は山積みです。
もっとも大変なのは家賃の管理です。万が一滞納が発生したら、夜討ち朝駆けで入居者へ督促をかけなければなりません。以上の状況を踏まえれば、多忙な勤務医は管理会社に業務を委託するほうが賢明でしょう。
◆間違いのない「管理会社選び」
不動産管理会社を選ぶ際に、「コスト」、すなわち業務委託手数料のパーセンテージが気になる方は多いことでしょう。先ほども述べたように、業務委託手数料の相場は家賃の3%~5%程度。できる限り低い掛け率の会社に依頼してコストを下げたいものです。
掛け率や付帯サービスは、会社ごとに異なるので、ネットなどで目ぼしい会社を複数見つけ次第、見積書を取り寄せて比較・検討するとよいでしょう。
日々の管理業務のみならず、万一空室が発生した場合の「入居者募集」に対する営業力も検証しないといけません。
良い管理会社を見極めるポイントのひとつは、会社組織が管理部門・営業部門と明確にわかれている点にあります。管理部門では電気・水道・大工の各専門職員が常駐し、駅前に一般客向けの路面店を構えているような会社なら、バランスのある良い会社であるといえます。
「管理会社に委託」と「自主管理」スケジュールを比較
・管理会社に委託
月に1度、管理会社から「管理報告書」が届きます。管理報告書には、この1ヵ月間に管理会社が行った定期清掃、専門業者によるエレベータ等の定期点検、消防点検、管理会社の判断で施工した修繕作業(「1回3万円以内なら管理会社判断で迅速施工」など、契約時に取り決めます)などの実施状況、賃借人の退去・入居の日程が記載されており、オーナーはその内容を見て運営状況を把握します。管理会社に業務委託した場合、1ヵ月の仕事はこれだけです。
・自主管理
月初め、各部屋家賃からの口座着金を確認します。もし未入金があれば、入居者に対して電話や郵便で督促を行います。それでも入金がない場合は、入居者の部屋を直接訪問し、在室していれば口頭で催促します。
週1回(曜日を決めて)、エントランス・階段・廊下など共用部の定期清掃を行います。随時、入居者クレームに電話(留守電)またはメールで対応できる状態を保ちます。
もし水漏れなど突発的な設備不具合が発生したというクレームが入ったら、すぐに工事業者を手配して、場合によっては作業の立ち会いを行います。加えて、定期点検で訪れるエレベータ業者や消防署職員の作業立ち会いも必要です。
なるべくコストを下げたいなら区分マンションの選択を
一棟マンションのような大所帯は月額収入が高く取れますが、その分、諸経費負担も高くなります。管理会社に委託したとしても、クレームの発生率は戸数に比例して多くなります。
修繕費用が3万円未満の小さなものならいいですが、築10年以上の物件だったりすると、水回りの不具合、とくに給湯器の故障が増えてきます。
「一棟すべての部屋で立て続けに不具合が出たので、結果、半年間で全室交換した」、なんて話は多くのオーナーから聞いています。エアコンもしかり、全部屋が同時期に不具合を起こす設備で、これらは不動産経営のいわば「爆弾2発」です。
なかには、いつ壊れるかとビクビクして過ごすのはイヤなので、おおむね10年を目安にそれらの設備を新規交換する予算を事前に組んでいるという賢いオーナーもいます。このように、一棟マンションは戸数が複数のため、設備修繕が一時期に集中したり、家賃が高い分、管理会社に支払う委託料も高額になったりするのは当然です。
「そこまでの重たいリスクは背負いたくない」というなら、区分マンション投資という選択肢もあります。管理会社に委託した場合、1戸の家賃を10万円とすれば委託料は3000円~5000円。自主管理をしても、共用部の清掃などは管理組合で手配してくれているのでノータッチ、入居者からのクレームは1部屋のみ対応すればよいので、一棟20部屋を相手にすることと比べればかなり気楽です。
不動産投資の初心者なら、区分マンションからスタートしましょう。そして、「もっと高いステージにチャレンジしたい!」と思い立ったら、一棟投資へ移行すれば良いのです。
秋葉 侑輝
東京不動産投資株式会社 代表取締役
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February 10, 2020 at 03:11AM
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