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Sunday, February 23, 2020

医学用語の「清潔」「不潔」とは 日常語との違いに注意 - asahi.com

 不潔な手袋をはめて握ったおにぎり、食べたくないですよね。でも、医学的な意味において「不潔」な手袋で握ったおにぎりを食べたことがある方も多いと思います。今回は、日常的に使っている言葉と専門用語にはギャップがあるかも、という話をします。

 集団感染が起きた大型クルーズ船の件で「清潔ルート」「不潔ルート」が話題になりました。医学用語としての清潔/不潔の違いはあまり知られていないようです。誤解を招かないよう別の言葉に置き換えた方がいいかもしれません。

 日常的には不潔という言葉は、何か汚いものがついていることを表します。一方で医学における「不潔」という専門用語は病原体がついている可能性が否定できないことです。おにぎりを握るときに使うビニール手袋は、滅菌されていませんので医学的な観点からは「不潔」です。ただ、細菌がついていてもごく少量なので食中毒にはなりません。

 医学的に「清潔」な手袋は、外科医が手術のときにはめる手袋をイメージしてもらえばいいです。映画やドラマで、不自然に両手を胸の前に掲げて外科医が手術室に入ってくるシーンを見たことがおありでしょう。あれです。内科医も清潔な手袋を使うことがありますが、滅菌された袋に入っていて、つけ方も正しい手順が必要です。

 ちなみに、手術のときにつける帽子やマスクは医学的には不潔ですので、うっかり清潔な手袋をつけたままマスクを触ると、その手袋は不潔になってしまいます。不潔になった手袋は外して、新しい清潔な手袋をつけ直さればなりません。清潔手袋をつけた手を胸の前に掲げるのは、うっかり不潔なものを触らないためです。

 聞いただけで専門用語とわかる難しい言葉ならかえって誤解は生まれません。しかし、「清潔」「不潔」という言葉は日常的にも使われるがゆえに、医療者と患者さんとの間で誤解が生じることがあります。腹水穿刺(せんし)や中心静脈穿刺といった手技のときは滅菌された「清潔な」手袋が必要ですが、末梢(まっしょう)血管からの採血や点滴、インフルエンザの検査のための鼻汁採取などのときは滅菌されていない「不潔な」手袋を使います。そのとき、患者さんの前で「不潔な手袋」なんて言ってはいけません。不潔な手袋で採血される患者さんがどのような気持ちになるか考えればわかります。このような場合は「未滅菌の手袋」などと呼びます。

 ほかにも、日常的な用法とギャップがある専門用語があります。たとえば、「標準治療」。標準と言う言葉には「良くも悪くもない」というイメージがありますが、標準治療は、現時点で得られる証拠に基づいて最善と考えらえる治療法のことを指します。「貧血」は、日常では立ちくらみで気分が悪くなることを指しますが、医学的には血液中のヘモグロビン濃度の低下のことです。紛らわしい言葉については、言い換えるか、誤解をされず正確に意味が伝わるように説明をこころがけています。

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